*第21話*
ホテルの説明や食事・イベントの説明もそこそこに
おーちゃんはみんなを部屋に返してくれた。
まぁ多分おーちゃんがかなり疲れていたんだろう。
声のトーンが1オクターブは下がっていたであろう事。
(おーちゃんはあれでも学年主任です)
「部屋かえってなにすんのさ」
えいこーが言った。
「俺はゲームするぞー」
とたーちゃん
「俺は読書。」
とりょー。
「あたしも読書」
これはあたし。
「俺もゲーム」
と圭吾。
まぁ結果、全員暇すぎる。
部屋を入る寸前、
「音々、ちょっと」
「ん?」
りょーに呼ばれちょっとしたスペースにベンチがあるところ
連れて行かれた。・・・なんかしたっけなぁ・・・
「なんでしょうか・・・」
「寝る組み合わせ、変えようか?」
「は?なんで?」
りょーのよくわからない言動に
あたしは首をかしげた。
何故に?
「何でって・・・。はぁ。いいんだな?」
「あぁ、べつに。正直どうでもいい」
「・・・そーか。」
またりょーは呆れ顔になって
「そりゃ勘違いもされるわ・・・。」
と言いながら部屋に戻っていった。
あたしはいまだになにを言われてるのかさっぱりだ。
「・・・・あたし、なんかしたっけか・・・・?」
まぁ。いいか
部屋に戻ると、なぜか
えいこーとたーちゃんが
プロレスらしき事をしていた。
いつもは大人しい二人がプロレス(らしき事)とは、
珍しい・・・。
「なにがあったんだ?」
圭吾に聞くと圭吾は呆れた顔で
「たーちゃんがゲームしてたのを
えいこーが取ったんだとよ。」
「・・・小学生以下だな。」
「だよな。意外とこいつら精神年齢5歳かもよ」
「意外とじゃなくて絶対な。ほらぁ!えいこーもたーちゃんも
落ち着けって!つかうっとうしいわ!」
ちょっとイラッとした雰囲気で言うと
二人そろって
『こいつが悪いんだ!』
とこっちを見た。しかも取っ組み合いながら。
「・・・ゲーム取られたぐらいで
喧嘩?プロレスごっこ?するなよ」
「やっとラスボスだったのに
えいこーが取るからゲームオーバーになったんだぞ!?」
「知るかよ!困ってたっぽいからやってやったんだ!」
「それで死んだんだろ!」
はぁ・・・・
「うっせぇっ!二人とも廊下にでて喧嘩しろ!」
あたしは怒鳴って、二人を廊下に蹴飛ばした。
不本意ではあるが、こうゆううるさいのは嫌いだ。
「さすが音々。」
「どうゆうさすがだよ。」
りょーに言われあたしはつっ込む。
まぁ・・・これでも中学の頃はかなり喧嘩売られてた身だしな。
「さぁてっと・・・。読書読書・・・」
「あいつらどうすんだ?」
「気が向いたら入れてやってよ。」
「放置かよ」
「しゃぁねぇだろ」
そういって、あたしはソファに座って本を読み始めた。
「何の本?」
りょーに聞かれ
「僕は友達が少ないって本」
と答えた。
りょーにしては珍しく人の本に興味を持っていた。
いつもなら自分が読む本以外まったく興味ないのに。
「俺も今度よんでみよっかな」
と、これまた珍しいことを言った。
まぁ、面白い本を共有できるのはいいことだしな。
あ・・・そういえば・・・
「圭吾ー、また天魔の黒ウサギ貸してな?」
「ん、わかった。・・・旅行から帰ったら取りにこい」
「OK-。ふぁ・・・やべ・・・また眠くなってきた・・・」
散々寝といてまだ眠いとは、自分の脳が怖いわ。
「あと夜まで3時間ぐらいあるから、寝たら?」
「あぁ・・・そうする・・・。ふぁぁぁ・・・・」
あたしはことり・・・と眠りに落ちた。
-ryota-
俺は音々の寝顔をみながら
わざとらしく言った。
「音々の寝顔は世界一可愛いよな・・・」
わざとらしく、といっても
圭吾に聞こえるぐらいの
独り言のように。
ちらっと圭吾を見ると
むすっとした感じでこっちにきた。
お?やる気だしたか?こいつ。
「ふー・・・。宣誓布告されたんならこっちも受けて立つ。
音々はおれのものだ。りょーになんてわたさねぇ」
「やっとやる気になったか。まぁ精々頑張れよ」
俺はにこりと不適に笑うようにして
音々が寝ている向かい側のソファーに
すわり、優雅に足を組んで本を読み出した。
ちなみに、さっき音々に本のことをたずねたのは
わざとだから。圭吾に嫉妬させるため。
あぁ言う本は俺にはあわないっぽいからな。
ふと、圭吾の声が聞こえないのに気づき
顔を上げると、まぁこいつも
ゲームにかなり夢中なわけだ。
・・・・こいつ、アホか。
ここまで無防備に寝てる好きな人を
襲うということも思いつかないのか?あいつは。
まぁ・・・恋愛スキルほぼ0のカスに近い奴だから
仕方ないっちゃぁそうだが・・・。
よし、ほっとこう。
本番は夜だ。
-ryota-




