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第3章78話:呼び名
ちらりと来花の斜め上に視線をやる。
そこには、飛行カメラが一つ、宙に浮かんでいた。
来花の飛行カメラであろう。
彼女も、ルミと同じで、配信中なのだと察した。
「えっと、配信中ですか?」
ルミは確認のために尋ねる。
来花は答えた。
「え、ええ……あなたもそうなんですね?」
「あ、敬語はナシでいいですよ」
来花は知らないことだが、ルミは同じ大学の後輩である。
なのでルミのほうが年下なのだ。
「いいの? じゃあお言葉に甘えて。そちらも敬語じゃなくていいわよ」
「あー、えっと、私は敬語がデフォルトなので」
「そうなの? じゃあ、うん、わかった。名前はルミさんと呼べばいいかしら?」
「はい。呼び捨てで構いませんので」
「うーん、そこは、さん付けにしておこうかしら。あなたのほうがチャンネル登録数も多いから、一定の敬意は払っておきたいしね」
チャンネル登録数で決めるのか。
いや、まあ、グランチューバー業界はそういうものか。
登録者が多い配信者ほど、ヒエラルキーの上に立つ世界だ。
「あたしは来花よ。呼び捨てでも、さん付けでも好きにどうぞ」
「では来花さん、と呼びますね」
こうして互いの呼び方が決まった。




