第2章41話:自分の動画
そして、そのあとルミは一度、自分の配信を視聴してみることにした。
実はダンジョンクリア以来、彼女は配信を自分自身で確認していない。
何がそんなにリスナーにウケたのか……分析の必要があると思った。
ルミの一発目の配信動画。
ちなみに動画タイトルは『近くの町のダンジョンを攻略します!~ダンジョン配信者としてデビューしました~』という、平凡すぎる題名である。
さっそく視聴する。
……。
……。
……数時間後。
なるほど、と納得する。
(私、ただのポンコツじゃないですか!!?)
うあぁーーーと心の中で叫んだ。
たとえば、ネットで大盛り上がりの『壁パンチ』。
壁パンチが盛り上がった理由も、ルミのパンチ力に驚いたからではない。
「ルミがイカれた行動を取ったから」である。
実際、ルミが壁を殴り始めたときのコメント欄は「狂気だwww」とか「気がふれたwww」とか、そういうコメントで溢れている。
確かにあのとき、自分は無言で壁を殴ってしまった。
リスナーからすると意味不明な行動だったに違いない。
(しかもスキルプラクティスって……めちゃくちゃ高価なものだったんですね)
最初に拾わなかったあの石が、まさか1億円相当の価値があったとは。
ただでさえ、レア素材の数々を捨て置いてしまったのに……トホホ。
「で、でも……そのおかげで好評になった面もありますし……ね?」
一人で言い訳してみる。
まあ……次からは気をつけるしかない。
とにかく、自分の動画を視聴し終える。




