第3章70話:ダンジョンについて
ルミはコトリに尋ねる。
「あの二人、本当にいがみあってるんですか?」
「うーん。まあ、いがみあってるとは思うよ。でも嫌いあってるわけではない、かな。心地よいライバル的な感じだと思う」
「なるほど……」
コトリの分析は、しっくり来る。
実際、そんな感じの関係なのだろう。
「そういえば来花。あなた、此間ダンジョンに行くつもりなんですって?」
リリミアが尋ねると、来花が答えた。
「ええ。そうだけど?」
「ふーん。あそこは下層の敵が手強いと聞きましたけれど、大丈夫なんですの?」
「下層なんていかないから大丈夫よ。中層で配信をして終わりね」
「まあ、それならいいですが」
「何よ。心配してくれてるのかしら?」
来花が尋ねると、リリミアが顔を赤くした。
「そ、そんなわけないでしょう!? 一応、ライバルと認めているあなたが、無様な死に方をしたら寝覚めが悪いですもの」
「そう。ありがとう。まあ、でも、ご心配なく。あたしは無理はしないスタイルだから」
「あなたの地味・オブ・地味なスタイルを考えれば、何より説得力のある言葉ですわね」
「一言余計なのよ!」
そのあと、来花とリリミアは二言、三言ほど言葉を交わしてから、別々の方向に去っていった。
周囲の人々も、それにあわせて、散っていく。
コトリは言った。
「私たちも、いこっか」
「そうですね」
ルミとコトリは昼食を食べる場所を探して歩き出す。




