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*第23話*

「それじゃぁ今からイベントをはじめるぞぉっ!」

おーちゃんが張り切って言う。

あ、時はたって今は食事を済ませてからの

最初のイベントだった。

何をやるかはまだ知らされていない。

「イベントってなにー?」

すかさず2Dの連中が聞くと

おーちゃんはにやっとして答えた。

「その名もっ!冬の肝試し大会だぁぁぁ!」

・・・え?

今・・・なんつって・・・

「冬に肝試し!?」

「さんむっ」

「だからこそ肝試しなんだぞ~!

ここの山は最高だからなぁ」

おーちゃんは嬉しそうに話す。

・・・が、あたしはそのおーちゃんの顔すらも

恐怖に思えてきた。

多分、今、あたしの顔は青ざめてるであろう事。

き・・・きもだめしなんて・・・!

「そしてっ!一番のポイントは、男女ペアで行くということだ!」

『はぁ?!』

『ほんとに?!』

男子と女子では反応があからさまに違う。

男子は「えぇ」って感じだが

女子は「やったぁ」という感じだ。

そして、どちらでもない反応のあたしは

ただいま撃沈中。

「ペアは好きなように決めてくれ。5分で決めろー」

おーちゃんが「はい、レッツゴー」と言って

パチンッと手をたたくと

女子は一斉に動き出し

男子はいっせいに硬直しだした。

圭吾のほうを見ると、案の定女子に取り囲まれていた。

・・・少し胸になにかが刺さったのは

気のせいだと思いたい。


あたしはよろよろと立ち上がり、

ロビーの端にある椅子に座った。

もう頭が回らない。


・・・そう、あたし、井上音々は、

『暗所恐怖症』なのだ。

どんなところでも暗いところが無理なのだ。

確実に死ぬ。


何分かたって不意に横に気配を感じて

振り向くと、そこには圭吾がいて

「やっぱりペアは俺とだよな?」

とニコリとはにかんだ。

「・・・ありがとー・・・」

行く前に半なき状態のあたしは

どこまで哀れなのだ。まったく。

「よーし、5分経過だぞー!

一回部屋に上着とって、ホテルの入り口前集合だ」

おーちゃんの声とともに

皆ちらばって部屋に戻った。


「音々ー大丈夫かぁー?」

部屋に戻っていきなりソファーに倒れこんだあたし。

「・・・大丈夫じゃねぇ・・・」

死んでしまいそうだ。

「まぁとりあえず、行くぞ。」

「あ・・・あぁ・・・。・・・あ・・・パーカー・・・」

「いいから、着とけ。ほら、早く、行くぞ」

圭吾は上着をきてそそくさと部屋を出て行った。

コートを着ているあたしの隣にりょーがきて

「よかったな、音々。」

とニコリと笑って言ってくれた。

「肝試しは最悪だけど、超嬉しいよ」

そう答えたあたしの表情はきっと綻んでいた。


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