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*第32話*

「え・・・?なんで、りょー?」

さすがにびっくりした。

というか・・・

相談相手のりょーを好きだとしたら

あたしは圭吾に相談しているような気がする・・・

「え?違うのか?!」

「違う・・・けど・・・?」

「はぁ・・・なーんだぁぁっ~!!焦った俺があほらしい!」

焦るって・・・何をどのように焦るんだ??

「焦るってなにが?」と聞こうとしたとき

保健小屋から燐が出てきた。

燐はなにかと間が悪い。まぁ本人にいえないけど・・・

「燐、どうだった?」

「酷く捻挫だってさ。帰ったらすぐ病院いけだと」

「まぁ・・・あの落ち方はそうもなるだろうな・・・」

「ははっごめんな、心配掛けて。」

「家族ときてんのか?」

「うん。てことで、俺は帰るとするよ。多分御袋はそこのカフェにいると思うし」

「そうか、気をつけてな」

「帰ったら連絡よろしくな!あ、あと。ありがとう」

燐には今日の少しの時間にかなりお世話になった。

「うん、わかった。こっちこそありがとう。それと、井上」

燐はあたしの耳元で

「自分に自身をもて。井上は強いよ。」

そう、言ってくれた。

あたしは自然と顔が綻び自然と勇気がわいてきた。

燐、本当にありがとう。


燐が家族のところに戻っていってから

あたしと圭吾は、上級コースのAコースへと向かった。

その途中りょーとすれ違った時、

一瞬だったけどあたしにピースした。きっと圭吾とあたしが二人でいることに

してくれたんだと思う。りょーは本当に抜け目ない奴。


上級コースのAコースはリフトでおよそ8分ほどだった。

「なぁ圭吾」

「ん?どうした?」

「・・・圭吾の好きなタイプってやっぱり・・・女っぽい子だよな?」

思い切って聞いてみたけど、答えが怖い。

「んー・・・俺は、好きになったやつがタイプだから基本的に決まったタイプはないな」

・・・モテる男は言うことが違う・・・よなぁ

「音々は?好きなタイプどんなのだ?」

「あたしは・・・」

あたしは、圭吾みたいな・・・

強くて、優しくて、キラキラした瞳を持ってる人・・・

「圭吾みたいな・・・」そう言おうとした時

突然リフトが止まった。なにかしたであったんだろう

「音々?」

「あ・・・あたしは、その、秘密?あはは・・・」

いえなかった・・・

流れで言えると思ったのに・・・

「し、したでチビっこかなんかが扱けたか?あっはは・・はは」

「そうだな・・・でも、それにしても長くないか?止まってる時間。」

確かに、かなり長い。いつもなら精々10秒ほどだ。

そういえば、かなり吹雪いてきた気がする。

そう思った時、スキー場のアナウンスが聞こえた。


『大変申し訳ございません、全リフトがただいま停止しています。

もうしばらくそのままでお待ちください。』


リフトが・・・停止中・・・?しかも全リフト・・・

「これってヤバイ系・・・だよな?」

「・・・そう、だな」

リフトがなにかのトラブルで長く止まることはまずない。

もしかしたらこの吹雪のせい?いや・・・このぐらいの吹雪ならリフトは動く・・・よな?

「とにかく待つしかないな・・・」

そう圭吾が言ったとき、あたしのケータイが震えた。


「おーちゃんからだ。はい、音々です」

『音々、圭吾大丈夫か?!』

「大丈夫。んで、リフトなんで止まってんの?」

『俺にもよくわからないんだ。あ、はい、はい。』

「何か通達?」

『リフトから子供が落ちて今捜索中・・・と来たが

本当のところはわからん。伝言でしかない・・・』

「わかった。うん、うん、圭吾も大丈夫だから。それじゃ」


「おーちゃんなんて?」

「子供がリフトから落下していま停止中なんだと。

でもそれが本当かも分からない状況だって。だからかなりヤバイ事になってるっぽいな」

「てことは・・・コレもかなりの時間止まるってわけか・・・」

「そうなるな。たっく・・・こういうときに限って・・・なぁ・・・」

「どのぐらい止まるのか・・・だな」

「とりあえずまつしか無いよな・・・クシュンッ」

さすがに寒くなってきた。動かずいるとこの薄着じゃきつい。

かといって羽織るものはない。下においたままだ。

「さむいか?」

「あぁ・・・ま、まぁ大丈夫だろ?はは・・・」

大丈夫じゃないけど心配かけるわけにもいかない。


風はどんどん強くなっていた。

雪もかなり吹雪いてきて、リフトがとても揺れる。

「・・・寒い・・・」

そうつぶやいたあたしの声は風に流されていったと思った。

「音々、やっぱり寒いだろ?・・・コレならまだあったかいか・・・?」

あたしの声が聞こえていたのか

圭吾はあたしに寄って、肩を抱いた。

「圭・・・吾??」

「今だけ。今だけ・・・」

今だけと言っている圭吾の表情が寂しそうなのを

あたしは見てしまった。けれど・・・

「・・・あったかいよ。ありがとう」

こういうしかあたしには言葉がなかった。


「音々・・・す___」

圭吾の声が少し聞こえたけど

その声は風に流されて

やっぱり圭吾は悲しい顔をしていた。


「大丈夫だよ、根気よく待とうよ。な?」

「あぁ、そうだな」

多分、圭吾はこの状況におびえているわけじゃないと思ったけど

元気よくこんな事をいうのに精一杯だった。

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