第3章87話:下層
さっきまでは、こんな魔法陣は無かった!
突然現れたのだ。
すでにルミと来花は魔法陣の真ん中にまで入ってしまっている。
「罠です!」
ルミが叫んで、来花を掴んで離脱しようとした。
しかし、もう遅い。
魔法陣は発動し、そこに描かれたスキルを顕現させた。
視界が移り変わっていく。
これは……
――――転移、だ。
魔法陣の外に出ようとするが、叶わない。
見えない防弾ガラスでもあるかのように、透明の壁に脱出を阻まれる。
ルミが拳を叩き付けようとしたが、その前に、転移は完了してしまった。
魔法陣の光が消え、周囲の景色は完全に切り替わっていた。
洞窟ではなく、迷宮である。
「ここは……」
縦60メートル、横50メートルほどの四角い部屋だ。
高さは10メートルほど。
壁は石壁ではなく、レンガ壁となっている。
出口が一つだけある。
ルミは視線をめぐらせながら、つぶやいた。
「どうやら迷宮のようですね」
「え、ええ。でも、どこの―――――」
来花は言いかけたが、何かを思い出したようにハッとした。
「もしかして、ここ……下層……?」
ルミは尋ねる。
「ん、そうなんですか?」
「ええ、きっとそうよ! 此間ダンジョンの下層は迷宮になっているって聞いたことがあるもの」
答えつつ、来花は青ざめた。
ここが下層だとしたら、来花には難易度が高すぎる場所だ。
下層はAランクの魔物がウジャウジャ出てくるとされる、トップランカー向けの場所。
しかも未踏破の層であり、どんな魔物が出てくるかも、全てはわかっていないのだ。




