12/170
第1章12話:騎士
奥に王座がある。
そこに、全身を鎧で包んだ戦士が座っていた。
まがまがしい闇色の鎧騎士。
体格は巨体だ。
2メートルはあるだろう。
「……? 人間ですか?」
ルミは尋ねた。
人型をしており、もしかすると探索者である可能性もあったからだ。
しかし、返答はない。
静かに鎧騎士が立ち上がった。
柱に立てかけていた大剣を手にとり、構える鎧騎士。
ルミは言った。
「まあ、さすがに人間じゃありませんよね。では討伐させていただきますね」
ルミもまた、剣を構えた。
瞬間。
鎧騎士の姿がかき消える。
「……!?」
文字通り、消えたのだ。
透明化ではない!
ルミは警戒心を張り詰めた直後、斜め後ろから気配がした。
即座に振り返り、剣を振るった。
ガキィンッ……!!!
剣と剣がぶつかる。
消失していた鎧騎士が姿を表わしていた。
ルミは冷静に、いま起こった現象を分析する。
「なるほど。瞬間移動……ですか」
おそらく鎧騎士のスキルだろう。
こんな敵がいるのかとルミは感心する。