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隣人に恋した9ヶ月  作者: 桜ノ音
6/8

はじめての温泉デート⁈と残り少ない時間


この前は、仲良くなって

衝撃の秘密を知った隣人、松田リオさんと

お付き合いをすることになりました。



下の名前で呼んでほしいと言われて、リオさんと呼ぶことにしました。


そんなリオさんは吸血鬼で、稀な血を吸わなくても大丈夫な人。

それにとても優しい人。


今日は、リオさんと遠くの温泉旅館へ行くことになりました。


小旅行?とでもいうのでしょうか^_^

二人で、こうした形で過ごすのは人生初めてかも知れません。

日記もサボるほどにリオさんに夢中になっていました。お恥ずかしい限りです。


次のおやすみの温泉旅館、とても楽しみです。      

      森野さやか




森「日記久しぶりに書いたから…ちょっとグダグダになっちゃったかな?(⌒-⌒; )

何着てこうかな…はじめてのデート?

いや…私って何似合うのかな?


今までそういうのあまり気にしたことないから…リオさんはありのままでいいよって

いつものさやかさんが好きだって言ってくれたけど…難しいな…」



・・・・・温泉旅館当日・・・・・




温泉旅館までは、バスで移動。


森「ドキドキしますね!こういう旅行は、

はじめてなので。」



松「そうですね!僕もドキドキします。

誰かとどこかに出かけたこともなかったですし、恋人と行けるなんて思いもしなかったです^_^」


森「(〃ω〃)」


松「初めてということは、初旅行ということですか?」



森「あ!いえ(^◇^;)旅行自体は何度か行ったことあるんですが…恋人と言える人とは

そういう体験がないので。

恋人なんていたことなかったので。」



松「そうなんですか…もったいないですねこんなに素敵な方の魅力に気づかないのは。」



いきなりイチャイチャと会話が始まって

バスの道中はずっと話をして、こんな感じの雰囲気だった。


温泉旅館について、周辺の観光。



名物の食べ物を食べたり、有名なスポットに行って写真を撮ったり、リオさんと

たくさんの思い出を作りました。



旅館に戻り、お食事をいただいて


温泉にも入って、とても素敵な時間を過ごしました。


旅館から見えるお月様の灯り、

夜景を眺めながら、二人で話をした。



森「改めてこんな時間を過ごすって新鮮で

恋人と過ごせるという幸福さは、今までの中で一番嬉しいです^_^

お誘いいただき本当にありがとうございます^_^」



松「いえいえ^ ^こちらこそとても楽しい時間です。さやかさんと一緒なら大丈夫だと思えます^_^」



森「そう言ってもらえて嬉しいです!」



静かで、落ち着いた空間に二人の恋人が

最初で最後の思い出を作り、時間はみるみる過ぎて行った。



その夜、寝静まった頃に

何やらうめき声のようなものが聞こえてきた。


外で犬や猫などがじゃれているのだろう。


しばらくしてもまた聞こえるので気になって何かと思い起きると、

隣からだった。


そう、リオさんだった。



森「どうかされましたか?大丈夫ですか?

どこか痛いんですかΣ(・□・;)


誰か呼びましょうか!」



松「大丈夫です……ぅ…

っ…大丈夫ですから…


最近こうなんです。」



心配になり明かりをつけると、たくさんの汗をかいて、苦しそうに胸を押さえていたリオさんがいた。


森「でも…

苦しいのでしょう?…誰か呼んだ方が」



松「大丈夫…ですよ…さやかさん。

少しすれば治ります…ので…。」


そばにいるのに、何もできないことがつらくて仕方ないさやかは、ただ治るまで背中を撫で続けた。


そして、しばらくして…


リオさんの言った通り落ち着いた。


松「ありがとうございました…すみません

せっかくの旅行が、ご迷惑をおかけする形になってしまって…」



森「そんなことありません!

迷惑なことなんか何もありません。

落ち着いて良かったです。


あの…胸のあたりが苦しかったんですよね?帰ったら、一緒に病院行きませんか?

吸血鬼だって言っても、リオさんは人間に変わりはないんですよ!大丈夫です。

私が病院の方にお願いすれば…」



松「もう行ってきたんですよ。

内緒にしてましたが、もう病院には行ってきたんです。でも、なんの異常も無く

お医者さんも首を傾げていました。」



森「そんな…こんなに苦しんでるのに」



原因は何か、医者でもわからない事があるとなると、リオさんをどうしたら助けられるか考えていた。


松「わかるんです…

僕の体がこうなる理由が。


話さなくてはなりません。

でも、せっかくできた思い出が

僕のせいでつらいに変わるのはいやです。」



森「そんな事はいいんです!

リオさんと一緒なら場所なんてどこでも…

目の前で苦しんでるのに、何もできないのは納得いきません。助けたいんです…

何かできる事があれば、なんでも言ってください。今はリオさんのそばにいたいんです」



今にも泣きそうな目で、リオさんをみて

リオさんも話してくれた。



松「僕がなぜ吸血鬼になったのかわからないってお話をしました。


でも、思い出したんです。

さやかさんとお花見に行った日、

桜の木を見てたら思い出したんです。


僕は、人間だった頃は親からひどく虐待を受けて、誰にも助けられないまま大人になって、家を出たのは高校の時で、頑張ってバイトもして、人と話す機会も少なくなって、そんなある時、僕の体に病ができたんです。膵臓がんでした…

もう医者には助からないと言われて、

ただただやりたい事を探して、

でも無くて、人から愛をもらわずに生きてきたから、何もかもかどうでもよくて


そんな時でした。

もう衰弱していく僕の身体は

フラフラとたどり着いた桜の木の下で

「あぁ、このままここで死ぬんだ」って…

その時見た桜は、生きてきた中で一番綺麗で、初めて僕は感情があるんだってわかって…なぜだか涙も止まらなくなってて…



もう意識も朦朧(もうろう)としてた頃に

人が近づいてきました。

サビという名前を名乗った男の人

が、「お前は生きたいか?それともこのまま死にたいか?」って聞こえてきて、

桜を見て生きたくなったと言うと、

首のあたりを刺す感覚があって、それと共に気を失ったんです。」


森「そんな事が…( ; ; )」


あまりのエピソードに言葉を失い涙を流して、リオさんの話に耳を傾けて聞いた。


松「僕は公園でっていいました。

公園は公園ですが…でも、はっきり思い出したのは、僕が小さい頃に一人で遊んでた場所だったんです。叩かれるのが嫌で、いっそ僕なんかって公園に行って、家の形をした、ハウス滑り台の中でよく過ごしてたんですが、そのハウス滑り台の中にいたんです。もちろん大人ですから、少し狭くて

その後、知らない子供たちに、人が寝てるよって声で気がついて、この前話した通り、吸血鬼だという記憶しか覚えてなかったんです。そこから今まで人間として普通に生きてきました。そしたら、引っ越しだ先であなた、さやかさんに出会えたんです。」



森「( ; ; )こんなに近くにいて、

リオさんのつらさになにも気づかなかったのは…私の…私が気づいてあげられたら…」



松「さやかさんは何も悪く無いんですよ。

僕も思い出すまでは特に大丈夫だと思ってましたし、思い出した時は流石にショックでしたが、今は大丈夫ですよ。^_^


それで、この胸の痛みの原因なんですが…

思い出した中に、サビさんが言ってた事があって、「吸血鬼になった以上、もちろん血を吸って生きなくてはやがて灰となって消えてしまう。だが、人間として生きた場合生きれる可能性もある。そのかわり体は血を与えられない代わりに、苦しみとして部分的に痛みを生じる。」と。


でも、サビさんが言ってた事は事実でした。最近になって気づいたんですが、鏡に映らないんです。僕…

吸血鬼になってからでも見た鏡では、ちゃんと映ってたんですが、いつのまにか透けてる?ような気がして…特に手が透明で…

僕びっくりしたんです。鏡の僕の手は、無くて見るとちゃんとあって…



僕、消えちゃうのかな?…( ̄▽ ̄;)

今は大丈夫だけど、このまま…」



森「そんな事…させません。

どんなことになっても、私はリオさんの隣にいます!消えちゃうなんて…そんな

いやです」



つづく

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