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Episode:03

このシリーズは既に完結まで執筆しております。

3日ごとに予約投稿をしておりますので、気長に読んで頂けると嬉しいです。

 レベッカをパープルの元へ無事に届けた後、ジャックは一仕事を終え、仕事場――ランタン相談所へ帰る途中だった。


(さて、依頼も無事、終わりましたし仕事場に戻ったら小説の続きでも読みましょうか。……おっと、お茶請けが切れているのを忘れていました。今回は少し奮発して都市部にある美味しいケーキ屋さんにでも足を運びましょうか。たしか、あそこのケーキ屋さんはガトーショコラが有名だったはず……)


――そんなことを考えながら歩いていると、ふと、通り過ぎた路地裏に妙な影が目に入った。


「おや……?」


気になって引き返したジャックの視界に飛び込んできたのは、倒れている大柄な男。身長は軽く二メートルを超えている。だが、よく見るとただの人間ではない。犬や狼のような獣の顔、灰色の毛むくじゃらの体、鋭い爪――完全に獣人だ。


ジャックは静かに近づき、右手を男の顔に近づけた。微かに温かい息が手に当たる。


「……息はあるようですね……ですが」


男の体を改めて確認する。無数の傷、切り傷やみみず腫れ、鞭や刃物でつけられたかのような痕が目立つ。


「酷い怪我だ……救急車を呼ぶべきか……いや、この傷の付き方からすると、何か訳ありのようですね……」


ふと、ジャックは違和感に気づく。男はうつ伏せで倒れているのに、何かが異様に膨らんでいる――まさか……


ジャックがそっと男を動かすと、男の下には幼い少女が倒れていた。どうやら男は、少女を守るように倒れていたらしい。


その姿を見たジャックの目が大きく見開かれる。


――少女の四肢は機械でできていた。改造者だ。しかも右手の甲には、登録番号のようなものが刻まれていない。


(こんな幼い少女が改造者……しかも違法改造……本当に訳ありですね)


「ひとまず、相談所に連れて行って治療するしかありませんね」


ジャックは二人を抱え、急ぎ足で仕事場へと向かった。


数分後、相談所に戻ったジャックは、二人を寝室に寝かせ、簡単な応急処置を施す。少女は目立った外傷はないが、獣人の男は重傷だ。傷薬を塗り、包帯を巻く

あくまでも応急処置なので、完治までには時間がかかる。


処置を終え、寝室から退室しようとしたそのとき――


「……ん……」


眠っているはずの少女の声が微かに聞こえた。寝息か寝言かと思ったジャックだったが、少女はぱっちりと目を開け、おぼろげな表情で起き上がる。


「おや……お目覚めですか?」


ジャックが声をかけるも、少女は黙ってジャックを見つめるだけ。


「どうしました?」


「…………お……」


小さな声で何かを呟くと、瞳はエメラルド色に輝き、涙が滲む。


「……おばけ……」


ジャックを指さし、少女はポロポロと涙を落とす。


「お、おばけ……? あっ……」


なるほど、知らない部屋で、目の前にはカボチャ頭の怪しい男――幼い少女なら誰だって怯える。ジャックは自分の軽率さを反省しつつ、寝室の花壇から胡蝶蘭を一輪手に取る。そして、片膝をつき、優しく差し出した。


「どうか怯えないでください、小さなレディ。私はJack・O・Lanternと申します」


少女は恐る恐る胡蝶蘭を手に取り、じっとジャックを見つめる。


「じゃっく……えーと……」


「ふふ、ジャックで構いませんよ」


「ジャ、ジャック……?」


「はい。道端で倒れていたあなたとお連れの方を、保護させていただきました」


「べ、ベオルは……!?」


少女の叫びに、ジャックは隣の獣人を指さす。


「安心してください。怪我していましたが、今はゆっくり休んでいます」


少女は安堵の息を漏らした。


「ところで、お嬢さんのお名前は?」


「あ、アリスです」


「Miss.アリス……素敵なお名前ですね」


アリスは胡蝶蘭を握りしめながら微笑む。


「良い笑顔です……ところで、服の中にカードなどはありませんか? 偉い人から支給されているはずですが」


「え? カード? 知らないよ」


「そうですか……失礼しました。それと、もう一つ。どうしてあなたとMr.ベオルはあの場所で倒れていたのですか?」


その質問にアリスは一瞬、顔を青ざめ、震え出す。


「うぅ……あぁ……や、やだ……」


ジャックは慌ててアリスの背中を優しく撫でる。


その瞬間――


「うっ……ここは……」


 最悪のタイミングで、隣で寝ていたベオルが目を覚まし起き上がる。そして、怯えているアリスとそのアリスに触れるジャック。

 ベオルから見たら得体のしれないカボチャ頭が知り合いの少女に触れている状態だった。


「申し訳ありません。これはですね」


ジャックが近づくと、ベオルは鋭い爪をむき出しにし、低く唸った。


「誰だ、てめぇは?」

「私はJack・O・Lanternです。ここは私の仕事場ですよ」


ジャックは両手を上げ、敵対心がないことを示す。しかし、ベオルは警戒を緩めない。


「……お前もアイツらの仲間か?」

「少なくとも、あなた方の味方です」


ベオルはアリスに目をやり、短く唸る。


「心配するな、アリス」


その言葉で、アリスは少し安心した。

だが次の瞬間、ベオルは攻撃態勢を取り直す。


「グルウゥゥ……」


爪が空気を裂き、牙が光る。速度も威力も尋常ではない。

ジャックは素早く右手を構え、防御に専念した。


「勘のいい奴だな……」


爪が喉元に迫り、弾かれた衝撃で金属の右手に小さな火花が散る。

ベオルの動きは止まらない。


「てめぇ……魔改造者か?」

「えぇ、そうです」

「やっぱり無法者じゃねぇか!」


ジャックは右手で爪を受け止め、反撃する隙をうかがう。

衝撃が掌に響く。火花と金属片が宙に舞った。


(……これは厄介だ)


ジャックは冷静に状況を分析し、ベオルの動きの癖を探る。


数度の攻防の後、ベオルは窓際に移動した。

ジャックは気づいた――下を覗くベオルの目には、逃走の意思がある。


「じゃぁな、カボチャ野郎!」


ベオルは蹴りで窓を破り、そのまま夜の街へ飛び去った。

荒れ果てた部屋に残されたジャックはため息をつく。

窓ガラスの破片と家具の残骸、戦いの跡が静かに散乱していた。


「片付けより……追跡が先ですね」


【※読者の皆様へ。重要なお知らせ】


この話を読んでいただきありがとうございます。


「面白いかも! 続きが楽しみ!」

「陰ながら応援してるよ!」

「引き続き頑張ってください!」


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是非とも宜しくお願いいたします。


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