第3章101話:竜人
そのとき竜人王が言った。
「なるほど、そこそこやるようだ。最下層まで来ただけはある。しかし残念だったな。その程度の実力ならば、数の暴力で踏み潰せる。それとも、後ろの女が本命だったりするのか?」
竜人王が来花に視線を送る。
鋭い眼光に見つめられ、来花はビクっとする。
ルミは答えた。
「……いいえ。彼女は見学です。できれば手出しは無用に願いますね」
「ふむ。本来なら断る相談だが、まあいいだろう。貴様を殺すまでは、そちらの女に攻撃はしないでやろう」
「ありがとうございます。では、私も少し本気でいかせていただきますね」
ルミはアイテムバッグを外した。
それからコートを脱いで、アイテムバッグへと収納する。
アイテムバッグから剣を取り出した。
愛剣【リーンソード】である。
アイテムバッグをふたたび腰へと取り付ける。
剣を右手に持って、構えた。
「では、いきます!」
床を蹴る。
地面すれすれを滑空しながら、竜人兵へと瞬時に迫る。
そして斬撃。
華麗な剣閃が竜人兵の首をとらえ、切り裂いた。
血しぶきが舞う。
さらにワンステップで地面をふたたび蹴って、横向きへ飛び、滑空しながら宙で回転する。
その回転斬りで二体の竜人兵がまとめて死んだ。
さらに。
ルミは地を蹴って、宙を舞う。
「はやイ……!?」
「なんだ、この動きハ!?」
「ぐぬぬヌ……!」
ルミはムーンサルトのような動きをしながら、空中で回転斬りを放った。
血の花を咲かせたのち、着地。
地に足をついた瞬間には、もう次のモーションに入っている。
音もしないほどなめらかに床を蹴る。
滑るように敵に近づき、剣を凪いだ。
流麗で、技の継ぎ目がなく、次々と繰り出される剣撃の嵐。
まるで床を滑りまわるフィギュアスケーターのように、走り、回転しながら、剣を振るう。
誰もが釘付けになるような美しきブレイドアーツ。
それは斬撃という名の舞であり、剣撃という名の芸術であった。
『うおおおおおおおおおおおおおおお!』
『やべえwwwwwwwww』
『かっけえなオイww』
『魅せる剣技』
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
『パルクール剣wwwwww』
『これはすげーわ』
『めちゃくちゃ美しい』
『どうやったらこんなふうに動けるんだw』
『舞うような戦い方』
『これでちゃんと強いのがすげえwww』
『なんだよ。格好いいじゃないか、ルミ!!』
『普通に見惚れる』
『俺もやってみたいwww』