第6章168話:控え室
ルミは万雷の拍手を受けながら、ステージを去り……
控え室に戻る。
ベンチに座る。
ふと、携帯を確認すると。
メッセンジャーアプリからコトリがメッセージを送ってきていた。
コトリ『ルミちゃんルミちゃんルミちゃん!!』
コトリ『優勝おめでとう!!めちゃくちゃ凄かった!!』
コトリ『ほんとにチサトンさんに勝っちゃうなんて凄いよ!!!』
ハイテンションなメッセージ。
それに返事をしようと思っていると。
トントン。
控え室の扉をノックする音がした。
扉を開けると、会場スタッフの女性が一人立っていた。
「ルミ選手、閉会式までに、回復のサービスが受けられますが、どうされますか?」
「回復?」
「はい。負傷した状態で閉会式に出るわけにはいかないでしょう? ですので、回復サービスを受けることをお勧めします」
そんなサービスがあることを、ルミは初めて知った。
まあ、決勝まで無傷で突破してきたからね。
回復サービスなんて利用しなくてもよかったのだ。
だが、さすがに今回は多少のダメージを負っている。
サービスを受けておいたほうがいいだろう。
「では、お願いできますか?」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
と、スタッフが先導して歩き出す。
かくしてルミは、ヒーリングルームに案内され、治癒を受けるのだった。
さて。
1時間後。
閉会式が始まる。
すっかり回復したルミは、選手入場口を通って、会場に入る。
爆発するような拍手と喝采が溢れかえった。
あちこちで取材陣のフラッシュが光る。
ルミはステージにあがる。
ステージには既に、選手たちが勢ぞろいしている。
閉会式には、大会に出場した全ての選手が出席する決まりではあるが……
実際は、負けたからもう用はないと、さっさと帰ってしまった選手もいるようだ。
とはいえ、今回は、結構な数が居残っているようで、それなりの選手たちが並んでいた。
その中には、篠山メイの姿……
それからチサトンの姿もあった。
チサトンも、ヒーリングルームで治癒を受けたようであり、すっかり回復したようだ。
ルミがステージに到着して、2分ぐらい経ったころ。
スクリーンに貴誌村さんの顔が映し出された。
貴誌村『大会運営の貴誌村です。これより閉会式を開始させていただきたいと思います』
宣言とともに、閉会式が始まる。




