第6章156話:見破り
観客たちも驚愕している。
「瞬間移動……」
「あんなスキル持ってるのか、ルミってやつ」
「チサトン頑張れー!!」
「チサトン!!」
「負けるなチサトン!」
「やり返せー!!」
神埼『ルミ選手が今大会、はじめてスキルを使用したようです! それはまさしく瞬間移動! ステージ上を自由自在に、一瞬で移動することができます!』
新田『私もアレ、欲しいなぁ。職場から一瞬で家に帰れたら便利なのに』
実際は、瞬間移動には距離制限があるので、職場と家が遠く離れていれば、一瞬では帰れない。
……というのは、どうでもいい話だ。
ルミは瞬間移動と剣舞を駆使しつつ、チサトンに攻撃を浴びせていく。
「ふふ、ははは。おもろいな。対人戦で、こんなに攻撃食らったのは久しぶりや!」
チサトンが笑う。
そのとき。
「!??」
チサトンの背後に瞬間移動したルミの眼前に、刀が迫った。
驚いてルミは後ろに下がる。
チサトンが追いすがる。
ルミは瞬間移動でチサトンの斜め後ろに移動する。
が。
「そこや!!」
チサトンの刀が、ふたたびルミに迫り――――
今度こそ、ルミに一撃を与えた。
「ぐあっ!!?」
吹っ飛ばされてもんどり打つ。
なんとか受身をとって、体勢を立て直す。
しかし、ルミは、驚愕していた。
まさか瞬間移動までも、見切られたというのか?
「っ!」
ルミは気を取り直して、再度、瞬間移動。
攻撃を繰り出す。
だが。
「ふっ!!」
チサトンが、瞬間移動を先回りするかのように、斬撃を繰り出す。
またもや、ルミにクリーンヒット。
ルミが転がりながら、体勢を立て直す。
観客から大歓声が上がる。
「うおおおおおおおおおおお!」
「ぶっ飛ばした!!」
「さすがチサトン!!」
「チサトン……すげー!」
「やっぱチサトンの独壇場だ!」
「瞬間移動を先回りして攻撃するとか、やっぱメチャクチャだわ」
「チサトオォォォオン!!」
会場は大盛り上がりだ。
いや、会場だけではない。
配信も、ネットも、テレビも。
日本中が、大盛況していた。
<バトルアリーナ大阪大会を語るスレ2980>
722:名無しの大会観戦者さん
すげー戦い
723:名無しの大会観戦者さん
うおおおおおおおおおお
瞬間移動破ったあああああああああ!!
724:名無しの大会観戦者さん
なんであんなの見切れるんだよ。すげー
725:名無しの大会観戦者さん
天才同士の戦い
でもチサトンの上かな、やっぱ
726:名無しの大会観戦者さん
これが年間ランカーだああああああああああ!
727:名無しの大会観戦者さん
ここまで保っただけでも優秀だよルミは
728:名無しの大会観戦者さん
ルミの必殺技が破られた!
729:名無しの大会観戦者さん
もうチサトンの勝ちっしょコレ
730:名無しの大会観戦者さん
ルミも決して弱くはない
年間トップ30位ぐらいにはなれるかもな
でも相手は、年間トップ30位でも及ばない、真の怪物だったというだけのことだ