表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/38

*第26話*

『圭吾ーッ!行くぞーッ』

『うぃーっす~!』

『お母さん、ちょっと外出てくるー!』

『いってらっしゃい。気をつけるのよ』

『わかってるってー!』

桜が舞っている・・・

これは、夢、だろうか。

『どこ行くんだよ?』

『まずはゲーセンとか?』

『子供だけでゲーセンデビューはいいなっ』

『おっし、イロハのゲーセンいくか!』

『だなぁっ』

・・・この、夢は・・・

このシーンは・・・


・・・事故に、合う、数時間前・・・。

お願い、あたし・・・、いかないで・・・!!


『楽しかったーッ』

『さすがに暗くなってきたな』

『さっさと帰るか』

『だな』


・・・間に合わないよ・・・


『キャッ・・・!』


ガンッ



・・・圭吾・・・ごめん・・・ね・・・

「ごめん・・・なさい・・・」

過去の自分達にあたしは謝った。


-ryota-

「・・・ジェラシー」


音々が圭吾の表情に気づき

なにかと聞いたら

圭吾はこう答えた。

・・・案の定

「は・・・?」

と、聞き返したが。

そりゃまぁ・・・音々にそんな単語が

通じるならば鈍くなんかなかろうよ。

ま、圭吾はわざと言ったんだろうけど。


音々は圭吾と会話を終えて

すぐにスースーと寝息を立て始めた。

ものの数秒というところだ。

恐るべし音々。


「ごめん・・・なさい・・・」

不意に音々が寝言を言った。

・・・が、寝言で「ごめんなさい」と言う人は

ほぼいないだろう。

俺が思うに、圭吾と音々が事故った時の夢でも

見ていたのだろう。

俺だって、圭吾と音々が事故にあったと聞いて

驚きを隠せないでいた。

すぐさま病院にいったものだ。


・・・唯一の友達だった二人の事故に俺は涙をも隠せなかった。


昔から友達なんて居なかった。

つくたいとは思ったが、作る勇気なんぞまったくない。

そんなところ、声を掛けてきたのはあの二人。

3年の春。


『君、涼汰、だっけ?』

最初に声を掛けてきたのは圭吾だった。

『・・・そう、だけど・・・』

『おぉ!あってた!音々、セーフセーフ!』

最初はわけのわからない奴で

イラッとしていた。

『ほらみぃっ』

『そのドヤ顔やめろや、腹立つ!』

『ふっ。知るか。あ、急にごめんな、瀬戸。』

『・・・別に・・・』

『あ、なぁ次理科だろ?グループつくらねぇと』

『そうだな。3人グループだろ?あと一人・・・

あ、瀬戸。あたし達とグループなろうぜ?』

いつもグループ決めで残っていた俺を

誘ってくれたのは二人。

マグレだと思ったが

中学になってから聞くと、わざわざ

誘いにきたらしい。

『・・・いいのか・・・?』

『いや、いいのかもなにもあたしらが誘ってんだよ?』

『そーそ!あ、俺は森羅圭吾!こっちは井上音々!

あ、音々は外見女だけど中身は男、ぐはっ』

『だまれ圭吾。そして地獄に落ちやがれ。』

これを見て、こいつらは本当に仲がいいんだと俺は思った。

『仲、いいな』

『まぁな』

『こ、こんなことされるぐらいに、音々は、ぐはっ』

『お前は一回黙れ。そんじゃ、瀬戸も今日から

あたしらと仲よくなろうよ?あ、今日から瀬戸の事りょーってよぼう』

『いいな、あ、音々ってのは実は偽名で本名は、ぐはっげほっ』

『本当に地の底に送り出してやろうか?そんじゃ理科室いこうぜ、りょー!』


そういえば、あだ名で呼ばれたときは

なにかくすぐったかった記憶がある。

あだ名なんてはじめてだったからだと思う。


幼い頃の記憶を思い出していると

不意に、手に温度を覚える。

多分、音々の手だ。

正直音々が今見てるであろう夢は

悪夢にしかならない。


・・・どうか、ここから良い夢見られますように。

そう思いながら、俺は音々の手を握った。

音々の手はやっぱり温かかったわけで。

-ryota-




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ