第3章69話:寸劇
リリミアがにやりと笑い、続ける。
「34万人の方がわたくしの配信を見てくださっているなんて、ありがたいことですわ! あ、ところで、来花さんのチャンネル登録数はいくつだったかしら? 17万?」
「29万よ! わざと間違えるのは辞めなさいよ!」
「オーッホッホッホッホ!! あらあらごめんなさい。でも、まだ29万なのですわね? どうして30万の大台に乗れないのでしょう? やはりあなたというキャラクターが地味なせいかしら?」
うわぁ……
完全にマウンティングだ。
ルミはハラハラしながら成り行きを見守る。
来花がフッと笑った。
「地味……ね。確かにあたしはあんたみたいに、面白い笑い方もしてないし、クルクルパーな髪型もしてないものね?」
するとリリミアが憤激した。
「クルクルパーですって!!? これは縦ロールですわ縦ロール! それに面白い笑い方などしておりません、これはエレガントな笑い方なのですわ!!」
「どこがエレガントよ! 高慢ちきな貴族令嬢みたいじゃない!」
「あら……貴族令嬢だなんて、そんなに褒めてくださらなくても結構ですのよ? まあ本当のことですけれど!」
「褒めてないのよ! 都合の良い単語しか聞こえないのかしら!?」
ふむ……
なんというか。
言い争いをしているように見える……けれど、そこまで険悪というわけではないような?
漫才を見ているような感じでもある。
実際、周囲も、ハラハラしているわけではなく、面白い寸劇を見守るような雰囲気だ。




