第2章34話:女
そのまま直進する。
この道の途中、スーパーマーケットやカラオケボックスがあるのだが、今は用がないのでスルーする。
と、そのとき。
横を歩いていた女性がいた。
ぼさぼさのウェーブ髪で、パンツスーツ姿の女性である。
歩く速度が同じぐらいだったので、たまたま並んで歩く形になったのだ。
彼女は、猫背で歩きながら、独り言を言った。
「月曜日、マジ死んでくれませんかね」
とても感情のこもった声だった。
さらに彼女は続ける。
「我々人類は、月曜日から仕事や学業を始めなければなりません。ゆえに、日曜日から月曜日に切り替わるときの絶望は、何物にもかえがたいものがありますね。月曜日の朝が来るたびに、地球が爆発すればいいのにと思ってしまいます」
女性の目は死んでいた。
ただ、月曜日に対する憎しみの炎があった。
「一週間の中で、これほど人類に絶望を与えた曜日があるでしょうか? いや、ない!」
反語まで使って憎しみを表現していた。
どれだけ月曜日が嫌いなんだ、この人……
「ああ……月曜日がだるい。月曜日とは、人の精神だけでなく身体にも影響を―――――」
さすがにやばい人だと思ったので、ルミは歩く速度を落として、彼女から離れることにした。
女性は独り言を続けながら、スタスタと歩き去っていった。




