*第10話*
AM8:00
「そろそろでるかぁ」
「おう」
あたしと圭吾はいつもながら
ほぼ同時に靴をはき
ほぼ同時に玄関をでる。
「音々、ネクタイしまってないじゃん」
「え?あぁ、別にいいんだよ。」
あたしはほかの女子とはちがって
いつもネクタイをしている。
リボンはなにかこっ恥ずかしくってさ・・・
「そういえばカッターシャツのボタンを止まってないし」
「別にいいだろ。3段までだし」
「ま・・・いいんだけどな」
圭吾があたしの身だしなみについて
何か言うのはいつものことで。
まぁ・・・圭吾も人の事言えた身じゃないんだけどな。
「あー・・・ねむ・・・」
「眠いよりさむい・・・」
そんな同でもいいことを言ってると
学園に着く。あたしの家からおよそ5分程度の場所。
「んじゃ、らしくいくか」
「そうだな」
あたしたちはカレカノとしてこの学園にいる。
でも、それは偽り。偽の彼氏と彼女。
危ない事もあるけれど、これが告白を断る口実にもなり
意外と楽なのかもしれない。
学園の門をくぐると、あたしたちは手を繋ぎカレカノ風に
自分たちを仕立て上げる。なんか結構酷い言い方だけどな・・・。
「相変わらず皆の注目の的だな」
「つか男子の視線が痛い。」
「あたしも女子の視線が痛い。」
二人で顔を見合わせてクスクスと笑う。
あたし達が仲いいのは小さい頃からだけど
ここの学園にはあたしたちと幼馴染の人はいなくて
1人を除いては違う高校に行ってしまった。
理由は・・・
実はあたし達が行ってた中学は中高一貫だったんだけど・・・
その中学は結構遠くて、事故にあった圭吾には不便で・・・。
怪我は大怪我といっても右足骨折だったんだけど
全治3年とこれまた酷く折れたのだ。
だから、中学よりも近いこっちの学園を選んだわけで
あたしは圭吾と離れたくなくてこっちの学園にきたわけだ。
朝のHRが始まる。
2Dの担任小倉透真先生、通称おーちゃんは
えらいニコニコしながら教室に入ってきた。
「皆おはよー」
「おはよー。先生~なんかキモイよー」
「いや朝来ていきなりキモイはないだろ」
「だって朝からニコニコしてるからさ」
圭吾がおーちゃんの異変に突っ込んでいた。
皆それを笑いながら聞く。いつもの事。
「みんなにいいお知らせがある」
「おーちゃんが結婚するとか?」
「おまっ・・・!俺を泣かせる気か!」
おーちゃんはいまだに独り身男性。ちなみ年齢は33歳。
結構イケメンだとあたしは思うけどモテないらしい。
「独り身はつらいね~」
「ちょ、てめだまれっ!今日はお前らにとって
すごーくいいお知らせだぞ!」
「なになにー?」
「クリスマスの日、みんなで旅行にいけることになった!
もちろんほかのクラスと一緒だがな」
先生の突拍子もないいいこと話に
皆唖然としていた。




