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墜落

研修でしばらく執筆することが出来ませんでした。

― 作戦区画D-3 ―

Side アメリカ合衆国 ストライカー旅団戦闘団 ジョセフ・ハドソン二等軍曹

12:40


先程の感染者達の撃退の際にストライカーに搭載していた弾薬類の殆どを使い切ってしまった為に今はM16A4を使って奴らの数を減らしていっている。


「何故だ!? 連中には弾丸が効かないのか!?」すぐ隣で89式小銃を発砲していた空挺部隊員が、弾倉に入っている最後の弾薬を撃ち切りながら怒鳴った。

「頭部だ! 頭部を狙え!! 奴らにも、弾丸は通用するぞ! そこの人! これを使え!!」所持していた弾薬をすべて使い果たした自衛官に自分が先程まで使用していたライフルとマガジンを投げ渡した。


「すまない」

「気にするな! それより生きて帰ったら一杯やらないか?」 そう言いながら俺は、MK48 Mod0 の機関部上面を開き、200発ベルトリンクに繋げられている7.62×51mm弾を装填した。


「生きて帰れたらな!」 その返事と共に俺は、トリガーを引き絞った。


軽機関銃を扱う際のコツは、狙撃銃の様に点で狙うのでは無く、銃口を左右に移動させて面で制圧することだ。


MK48 Mod0 の連射速度は一分間辺り725発ばら撒くことが出来るので、今みたいな状況に打ってつけの火器であるが、少しずつ奴らの数に押されて行くのは明白だ。

5分程経っただろうか?

弾丸の撃ち過ぎで、銃身が真っ赤になり銃身の交換が必要になっている。

何故ならすでに、3000発以上も連中に向かってばら撒いているからだ。


「すまないが、銃身の交換が必要だ! 援護を求む!!」

全ての弾薬を撃ち尽くしたストライカー出て来たクリスが、M4A1を構えながら駆け寄ってきた。

背中に背負っているリュックの中から、Mk48 Mod0専用の整備キットを手際よく取出してから、耐熱手袋を両手につけて銃身固定部の解除ピンを押して焼けついた銃身を足元に投げ捨ててすぐさま新しい銃身に取り換えた。


最初は、800m程先に居た感染者達の群れだが今では、500m程に迫っている。

このままでは生存者の全滅も間近である。


「クソッもうこちらの車両には、弾薬が残っていない! あんたらは残っているか?」

「7.62mmならだいぶ残っているが、5.56mmはほとんど残っていない!」 叫びながら、OD色の弾薬箱を持って駆け寄った。


《只今其方の後方240m地点に輸送ヘリ部隊が到着した。 防衛戦の戦闘の部隊は、後退して来い。》 司令部からの通信が入った。

《此方、ジョセフ・ハドソン二等軍曹です。 もう弾薬の残りがありません!!》


《輸送ヘリ部隊の連中に弾薬を後方に降下してもらった。 それを使え。》

《了解! ボス》


それだけ聞いて、防衛線の先頭に居た俺らは、後退を開始した。


空を見上げると、硝煙の白い煙が立ち込めてはいるものの青空が広がっていた。

空気を切り裂くブラックホークのローター音が聞こえて、ドアから、弾薬類が大量に入った箱が投下されてパラシュートで減速しながら、別の部隊が焚いていた戦術マーカに見事に衝突した。


酒を飲む約束をした自衛官が弾薬箱に駆け寄って、他の部隊員にも配った。


《近接航空支援を要請する!!》

《了解した。 座標を指示してくれ》

《座標は……クソッ、迫撃砲だ!! 戦術マーカーを焚くから、そこから北に450mの地点に最適な火力を頼む!!》

《了解! 攻撃を開始する!!》


通信を終えて空を見上げるとAH-1が空を切り裂くローター音と共に過ぎ去り目標の50m手前でホバリングをしてウェポンベイに搭載していたハイドラ70ロケットポッドを使用して感染者達を蹴散らしているが、19発入りのポットはすぐに残弾が0になり30mm M230チェーンガンに切り替えた。

70mmのロケット推進弾に比べると口径の差で脆弱な装備に聞こえるが、M789 HEDP(High-Explosive Dual Purpose)を毎分650発で発射することができるので凶悪な装備である。


因みにM789 HEDP弾は、均質圧延装甲(日本の74式戦車の装甲板などに採用された)を正面から2500m先の距離で50mmの貫徹能力を誇り、更に、多目的榴弾なので爆発の際の破片によって半径4mの範囲での殺傷能力を持つ。


「初めてこんな戦闘を体験したが、ここまで激しいものなのか……」

「いや、こんな戦闘は、俺達も初めてだ。 なぁクリス」

「あぁ。 ただ、いくら最適な火力って言ってもあれはやりすぎじゃね?」

「気にするな」


AH-1自体は、ベトナム戦争から使用されている機体だが、幾度となく改修されて現在でも使用でき最新版モデルは、AH-1バイパーと呼ばれている。


先程からチェーンガンから放たれている多目的榴弾が、着弾と共に周辺の地形ごと抉り取って感染者達を跡形もなく消し去っている。


《司令部聞こえるか? 弾薬がそろそろ底を尽きる。 補給の為一時帰投する。》

《了解した。 混成部隊はそのままその地点を防衛してくれ。 君達が1分時間を稼ぐ間に、15人の命が救われている。 最大限の努力をしてくれ。》

《そろそろ限界なんだが…… まぁ耐えてみせるさ。》


輸送部隊からの通信で《此方、ホテル3-1 現在、其方の位置に向かっている。 耐えきってくれ。》

それだけ言うと無線を一方的に切断された。


遂に、MK48 Mod0本体から、煙が昇りだしたので俺もM4A1に持ち替えて応戦した。

30発入り弾倉は、軽機関銃の200発入りの弾奏と比べると心細いが、気にしてはいられない。

マウントレールに搭載されていたEo-tech製のホロサイトの照準の明るさを最大まで上げてサイティングしやすくしてから、ライフルの安全装置のポジションをセミオートに変更して弾薬を節約しながら確実に……とまでは行かないが順調に数を減らしていった。



32分後

殆どの部隊の撤退が完了して残るは、自衛官と俺たちの混成分隊だけとなった。

俺達を回収してくれる最後のヘリが向かってきた。


《あんたらで最後だ。 もう1~2分で到着するから持ちこたえてくれ。》

《了解!! ただし出来るだけ早く頼む!》

《努力はするが、持ちこたえられそうに無い!!》


その直後に、耳障りなアラート音がインカムに入った。


《レーダー照射!? クソッ、対空ミサイルだ! 回避する! フレア展開!!》


それと共に、機体下部に取り付けられていたフレア射出装置から、オレンジ色の高温で燃えていて大量の煙を放ちながらフレアが放出され、操縦手が機体をバレルロールさせて携行式対空ミサイルを回避しようと試みたが、人民解放軍の特殊部隊が使用したQW-4携帯対空ミサイルは、赤外線画像誘導方式でフレアがあまり効果が無い為にテールローターに被弾した。



《メーデー メーデ 此方、ホテル3-1テールローターに被弾した!! 当機は墜落する! 繰り返す、此方、ホテル3-1テールローターに被弾した!! 当機は墜落する!!》


「おい、嘘だろ……」

「クソッ、いったいどうしろって!?」

「……」


最後の脱出便が、目の前で撃墜されて絶望感で空を見上げると、そのヘリが、こちらに向かってきりもみ回転をしながら落下してきた。


「こっちに向かって来てるぞ! 逃げろ!!」


周りの連中が「?」と空を見上げて、殆どの奴が驚愕の表情を浮かべ、直後に全力で駆け出した。


2秒後、激しい衝撃音と共に、UH-60が墜落した。


派手に墜落したブラックホークに兵士が駆け寄ると、操縦手しか搭乗していなかったようでコクピット以外には誰もいなかった。


コクピットの中は、誰だか解らない程、損壊した遺体があった……



と言う訳では無く、右手親指を立てて生存をアピールしているパイロットがいた。

「誰がリアル『ブラックホークダウン』をやれと言ったんだよw」

「んなこと言われてもwww」


《操縦手は生きていたのか!? 一体どうなんだ!?》司令部からの通信が入った。

《頭を強く打っただけだ。 問題ない。》


《で、一体これからどうするんだ?》

《安全な場所に退避しておいてくれ。》


《安全な場所なんてないだろ……多分。》

《ビルの屋上とか?》

《取り敢えず了解した。》


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