手紙と想いは手をつなぐ
前回は、隣人の松田リオさんというお話でした。
松田さんは、会った時からずっと優しく対応してくださって、会話も本当に楽しくて
大人になってはじめての仲良くなった方でした。
それが、まさか
松田リオさんは吸血鬼だと言うことを知らされ、さやか自身も混乱してしまった。
頭の中で整理がつかず、冷静になって考えた結果…
しばらくは手紙でのやりとりにすることにした。
そして、今までのことや吸血鬼になった事について、手紙を通して話してくれました。
松「僕が吸血鬼になったのは…
正直なところ記憶が曖昧になっていて、
なぜなったのかについては僕自身もわからないのです。
ですが、吸血鬼になる直前に公園に居たことは覚えていました。
そこで、男の人が近づいてきました。
その人は公園のベンチ、僕の隣に座りました。
お話が遅れましたが、僕はその時には病を患っていました。お医者様には、
もう長くないと余命宣告されて、ショックで公園を訪れていました。
病の進行によるものなのか、めまいに襲われて気づけばそこで気を失っていました。
目が覚めた時には男の人はいなくなっていて、僕の体は軽く感じました。
病による痛みは無く、不思議なことに、目の前を人が通るたびに自分の中で何かがウズウズして…病とは違う息苦しさと…
脳内を駆け巡った言葉『お前は吸血鬼』だと聞こえてまた…気を失いました。」
森「そんな…松田さん…
一人で抱えて…今まで苦しんできたってこと?…」
手紙の続きを読むと、
松「次に目が覚めて、なぜ公園にいるのか記憶をたどりました。そして、今お伝えしたお話を思い出しました。
吸血鬼になった理由はわからないですが、このうっすらとした記憶しか思い出せませんでした…それから、このままではいけないと、今のような生活に至りました。
森野さんがおっしゃったように
漫画やアニメで見るような血を欲する
ような事は僕の体にはありませんでした。
僕も不思議な事に、人を見ると息が苦しくなる方が多々あったのが、いつしか普通の人間と同じように暮らす事ができました。
そして…
吸血鬼だと確信した理由は、僕の牙です。
吸血鬼特有の人間とは違う長い牙、
僕自身の手で試し、人では到底ありえない牙が、刃物のようにすんなり刺さって、血が吸えるようになっていました。
不思議な事はもう一つあって、血液は味覚に合わず、普通の人間と同じように、ご飯などが口に合いました。
この出来事が会った数日後に、森野さんに出会いました。そこからは今までの悩みや苦しみが少しだけ和らいだ気がして、僕は森野さんと話す機会があると、とても嬉しかったです。仲良くなりたいと思うようにもなりました。
これで、僕がわかる限りの吸血鬼に関してのお話です。
森野さんは出会った人の中で一番素敵な女性でした^_^ありがとうございます
松田リオ」
森「何よ…これ…( ; ; )
そりゃあ…私だってびっくりしたけど…
中身は松田さんそのものじゃない!( ; ; )優しいまま…笑顔がかわいいまま…
言葉があたたかいまま…」
さやかもすぐに手紙の返事を送ろうとした…
書こうとした手を止めて、
隣へ走った。
伝えたい衝動に抑えられなくなり
気づけば体は松田さんの家へ。
ピンポーン…
ガチャ!
松「森野さん…」
森「松田さん!お邪魔いたします!」
まさかの強行突破で、後にさやかは後悔することになるのでした。(いい意味で)
松「どうされたんですか!?
手紙でやりとりされるんじゃ…」
森「すみません…手紙を読みました。
もう抑えられなかったんです…
すぐに伝えたくてきました。
松田さん…
あなたが吸血鬼だろうと、私は引きません!一人で抱えて、たくさん苦しんだのに
もう抱える必要なんてありません!
私は…あなたが…松田リオさんが好きです!」
松「……!え…
ぼ…僕も……です。」
森「あ…(//A//)(やってしまった…)
ああ…あのですね!Σ(・□・;)
その…今までの仲良しは変わらないと言いますか!吸血鬼でも、私には関係ないと言いますか!大切に思ってます。」
松「ギュッ)ありがとうございます
(*´ω`。*)こんなこと誰にも話した事なかったので…それに好きだって言ってもらえて嬉しいです。
本当に森野さんは素敵な女性ですね^_^
はい!僕も同じです。
森野さん、あなたが好きです
僕と付き合ってください」
森「!?は!はい!(〃ω〃)
わ…私でよければ!」
なんやかんやあったのにカップル成立しました。
さやかの心のモヤは晴れて、これから恋人との日々がはじまるようです。
森「あ!というか勝手にあがってしまいすみませんでした〜(;´д`)
強行突破してしまうなんて…
あまりに必死になりすぎて見失ってました…反省します(´・_・`)」
松「あっ…はははは( ^∀^)
森野さんって本当面白いですね!
そういうところもかわいらしくて素敵ですよ^_^」
二人の恋はあたたかく、優しい光に包まれて、これからが楽しみになった。
この時は知らなかっただけで…
つづく