*第1話*
「あ、あの・・・!ボクと付き合ってください!」
「・・・・・」
世の中、不吉なものだよな。
なんだって、あたしは今一度も会話したこと無い男子に
告白なんてされてるんだろう・・・。
「あの・・・君、誰?」
「あ!えと、僕は、2Aの本田と言います!」
「本田・・・君・・・(?)」
いや、まじで誰。
2Aって・・・かなりの賢いお方がいらっしゃるクラスだよな。
「・・・ごめん、知らないし興味ないし、なんか、ごめん」
我ながら酷いとは思うけどさ、こういう振り方じゃないと
あきらめてくれないだろ。多分。
あたしはスタスタと自分の教室に戻る。
今は放課後。そしてあたしは日直。
あぁ、だりぃ。んでもって・・・
「寒い!」
今月は冬まっさかさりの11月。
そして今は11月下旬。
はぁ・・・はやく学校おわんねぇかなー。
ここは公立森羅学園。
そこの2D生徒、井上音々(いのうえねね)。
成績は2Dの中では上のほうの人材。(それでもほぼオール3)
所詮は2D。一番アホのクラスだから、しゃぁないわな。
教室の前まで来ると、中から話声が聞こえた。
『あ・・・あの・・・圭吾君!』
『こんな放課後にどーした?』
圭吾?と・・・誰だ?
『わ、わたしと!付き合って、くれませんか?』
また可愛い声の子女の子だな。
多分2A?B?C?の女子だな。つか・・・2Dに女子いねぇしな・・・うん・・・。
『んーごめん、俺今そういうの興味ないんだわ。ごめんね』
『えと、じゃ、じゃぁ!お友達・・・から・・・』
『ごめん、俺お堅い女の子とはあわねぇの。』
『え、でも・・・!』
『もういい?俺、課題のこってんだ』
『・・・圭吾君のバカ!』
そういう声とともにドアがいきなり開いて
その告白をしていた女子は去っていった。
あたしは教室に入って、圭吾に声をかける。
「これまた酷い振り方だな」
「あれ。聞いてたのか?」
「まぁね。あたしもさっき告白されたばっかりだから。」
「お前もまたなんだな。で?結果は?」
「もちろんふったっつーの」
「だーよなー。てか、お前の振りかたもどうせ大概だろ」
「まだましだろ。『ごめん、知らないし興味ないし、なんかごめん』って言って
帰ってきただけだから大丈夫だろ」
「いやいや、かなり酷いと思う。俺ならなくぜ?」
「しらねぇっての。はぁ・・・告白なんてもうまっぴらごめんなんだけどー。」
「だーよなー・・・あ、俺!ちょっといいことおもいついた!」
「は?なに?」
あたしは自分の席について、頼まれた資料閉じをはじめる。
「俺ら、付き合おうぜ!」
「・・・はぁ?」
「大丈夫。い・つ・わ・り!の彼かの!だからさっ」
「・・・はぁ・・・?」
「え、きにくわねぇ?」
まぁ・・・そりゃ気に食わないけど・・・
だって、幼馴染の圭吾とあたしが付き合う(いつわりでも)とか
なんか、気がひけるんだよなー・・・
いやまぁ・・・でも、適作かもしれないな・・・
「よし。のった。これで断る口実ができるもんな」
「よーっし!決定!俺らは偽り彼かのっ」
「よろしく!」
こんな感じでできた偽りカレカノのあたしたちの関係。
相手は幼馴染の森羅圭吾。同じく2Dのアホ。
てか・・・
「ちょ・・・とにかくさむいんだけど・・・」
「課題終わらせてさっさとかえろうぜー」
「だなー・・・。って、あたし課題じゃないし!お前だろ」
「まぁまぁ。」