第5章141話:試合ルール
その後、全てのくじが開かれ……
全ての対戦カードが決定した。
貴誌村『それでは30分後に、第1試合を開始します』
と、貴誌村さんが述べて、開会式を終了した。
ルミたち選手はいったん控え室に戻る。
対戦相手は篠山メイさんか。
まあ、なんとかなるよね。
……と思いながら、適当に30分を過ごした。
30分後。
いよいよ試合開始である。
会場に入場する。
篠山メイとルミが、ステージに上がる。
観客の歓声は、もはや轟風のごとく吹き荒れている。
メイとルミは、ステージの上で対峙した。
スタッフが数名、鉄製の籠を持って現れた。
籠の中には、さまざまな武器が入っている。
剣、槍、斧、刀……などなど。
と。
ここで、声が響いた。
神埼『それでは記念すべき第1試合を開催させていただきまーす!! 私は今大会の実況を担当させていただく、神埼リツナ(かんざきりつな)と申します! みなさんよろしくお願いします!』
元気な声である。
神埼リツナ。
オレンジ色の髪をサイドテールにまとめた、黄色い瞳の女性である。
神埼『そして本日の解説は、魔法局よりお越しいただいた新田恭子さんです! 新田さん、よろしくお願いします!』
新田『ああ、よろしく』
つまらなそうに返事をする。
新田恭子。
いかにも只者ではない雰囲気。
切れ長の目。
少し灰色がかった黒髪。
ちなみに魔法局とは。
魔物とダンジョンへの対処、あるいは、スキルや魔法を用いた高度犯罪に対抗するために設立された特殊な局である。
新田恭子は、その大阪支部・局長を務めている。
神埼『では第一試合の前に、簡単に試合ルールを説明します!』
神埼
『まず勝敗についてですが、
①相手を気絶させる
②HPを1にさせる
③降参宣言をさせる
④場外アウトにさせる
以上の四つが勝利条件となります』
神埼『相手をうっかり殺してしまわないための処置として、戦闘では会場専用の武器を使用してもらいます。この武器にはバイタルガードと呼ばれる装置を搭載しており、どんな攻撃を行っても相手のHPを必ず1は残してくれるようになっています』
神埼『どちらかのHPが1になったときには、バイタルブザーによる警報音を鳴らせていただきます』
神埼『それでは篠山メイ選手、ルミ選手、自分のお好きな武器をお取りいただけますか?』
ルミとメイは、指示されたので、鉄籠の中から武器を選択する。
メイの武器は日本刀。
ルミの武器は剣である。
ルミは触ってすぐに気づく。
刃が抜いてある。
剣は両刃であるが、両刃とも峰打ちになっていた。
相手を斬る、という使い方はできないようだ。