第3章74話:配信準備
それを繰り返し……
やがて6階に到着した。
ここからは中層だ。
同じ洞窟ではあるが、壁の色が少し緑っぽく変わっており、さっきまでとは違うフロアに来たことが察せられる。
魔物の気配も、上層よりも強めである。
一応、敵の強さがどれくらいか調べるため、ルミは6階を歩き回って、何匹か魔物を狩ってみた。
弱い。
上層と変わらない。
……とルミは感じているが、もちろんそれは彼女が強すぎるからであって、実際は中層の魔物は強い。
彼女にとっては、並みの探索者が苦戦する魔物も、弱小以下の雑魚にしか感じられないのである。
(もうちょっと奥にいってから、配信を開始しましょうか)
そう心に決めたルミは、上層のときと同じように、6階を走り始めた。
敵を蹴り殺しながら、走り続け、やがて階段を見つける。
即降り。
7階も同じように走り、さらに8階、9階、10階、11階へと進んでいく。
もはや此間ダンジョンに来てから、ただひたすら走り続けるマラソンである。
そうして12階へと辿り着いたとき、ルミは止まった。
さすがにここまで来ると、探索者の姿もない。
これだけ深く潜れば、気兼ねなく配信活動ができるだろう。
そう思い、ルミは配信の準備を始めることにした。
まずは適当に部屋を探して、服を着替える。
「コスチューム番号2!」
そう唱えるだけで、彼女は戦闘衣と仮面の姿へと変身した。
ルミの配信時のユニフォームである。




