Episode:04
このシリーズは既に完結まで執筆しております。
3日ごとに予約投稿をしておりますので、気長に読んで頂けると嬉しいです。
「片付けより……追跡が先ですね」
その時――
ピンポーン。
慌ただしい中での来客。無視することもできるが、紳士たる相談所のホストとしてはもてなさねばならない。
(来客ですか……まぁ、先程の二人はこの都市から出ない限りすぐに見つけられますから問題ないでしょう)
ジャックは玄関を開けると、修道服の初老の神父と若いシスターが立っていた。
「突然の訪問、申し訳ございません」
神父が帽子を取り、一礼。シスターも頭を下げる。
「いえいえ、ここは相談所でございます。24時間、365日、年中無休でどんな依頼もお受けしますよ。さっ、どうぞ上がってください」
「失礼いたします」
ジャックは来客用のスリッパを用意し、二人を案内した。二人は部屋に案内されると乱雑された部屋を見て驚いた。
「もしや、お忙しい時にお邪魔しましたか?」
「申し訳ございません。先程、アクシデントがありまして。このような状態ですが、どうぞお座りください」
二人が席に座ると、ジャックは戦闘で無事だった棚から花柄のカップを取り出し、キッチンからティーセットと来客用のお茶請けとしてとっておいたスコーンを用意して、二人の前に置いた。
「粗茶ですが、どうぞ」
「これはありがとうございます」
神父はにこやかに紅茶を飲み、スコーンを一口齧る。
「このスコーン、美味しいですね」
「ありがとうございます。実は手作りでして」
「そうですか、ぜひ作り方を教えてもらいたいですね」
「神父様にそう言っていただけるとは光栄です」
「いえいえ、私はそんな大層な人間ではありません」
ジャックが嬉しそうに頭を下げると、神父は促すように頭を上げる。
「……エヴァン様」
「おっと、自己紹介がまだでしたね。私たちはこの区間の最北端にある『ブリュンヒルデ教会』の者で、私はエヴァン・ヘリオと申します。こちらはシスターのオルカです」
「よろしくお願いします」
エヴァンと名乗った神父はシスターも紹介し、オルカも一礼する。オルカは大きめのアタッシュケースを持っていた。
「これはご丁寧に。知っていると思いますが、私はJack・O・Lanternと申します。それで今回はどのようなご依頼で?」
「実はこの子を探していまして」
神父はポケットから写真を取り出し、ジャックに見せる。そこに写っていたのは、先ほどの少女――アリスだった。
「…………この子は?」
ジャックは一瞬沈黙したが、あえて知らないフリをする。
「この子の名前はアリスと申します。昨晩から迷子になってしまい、私たちだけでは見つけられず、依頼に参りました」
「成る程……どうして迷子に?」
「お恥ずかしい話ですが、シスターと買い物に出かけた際、目を離した隙に姿を消してしまって……」
「それは……心配ですね。ところで、失礼ですが写真を見る限り、彼女は改造者のようですが?」
「……え、えぇ。数年前の事故で補助的に改造者になったのです」
「なるほど……」
ジャックは直感する――この二人、いやブリュンヒルデ教会自体が何か暗躍している。もしくは改造者を利用して何か企んでいる。アリスは年齢的に7~10歳ほど。普通にその歳で改造者になることはあり得ない。補助的処置なら国から証明書が発行され、本人が携帯するはずだ。アリスは持っていない。違法改造だ。
それに、先ほどのアリスの怯え方とベオルの改造者嫌悪。間違いなく何か絡んでいる――。
ジャックは悟られぬよう平静を装って話を続ける。
「……わかりました。依頼はこの少女の捜索ですね」
「えぇ、お願いします。報酬は……シスター・オルカ」
「はい」
オルカは椅子横のアタッシュケースを取り出し、中身を見せる。大量の札束、ざっと見ても80万円以上。
「少しですが、依頼をお受けいただけるなら80万。成功すればさらに80万上乗せします」
ジャックは平常心を保ち、アタッシュケースを元に戻す。
「神父エヴァンの頼みです。この依頼の報酬は結構です」
「と、とんでもありません!」
「迷子探しなど朝飯前……今は11時なので昼飯前ですね。見つけ次第、教会にお連れします」
「本当に報酬は?」
「えぇ、結構です」
「……わかりました。では、私たちは教会に戻ります。何かありましたらお越しください」
エヴァンたちは玄関で一礼し、階段を下り去って行った。
ジャックは一人、考える。
(さて……どうしましょうか。人探しに160万ですか……怪しいにも程がありますね。おそらくお金で動くか試したのでしょう。お金で解決するなら、あちらも楽でしょう……)
こめかみに手を当てると、脳内に塔郷の全体図が浮かぶ。赤いポイントが一つ、南へと移動中――。
(あそこか……身を潜めそうな場所は……)
スーツの襟を整え、ジャックは相談所を後にした。
物陰からそれを見守るエヴァンとオルカ。先ほどの優しい笑みとは裏腹に、エヴァンの口元には薄気味悪い笑みが浮かんでいる。
「あとはお願いしますね……シスター・オルカ」
「……はい……」
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