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*第14話*

「音々、2時間目始まった」

「ん・・・」

呼ばれて目を開けると

そこにはりょーがいた。

「帰るか」

「うん」


教室に戻るとおーちゃんが心配そうに

「大丈夫か?」

とこっちにきた。

「あ・・・うん。寝てたら復活した」

「ならいいんだがな。旅行の事は圭吾に教えてもらってくれ。

りょーもな。てかお前何してたんだよ」

「寝てた。」

「思った通りだけど。そんじゃ数学始めんぞ」

席に戻ると前から手紙が回ってきた。

「コレ、圭吾から」

「?」

手紙を受け取って開けると

そこには汚い字と小さな可愛いイラストが書いてあって

汚い字の内容は「大丈夫?」だった。

あ・・・心配、してくれたんだ・・・


恋と知ったとたんから人というのは

その恋をした相手の何でもうれしいと感じると

あたしは思った。これがはじめての恋、「初恋」をした

女子の感想。


数学の時間はボーっとしていた。

いつもの事だけど、窓の外を見て

ボーっと。


気がつくとチャイムが鳴った。

あたしはのっそりと席からたち

1階の自販機へ向かう。

今日はお茶を忘れた。金欠だというのに。

ドアを出てすぐ、圭吾に呼び止められる。

「音々ー、旅行の事だけどー」

「あぁ、今から飲み物買ってくるからちょっと待ってて」

小走で向かおうとしたら、いきなり手をつかまれて

びっくりして振りむく。そこには圭吾が居た。

「さっきまで調子悪かったのに走ったらよくないだろ。」

「あ・・・だよ、な」

やばい・・・完璧あたしだけがギクシャクしてる・・・

「俺も一緒に行くから。歩きながら説明するから、な?」

「あ、うん。サンキュ」


自動販売機までの距離は約3分でいける距離。

だけど、あたしにはなぜか遠く感じて・・・


これがあたし、井上音々の人生初の恋の

感覚と感想。

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