表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/45

3 大監獄ディオスガルグ

「まずは人間界と異世界の関係についてはご存じでしょうか?」


 10年前の何も知らない俺たちにとってはこの校長の発言はヤバいやつ⋯⋯で終わっていたかもしれない。

 急に呼び出しておいていきなり厨二発言か?おいおいと思ったかもしれない。

 だがこれは決して漫画やアニメの見過ぎとか夢の世界に入り浸って現実と区別できていないとかそういうのではなく、当たり前となってしまったこと。つまりは常識だ。


「10年前の事です。ここ人間界以外の世界、すなわち異世界の存在が確認され、それによりアメリカやイギリス、ドイツなどの先進国が異世界との会談を開くことで、文明についてやその情勢について次々と解明されました。

 今はまだ一部の上流階級者や政府関係者など限られた者しか異世界との関わりはないですが、いずれは人類が頻繁に異世界へおもむく日もやってくるでしょう。最近では物資の輸出入についても話が進められているそうで⋯⋯」


 とまあ俺たちもニュースで見聞きしたことがあるような内容が校長によって再度伝えられた。

 校長が咳払いする。


「さて、前置きもそろそろに。本題に入りましょう西条君」


 突然名前を呼ばれびくりとした。この場の全視線が俺一点に向いている。


「ディオスガルグ監獄の名前は知っているかな?」

「ディオスガルグ監獄⋯⋯」


 首を縦に振る。

 昔集めた記事の中の一つに取り上げられていたのを思い出した。それに前にニュースで取り上げられていたこともある。

 たしか6つの世界でそれぞれ罪を犯した者たちが収容されている監獄で、鉄壁の要塞と紹介されていたはずだ。

 校長も俺の様子に頷く。


「ディオスガルグ監獄は六世界の一つ、神界が運営する全世界最大の監獄です。

 その内部事情は監獄職員と運営に関わる限られた者しか知ることを許されない。

 ですが、一般公開されている数少ない情報でも世界中から集められた凶悪な犯罪者たちが収容されている場所だということはご存じでしょう。600年前の開獄当初は神界、天界、魔界など一部の世界の罪人たちが収容されていましたが、200年ほど前、新たに人間界を含む3つの世界のディオスガルグへの収容を認め、六世界の囚人が集まる監獄となりました」


 校長は一息つき続ける。


「そして、同年に精霊界。その15年後に初めて人間界の囚人たちが加わりディオスガルグは六世界全ての囚人を収容する監獄となりました」


 六世界の囚人⋯⋯つまり囚人には当然悪魔や妖精、妖怪といった種族がいるわけで⋯⋯だとすると人間界では凶悪犯と呼ばれるような囚人たちよりよほど凶悪なのではないだろうか。

 ごくりと唾を飲み込む。


「囚人が6つの世界から集められているのならば、監獄で働く者たちもまた六世界から集められた職員たちです」


 つまり、人間界では当然人間が囚人たちを監視するがディオスガルグ監獄では六世界全ての世界で罪を犯した囚人が収容されているから同様に六世界全ての種族が働いていると。


「えっ⋯⋯と、そのディオスガルグ監獄が何か関係があるんですか?」


 まさかいきなり監獄に収監されることが決まりました、なんて言われることはないだろうが⋯⋯え、ないよな!?


 ちらちらと視線を校長と理事長、卯島の後方に控えるいかついスーツたちに向ける。

 唇は引き締められ何を考えているのかは全く分からない。

 でも髪も地で金髪っぽいし外国人だろうな⋯⋯。

 外国人ボディーガードっぽい人が校長室にいる。で俺は呼び出されて突然監獄の話を振られる。

 ――まさかそういうことなんじゃ。

 おそらく俺の顔は蒼白だっただろう。


「西条くん。よく聞いて欲しい」


 物々しい口調で真剣な面持ちの校長たち、両親の視線が俺に向けられる。


「君に監獄職員神界特待職員の案内がきている」


 時が止まるというのはまさにこのことなのだと理解した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ