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第3章103話:竜人3


<リリミア視点>


リリミアは此間(これま)ダンジョンの入り口に立つ。


実は、ルミに会いにきたリリミアは、さきほど此間ダンジョンに突入し、途中の階層までを踏破(とうは)していた。


しかし、もう少しでルミたちに追いつけるというところで、ルミと来花が下層に転送されてしまった。


さすがに下層への突入は無理だと判断したリリミアは、(あきら)めて、二人が出てくるのをダンジョン入口で待つことにしたのだ。


つまり、出待(でま)ちである。


(くぅ~!! わたくしも近くでルミ様の勇姿(ゆうし)を拝見したかったですわぁ!!)


ルミのボス戦を、ルミちゃんねるのページから眺めていたリリミアは、盛大に悔しがった。


と、そのときだ。


(なま)ルミまだかなぁ」


「会ったらサインもらお?」


という声たちが、横から聞こえてきた。


実は、リリミアのほかにも十数名、ダンジョン入り口で待機する者がいた。


ほとんどがリリミアと同じく、ルミを出待ちしているファンである。


ただ、一部。


「今日こそは必ず、ルミの素性(すじょう)を特定してやる……!」


などという、不埒(ふらち)な考えを持つ者もいるようだが……。


(ふん……もしルミ様に迷惑をかけるようなクズがいたら、このわたくしが範囲魔法で吹っ飛ばしてやりますわ!)


リリミアはリリミアで、なかなか過激なファンであった。





<ルミ視点>


ルミは悠々と着地した。


竜人王の祭壇(さいだん)を見上げる。


「なるほど。あなどっていたことを詫びよう。(ひい)でた武芸(ぶげい)(きわ)まりし個人技(こじんぎ)。賞賛に値する」


「……ん。魔物に()められるのは、反応に困りますね」


「魔物だろうと人間だろうと、優れたものには賛美(さんび)を送る。当然のことではないか、仮面の剣士よ」


「……」


ルミは思う。


この竜人王は、意外と悪い魔物ではないな……と。


しかし、そう思ったとして、殺し合いを避けるという選択はない。


ルミは竜人王を撃滅(げきめつ)するつもりだ。


竜人王もまた、ルミへの殺意を緩めない。


戦士だからこそ、相手に最大の敬意を持って、殺すのである。


(われ)が直々に相手をしてやる。先に言っておくが、我は竜人兵より何倍も強い。その卓抜(たくばつ)剣腕(けんわん)で、我を超えてみるがいい」


竜人王はそう告げたのち、腰を落として、巨大な戦斧(いくさおの)を両手で構えた。


まるで深山(しんざん)のごとく、安定した構えだ。


ゆるぎない戦意と闘志を感じる。


ああ。


強いな。この相手は。


ルミはそう認識した。


ゆえに、自己へ強化バフをかけておく。


―――【剣武天限(けんぶてんげん)】。


これでルミの戦闘ステータスが一時的に向上する。


準備はできた。


「いきます」


ルミが地を蹴る。


祭壇の前まで走り、一歩で壇上(だんじょう)まで登ると、空中で身体を縦に回転させながら斬りかかった。


上段の振り下ろす剣撃(けんげき)を、竜人王に浴びせかける。


竜人王がそれを斧の柄で受け止めた。


衝撃で竜人王の足元が陥没(かんぼつ)し、祭壇に激震(げきしん)亀裂(きれつ)が走る。


いったん床に着地したルミは、即座に竜人王の側面に回りこんで、ふたたび斬撃。


竜人王はやはり斧の柄で受けるが、今度は勢いを殺しきれず、吹っ飛んだ。


祭壇近くの支柱(しちゅう)に激突する。


竜人王が体勢を立て直す前に、ルミが追撃で斬りかかるが、竜人王はサッと横に避けてやり過ごした。


空振(からぶ)ったルミの剣が、支柱を切り裂く。


すぐさまルミは支柱から離れて竜人王に追いすがった。


「なんたる剣気(けんき)……相手にとって不足なしッ!」


竜人王は笑みを浮かべて、ルミを(むか)()つ。


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