伝染
10:45
旅客機が東京近郊の工業団地に墜落
すぐに消防などが墜落地点へと急行したが旅客機は大破し炎上していたので、生存者の存在は絶望的だと思われた。
しかし、生存者ではなく奴らはまだしぶとく生き残っていた。
「誰か生存者は居ませんか!?」
「いたら返事をしてください!」
消防隊が必死になって生存者を捜索してはいたものの殆どは原型を留めておらず焦げ付いた何かになっていた。
しかし、ある一人の隊員が視界のなかの瓦礫の中で動くものを見つけた。
「生存者がいたぞ!!」
この一声で周りの消防隊員が駆け寄ってきて要救助者を救助しようと周りの骨組みを解体し救出した。
瓦礫の中から出てきたのは少女だった。
すると次の瞬間近くにいた隊員に噛み付いた……
「うわ何をする、いてぇこいつ噛み付いてきやがった!! だ、誰か助けてくれ!」咬まれた男は悲鳴に近い声を出しながら言った。
周りの消防隊員達は何が起こったのか理解することが出来なかった。
「何をしているんだ、そいつを早く引き剥がせ!」と駆け寄ってきた隊員が言った。
周りの消防隊員がようやく正気を取り戻すころには噛み付かれた男の皮膚が抉り取られていた。
「は、はは早くそいつを取り押さえろ!」
別の男がそう言っている間に旅客機の周りのあちらこちらから(奴ら)が這い出てきた。
「お、おいどうなっているんだ!?誰でもいい答えてくれ!」
「知るか!そんなことよりも噛み付かれたあいつを担いで早く逃げるぞ!!」
「りょ了解!」
そして墜落地点から200m程離れてから異変が起こった。
咬まれた消防隊員が担いでくれていた筈の消防隊員の首を噛み切った……
「こ、こっちに来るな!来るんじゃない!た、頼む助けてくれ!」
瓦礫の撤去用に持っていたバールを振り回し少しは数を減らしてはいたが(奴ら)の返り血で落としてしまい消防隊の最後の生存者は仲間だった筈のなにかによって殺され(奴ら)の仲間入りを果たした。
そして(奴ら)は市街地へと向かって行った。
― とある企業の敷地内にて ―
12:50
敷地内のスピーカーから
「只今より模擬戦を開始します。」
とアナウンスが流れた。
開始の合図とともにOCP迷彩服を着た集団と迷彩服3型を着た陸上自衛隊の部隊(両チーム合わせて480人)が模擬戦を開始した。
戦闘を行っている訓練施設は管理施設を含め約50000㎡もの広さを誇り現在はその敷地内でも約半分もの屋外の訓練フィールドで訓練を行っている。
但し、陸上自衛隊側の装備が89式小銃ではなくH&K製 HK416を装備しており通常の部隊とは異なることが分かる。
とはいってもACU迷彩を着た方の装備は銃弾の口径こそ統一化されているものの隊員によって全く違う装備をしている者がいる。
代表的なのが M110 sniper weapon system を装備していて更にギリースーツで周囲から見ても殆ど分からないレベルで周辺の森林に溶け込んでいる男達の存在だ。
「まさか、俺らみたいなのが『特殊作戦群』と模擬戦をすることになるとはなぁ…… 勝てると思うか?」← 一応本作の主人公 狙撃手 ちなみに基本的な一人称の視点
「特殊作戦群の本気か? いいぞ本気でかかってこい!!」こいつは俺の相棒で「佐藤 秀夫」まぁどんな奴か説明すると半自宅警備員だ(兵士と言った方が合う気がするが気のせいだ)。一応戦闘時には真面目にやる。
そんな事を言っている間に訓練場の至る所で銃声が鳴り始めた。