表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜  作者: 万実


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/128

大会4

宮比羅、迷企羅、摩虎羅は消え失せ、そこにはバラバラになったカードが落ちていった。


「水琴、きたねーぞ」


「ひどーい」


「ずるい」


「う、うるさいわね、勝てばいいのよ!」


ああ、情けない。

言い争いは程々にしてほしいよ。

真剣勝負に汚いもずるいもないのだ。


さて、こちらもそろそろ始めますか。


「ハヤトくん、結界解除。その後は好きに戦っていいから」


「ミツキ、了解」


『おや、雪村選手の式神が喋ったような···?気のせいでしょうか。たった今、雪村選手の式神が結界を解除しました。次の動きに注目です』


私とハヤトくんの動きを見るやいなや、ベリーショートの髪の少女は叫んだ。


「チャンス到来!波夷羅、弓で攻撃だよ。連続攻撃いっけー!」


波夷羅は猛然と矢をつがえて放った。


弧を描き襲い来る矢を、ハヤトくんはじっと見ている。

そしておもむろに右手人差し指を出して、全ての矢の軌道を止めた。


「ねえ、そんな攻撃じゃ僕は倒せないよ」


「なっ?!」


『な、なんと?!喋った。式神が喋っています。いや、そんなことよりも、この式神、とんでもない能力の持ち主です。射掛けられた矢は全て、180度反転し、空中に浮いています。そして、これは水だあ!矢に水の属性が付与されていきます。式神が手を掲げたぞ。その手を振り下ろすと共に、矢は一斉に波夷羅へ襲いかかったー!』


「自らが放った矢で射抜かれろ」


「嘘っ?!」


『葉月選手、雪村選手の式神の攻撃に動揺して動けない!水を纏った矢は、一つの漏れもなく全てが波夷羅に命中したーー。波夷羅、破れたり』


そこにはバラバラのカードが舞い落ちる。


レフリーかホイッスルを鳴らし、右手を上げた。


「勝者、雪村選手」


客席から「わー」っと、大歓声と拍手が上がる。


『圧倒的!雪村選手の式神、強い。大番狂わせ!大金星です。誰がこの結末を予想したことでしょう!月守の氏族全員を破って勝ち上がったのは無名の新人、雪村選手でした。すごい新人が現れましたー』


いや、褒めすぎでしょ。

なんだか、照れてしまう。


舞台からはハヤトくんが、ご機嫌に口笛を吹きつつ駆け下りてきた。


「ミツキー、お待たせ」


「ハヤトくん、お疲れ様」


微笑むハヤトくんとハイタッチした。


「ボクの予想通りだったでしょ?」


「うん。余裕だったね!ありがとう」


ハヤトくんの頭をワシャワシャと撫でると、「へへっ!」と、得意げな顔で私の後方へ回って控えた。



「深月、やったな」


Cブロックの舞台から、真尋が手を上げながらやってきたんだけど、こちらも余裕の笑みを浮かべている。


ということは?


「真尋も勝ったの?」


「ああ、当然」


当然かぁ。やっぱり真尋は強いんだね。


「深月。そういえば、式神は戻さないのか?」


「戻さないよ。どうして?」


「いや、祭雅は力を温存すると言って、戦いのあとはすぐさま式神を宝玉に戻していたから」


えっ?!そうなの?

知らなかった。


「そういえば私、式神を宝玉に戻したことないな。式神が自ら宝玉へ戻るときは別として」


「嘘だろ?!深月、体は何ともないのか?」


真尋は瞠目してそう言うと、私の額や首に手を触れた。


「熱はないみたいだし、健康そうには見えるけど···」


「あの、ホントに何ともないよ。私はいたって元気だからね」


そんなに心配することなの?

この人は昔から心配性だったような気がするんだけど。


「深月、本当に大丈夫なんだな」


「もちろん」


真尋はため息を一つ吐き、言った。


「君はどんだけチートなんだ?!祭雅以上だよな」


「祭雅以上って。これってそんなに特殊なことなの?私としては普通のことだと思っているんだけど。それに真尋は心配し過ぎだと思うよ」


真尋は思いっきり首を横に振った。


「さっきの戦いを見たから言えるんだけどね。あれだけ強力な式神を常駐させるということは、相当な霊力を式神に流してるんだ。普通だったら倒れてる。それでも霊力に余裕がある君だから、チートだって言ったんだ」


「へ、へぇ」


私って普通じゃないの?

そんなこと無いと思うんだけどなぁ。

それに、強力な式神と言っても、今いる式神は三人だけだから、祭雅の時とは状況も違っているしね。


なんともないんだし、真尋の言う事はあまり気にせずにいよう。


「深月、少しばかり話がある」


珍しくユキちゃんが神妙な表情で話しかけてきた。


「ユキちゃん、どうしたの?」


そう言ってユキちゃんの傍に寄る。

ユキちゃんは絶えず視線を動かし、辺りを窺っているように見えた。


ユキちゃんの様子がいつもと違う。

これは、何かあったんだ。


「深月、お前はこの会場の中で、何か感じないか?」


何かとはなんだろう?


この広い会場の騒音の激しい中で、何かを感じとるのは容易ではないと思うけれど、やってみよう。


「ちょっと待ってね」


そう言うと私は目を瞑り、心を落ち着かせる。

そして辺りを探る為に、月雅を片手に持ち、胸の前に掲げた。

静かに深い呼吸を繰り返し、この会場一杯に私のセンサーを広げる。

一瞬の後。

ふわりと温かい風が私の頬を撫でたような気がした。


私はゆっくり目を開ける。


ユキちゃんを見ると南側の客席方面を気にしている。

私の感じ取った温かい風も、そちらの方角から流れてきたように思う。


「深月、私はとても懐かしい気配を感じる」


そういうユキちゃんは先程とは違い、何か嬉しそうに見える。


「懐かしい気配というのはわからないけど、私は温かい風を感じたんだ」


「温かい風、それは私が感じ取ったものと一致する。だが、その気配の出処を探ろうとすると、霞がかったようになり気配が霧散してしまう。何度試みても同じことの繰り返しだ。何か大事なことを見落としている気がしてならない。とても嫌な予感がする」


「そう···」


ユキちゃんは頷き、しかしその顔からは不安が覗く。


とても嫌な予感がするというユキちゃんの勘は、当たっていると思う。

こういう時の彼の勘は、頼りになるから。


「私も細心の注意を払うが、深月も十分に気を付けるんだ」


「うん、わかった。気を付けるね」


ユキちゃんは私に話したあとも、緊迫した表情で辺りの気配を窺っている。


ユキちゃんの言葉を、軽く受け流すことは出来ない。

きっと何かが起こっているのだろう。


みんながお祭り騒ぎで盛り上がっている今、私は浮かれすぎないように、落ち着いていなければならない。


気を付けるに越したことはないからね。


不安が胸をよぎるけれど、これ以上私にできることは何もない。


今はただ、試合に集中して勝ち進むのみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ