第3章94話:罠2
「ここに罠があるわ。隠し部屋を出ようとすると、背後から攻撃が飛んでくる仕掛けみたいね」
その言葉を聞いて、ルミは肩をすくめた。
「それはなんとも……いやらしい罠ですね」
「全くね。下層の罠って、とんでもなく凶悪だわ。とりあえず罠を破壊するわね」
来花がスキルを使って罠解除を行った。
これでもう安全である。
リスナーたちは、来花は下層では役に立てないと思っていたが、この光景を見て、少し見直した。
『来花も結構やるじゃん』
『有能ツインテール!!』
『来花は空気になるかと思ってたけど、思ったより役に立ってんなwww』
『さっき転移に引っかかったから、念入りに罠チェックしてたな』
『隠し部屋を出るときに発動する罠ってwwww』
『下層の罠は鬼だなw』
『Aランクダンジョンはこんなもんだろ。敵もヤバイけど罠もヤバイ』
「終わったわ。さあ、今度こそいきましょうか」
「はい」
隠し部屋をあとにする。
二人は迷宮の奥へと進み始める。
通路はやはり一本道だ。
寄り道できるところはなく、ただただ定められた道を進んでいく。
通路にはところどころ罠があった。
それらを事前に見抜き、来花が解除していく。
やがて、二人はふたたび部屋に辿り着いた。
縦横40メートルぐらいの部屋である。
周囲を見渡しながら、中に入る。
部屋の真ん中あたりまで来たとき、ふと上を見上げた。
「ん……」
かなり高い天井だ。
20メートルぐらいの高さはあるだろうか?
いや、問題はそれよりも。
天井に何かある?
あれは……。
「吊り天井よ!!」
来花が叫んだ瞬間。
天井が勢いよくずり下がってきた。
部屋の大きさとほとんど同じサイズの吊り天井であり、部屋の中にいたら、回避する隙間がほとんどない。
このままじゃ潰される!!
来花はルミの手をつかんで、奥の通路へ駆け込もうとする。