第3章93話:罠
30秒ほど調べたのち、来花は報告した。
「矢、もしくはそれに類する何かが飛んでくる魔法罠が仕掛けられているわ。飛んでくる方向は、そっちの壁から、こっちの壁に向かって」
「なるほど……では、矢の射線に入らなければ当たらないということですか」
「そうなるわね」
オーソドックスな罠である。
ただ、本当に飛んでくるのが矢なのかがわからない。
そこだけは心配であった。
「じゃあ、開けるわよ」
来花は宣言してから、宝箱に手をかける。
バッと開いて、すぐさま飛びのいた。
次の瞬間、来花が予測した位置に魔法陣が出現し、その魔法陣から何かが射出された。
矢ではない。
バリスタである。
バリスタはあらぬ方向へと飛んでいき、壁をえぐるように破砕してから、地面に転がった。
「え、えげつない罠ね。さすが下層……」
来花は戦慄した。
まともに食らったら死ぬこともありえる罠だ。
「宝箱の中身は、杖みたいですね。隠し部屋は来花さんが見つけたものですし、どうぞ」
「いいえ。私もたくさん素材を貰ったから、その杖はあなたに譲るわ」
「ん……でも素材は買取ですよね? あげたわけじゃないので、恩を感じる必要は―――――」
「いいのよ。あなたが貰っていってちょうだい」
来花としては、命を守ってもらっているだけでも十分な恩義だ。
できるだけ恩返しはしておきたい。
来花が固辞するので、ルミは杖を貰うことにした。
「まあ、私、杖とか持ってても使わないんですけどね……売却したら高く売れるんでしょうか」
そう言いつつ、アイテムバッグに収納する。
「じゃあいきましょうか」
「ちょっと待って。この部屋、まだ何かあるわよ」
来花が周囲の壁に近づく。
そこで罠チェックのスキルを発動すると、壁に罠があるのを発見した。
宝箱の罠は既に発動したはずだ。
なのに、何故?
調べてみると、すぐにわかった。




