表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣人に恋した9ヶ月  作者: 桜ノ音
8/8

桜の木はいつもより綺麗だった



次の朝起きたら、隣にリオさんはいなくて


森「!!……リオさん…


リオさん!!」


松「ただいま。

あ^_^さやかさん起きましたか?


どうしましたか?」



森「…リオさん…


その…消えてしまったのかと…


すみません…。怖くなって( ; ; )」



松「ごめんなさい…。

冷蔵庫に、食材があまりなくて

買いに行ってて…


不安な思いさせてすみませんでした。

(ぎゅっ)(抱きしめる)」



本当に怖かった。


朝の日差しが私の頬の涙をキラキラと照らしながら、一人になってしまったんだと

思わせられた。



朝の朝食を二人で食べるのは、久しぶりで

いつもはバラバラだから、新鮮だった。



松・森「「いただきます」」



森「ぅん!この玉子焼き美味しいです!」


松「そうですか^_^よかったです!

これ、隠し味入ってるんですが、何か

わかりますか?^_^」



森「隠し味?…



う〜ん……ちょっと香ばしい感じがするから、お味噌?とか?」



松「ブブー。違います^_^」


森「じゃあ…お醤油?」



松「ハズレです?


正解は、おせんべいです!」



森「えー?!Σ੧(❛□❛✿)おせんべい?


わかりませんよ〜 (笑笑)

おせんべい入れたんですか?」



こんな楽しい朝ごはんは初めてで、

リオさんと笑い合って食べたご飯が

とてもおいしかった。



松「食感がいいかな?と思って入れたんですが…ないですね笑」


森「ふやけちゃったんですよ笑」


こんなに笑って、たわいもないことでたくさん笑って、笑って…

この時間がいつまでも続けばいいのに…



松「そうだ!夕方、一緒に桜の木を見に行きませんか?」



森「え?

桜咲いてませんよ?いま、冬ですから^_^

私は構いませんけど…今日は雪降りますし…大丈夫ですか?」


松「はい!大丈夫です!

いいんですよ!桜は咲いていなくても

それに、なんかすごく見に行きたいんです!冬の桜の木ってどんな感じか見てみたいですから!」



こうして、夕方に二人で

桜の木を見に行くことにしました。



そして、天気予報通り雪は降って

しばらくしてやんだ。



公園の近くにある桜の木を観に…





森「うわ〜!冬の夕方ってくらいですね!

でも、雪止んで良かった^_^

結構積もったみたいで…」



松「そうですね^_^

キラキラしてて綺麗です。

足元気をつけて下さいね^_^

僕もまさか、冬の夕方がこんなくらいとは

桜の木の横に街灯があってよかったですね!街の方に感謝です」




夕方というより、まるで夜。

時間帯ももう夜になる。



桜の木の下についた…



松「わー!こんなに大きかったんですね!

しっかりと立ってて、少し雪が積もっても

雨の日も風の日も頑張ってたんですよね」



森「そうですね^_^

頑張って、頑張って、

今日も頑張って立って、すごいですね!

桜の木さん、(手を当てる)」



しばらくして、また雪が降ってきた。



森「雪も降ってきましたし、そろそろ帰りませんか?風邪ひいたら大変ですから」



松「そうですね^_^

帰りましょう。」



さやかが帰ろうと歩き出して、


ズバッと、雪の上に何かが落ちたような音が聞こえた。

さやかが振り返ると、


そこに、膝から崩れ落ちるリオさんがいた。



森「リオさん?…。



大丈夫ですか?やはり寒かったんじゃ…

立てますか?」



松「さやかさん…僕の手が…」


心配して駆け寄るさやかは立たせようと手を貸すも、リオさんの一言で凍りついた。



松「僕の手が、透けて…透明に…」


森「そんな…


雪でそう見えるだけかもしれません!


(触ってみようとするも、通り抜けてしまう)


リオさん…こんな急に…だって

今まで大丈夫だったのに…そんな」


手だけでなく、リオの身体の周りから

どんどん透けていくのがわかった。


森「いやです…いやです!

行かないでください!

まだ、私たち付き合って9ヶ月ですから!

まだまだこれからですから^_^。


これから…(>_<。)」



松「さやかさん、

顔を上げてください。」



森「これから…まだ二人でやりたいこと、

行きたいところいっぱいありますし、

こんな…ね…」


松「顔を上げてください!


森「…。(顔を上げる)」


さやかさん…

大好きです、僕と結婚してください

(口づけ)」



そう言って、抱きしめあった頃にはもう…


リオさんの身体を通り抜けて


すぅーっと消えて行った。


最後に、大好き と 結婚してください

を残して…


森「…ぅ…(涙)そん…な…

結婚…リオさん。私も大好きです…」


桜の木の下で、崩れ落ちて泣くさやかの頬に触れた降る雪はいつもより冷たくて、

涙は止まることを知らずに、ポロポロと

こぼれ落ち続けた。




そして…リオさんが消えた日から

4年が経とうとしていた。


さやかも、いい年齢になり、

命日の日には、毎年桜の木の下に来て、


森「リオさん、来ましたよ^_^

今日は風が強くて、私の体が飛ばされるかと思いましたよ。


(木におでこと身体をつけて、目を閉じる)


ずるいですね…リオさん…

手紙を書いていたんですね。


あなたが大切にしていた、私が作ってプレゼントしたアルバムに挟んでありました。


松「さやかへ


最初は生きていけるか不安だった僕に、声をかけてくれました。あのマンションでは、僕を除け者だと言う人が多く、もう生きるのを諦めかけていました。

そんな時に、さやかさんがご挨拶に来ました。少しドジな人で、それでも常識や言葉遣いが丁寧で、不思議なことに、僕はあなたに興味を持ちました。


それから、ご飯を作って持ってきてくれたりしたこともありましたね。あの時のたまごうどんは、とてもあたたかくて、美味しかったのを覚えています。


はじめての恋人になってくれたさやかさん、人間と吸血鬼のハーフの、僕みたいな人を

好きになってくれてありがとう。


この手紙が読まれる頃にはきっと、僕はあなたのそばにはいないかもしれません。 

どうか、泣かないでください。

僕はあなたの笑顔が一番大好きです!


さやか、愛してるよ


           松田リオ」


森「あなたがいなくなった時は、たくさん泣いて、あの家は私だけになって、とても寂しかったのを覚えているわ。

もう歳をとって、今あの家にはいないけれど

リオさんと出会った桜の木が見える施設にいます。そろそろ戻らないと心配されるので、

また、来ますね


私も大好きですよ…リオさん」



次の年の春に、桜の木の下で

さやかは眠るように、座ったまま息を引きとりました。


近くを通りかかった人がさやかを見つけ

見た方が言うには、


その顔は、安らかで

どこか笑みを浮かべて見えたそうです。



END


ここまで読んでいただきありがとうございました^_^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ