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*第31話*

「さぁてと・・・こっからどう広場まで降りるかだよな」

「スタッフがいるのも下だしな・・・?」

この状況だと、あたしが負ぶって下に行くしかないと思った。

「負ぶって降りるよ。それしか方法ないだろ?」

「い、いや!さすがにここでは・・・」

ブンブンと手を振る燐の気持ちも分かった。

さすがにAコースの広場とは違ってかなり人が多い。

男が女を負ぶる・・・ならわからないこともないけど

女が男を負ぶるってのは聞いたことも見たことも無い。

まぁ実際さっき負ぶってたんだけどさ・・・

「しゃぁない、りょーに来てもらうか・・・」

りょーが負ぶって降りるなら

なんら問題はないだろう。りょーはかなりボードうまいしな

「そこ、普通頼るのって圭吾じゃないのか?」

「・・・今の状況じゃ、多分圭吾は女の子と滑ってて忙しいよ」

「かけてみるだけでもいいじゃん?」

「・・・度胸ないよ、あたしは・・・」

「大丈夫だって、圭吾だって・・・って、あらまご本人登場か?」

燐がそういいながら向いている方向に

あたしも向くと、そこには・・・リフトから降りた圭吾が

ボードの器具を足につけていた。

周りに女子は・・・いなかった。

「おーい!圭吾ー!」

燐が大声で呼ぶもんだから

あたしはあたふたした。どうすればいいかわからなかったのだ。

燐のほうを見ると、

「大丈夫、落ち着け」

と言ってウィンクした。こういうところは洒落てる男だと思う・・・。


「燐!?と・・・音々!!」

「圭吾・・・」

「圭吾、久しぶり!!元気にしてたか!?てか、事故の怪我はもう大丈夫?」

「あ、あぁ。俺は異常なし。っと・・・ごめん、ちょっと音々借りる」

「うん、ごゆっくり?俺はここで待ってるよー」

もう一度、燐をみると、ガッツポーズをしてピースをした。

勇気を持てた・・・と、あたしは思った。


「音々・・・さっきは・・・その・・・」

圭吾がうつむきながら事言葉をつむぐ。

あたしは圭吾がその先を言う前に言った。

大丈夫、あたしには勇気がある・・・!

「さっきは、ごめんな?」

いえた・・・・。

圭吾は若干驚いていたが

すぐにっこり笑って

「一緒にすべろよ、な?」

と言ってくれた。

「うん!・・・けど、その前に頼みがあるんだけど、いいか?」

「ん?」

「燐、怪我しちゃってさ・・・」


事情を説明して、燐のところに戻った。

あたしはすぐに燐にピースした。

燐は笑って、口パクで

「やったな」

といった。きっと、いった。

「燐、足の怪我はどうなんだ?」

「あぁ、聞いたのか?いやぁ・・・バランス崩してさ・・・アッハハ・・・」

「しゃぁーなし、俺が負ぶってやるよ。ほら、乗れ」

圭吾が背を向けて燐の前にしゃがむと燐は

「サーセン・・・」

と言いながら背中に乗った。

圭吾はやっぱり優しいな。


背負って降りるのはかなり危険だったけど

あたしが横からサポートしたら

何事もなく降りれた。

燐の手当てはおーちゃんにしてもらった。

「そうかぁ、北島君は圭吾たちの幼馴染なのかぁ」

「はい、そうなんです。」

「小さい頃のこいつらってどんなだったんだ?」

「おーちゃんいらんこときくなよ」

「まぁまぁいいじゃないか」

「圭吾たちはおてんばでしたよ?二人とも相変わらず仲よかったですしね」

「ははっ今と変わりないんだな?」

「そう、ですね?」

といいながらも燐の口角はクイッ・・・と上がっていた。

「よーし、捻挫の処置はさすがに寺下先生に頼もう。

そこの小屋に待機してるから、連れてってあげな」

「はいはい」


燐を保健室ならぬ保健小屋に連れて行って

あたしと圭吾は外で待つことにした。

「はぁ・・・今日は散々だった・・・」

「お疲れ様。朝は、ほんとにごめんな」

「あれは圭吾が悪いわけじゃないから大丈夫。

あのうっとうしい女子達が悪いんだからな」

「まぁそうだけど・・・あいつらが言った事、気にすんなよ?」

「だーいじょうぶ!あんなの慣れてるからさっ」

「・・・なら、いいけど」

あたしは一つ嘘をついた。

慣れてるのは、本当だけど

大丈夫なんかじゃない。あたしはどうしたらいいか分からないのだ。


なぁ圭吾。

あたし、もう少し女っぽくなったほうがいいのか?

そのほうが圭吾も好きなのか?

あたしは・・・あたしは、もっと変わらなければ

圭吾と今の状況から進展する事は難しいの・・・?


神様はその人に超えられない試練は与えないというけど

あたしは、この試練を超えられない気がします。


「なぁ、圭吾」

「ん?」

「圭吾は、好きな人、いるのか?」

聞くだけ聞いてみる・・・無望な質問。

「・・・いるよ、すごく大事な人。」

その言葉にあたしの心は悲しいぐらい鳴った。

ドキドキじゃない。ずきずきとあたしの心は鳴った。

「どんな・・・人?やっぱり女っぽい?」

「・・・さぁ、な。音々はいるのか?」

あたしは・・・


『自分に自身を持て。俺は井上は強いと思ってるから、な?』


燐の言葉があたまを過ぎる。

・・・自分に自身・・・

「いるよ、うん、いる。」

「そっか・・・もしかして、それってさ・・・」

圭吾が次に言う言葉にあたしは

目を見開いてしまった。


「・・・りょー・・・か?」

あたしは唖然とした。

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