第1章25話:電話
また企業や探索者ギルド、探索者団体からの通知や連絡が、グランチューブのマイアカウントに殺到している。
絵師さんとおぼしき人たちから、ファンアートを描いていいかという質問もあった。
そしてルミは、今のところそれら全てをスルーしていた。
返事を出さないでいいのかな……
と不安になったりするが、どう返事したらいいかもわからない。
放置するしかなかった。
ベッドで寝返りを打って、ルミはつぶやいた。
「まさかこんなことになるなんて……」
初級ダンジョンだと思っていた。
しかし、後で確認してみると、どうやら自分が攻略したのは未発見ダンジョンだったようだ。
しかも超難関ダンジョン。
それをうっかりソロでクリアしてしまった。
だから配信動画がバズりまくっているのだ。
「人気が出るのは嬉しいけど……ここまで持ち上げられるのはちょっとまずい気がしますね」
ルミは平穏を愛していた。
いつかビッグになりたい……などと思ってはいない。
配信だって、超人気グランチューバーになりたくて始めたわけではない。
小遣い稼ぎができればいいと思っただけだ。
それがこんなことになるなんて。
(仮面をかぶっておいて良かった。正体を知られてしまったら、日常生活に支障が出ますよね……)
すでにネットでは、ルミとは何者か? について、様々な憶測が飛び交っているようだった。
ルミは身バレを恐れた。
(ダンジョン配信、辞めましょうか……)
そんなことを考えたときだった。
携帯が鳴る。
母からの連絡だ。




