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転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜  作者: 万実


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国家陰陽師資格試験10

 月明かりを頼りに歩を進める。


 塔に近づくにつれ、闇もまた濃くなっているように感じる。


 だいちゃんが歩みを止め、目前の塔を見上げると言った。


「塔まで来たよ。お姉ちゃん、あとは任せたからね」


「案内、ありがとう。ソウシに土偶、塔に入るよ」


「俺が先導していく」


 土偶が得意げな顔でぐいっと前に出た。


「土偶、ちょっと待ちなさい」


 私の制止を無視して、土偶はずんずんと進んで、塔の入り口に近づいた。


 バーンと派手な音を立て、土偶が吹き飛ばされた。


「土偶!」


 うわっ!

 これはまずいでしょう。


 私は慌てて土偶に走り寄り、怪我の様子を見る。

 派手に飛ばされた割に、かすり傷が数カ所できているくらいだった。


 私はため息をついた。


「よ、嫁よ···」


 珍しく、土偶の声は弱々しい。

 自信満々で行った手前、バツが悪いのだろう。


「土偶、勝手な行動は厳禁よ。何があるかわからないんだから、少しは落ち着いて行動しよう」


「うっ···」

 

 入り口に何か仕掛けられていて、土偶はそれに引っかかって飛ばされたらしい。


「ソウシ、入り口付近を調べてくれる?」


「承知した」


 ソウシが塔の入り口付近をぐるっと歩き、土偶が吹き飛ばされた個所で止まった。


 そこに手をかざし力を注ぐと、青い光が塔全体を包みこんだ。


「これは、結界が張ってあるようだ」


 結界?

 近づく者を弾き飛ばす結界か。


 結界が張ってあるのなら、中に入るために、術者を倒すか結界そのものを破壊しなければならない。


 術者は塔の中だろうから、現実的に考えれば、結界を破壊するしかないだろう。


「ソウシ、この結界壊せる?」


「待っていろ。今···」


 ソウシは話しの途中で動きを止めた。

 耳をピクっと動かし上空を見上げ、青龍刀を構えた。


「来るぞっ!」


 ソウシの叫びと同時に、何かが目の前にドンっと落ちてきた。


 大地から砂埃が舞い、視界が悪くなる。

 私は咄嗟にだいちゃんとてんこちゃんの前に出て、彼女たちを庇った。


「ギィィ」


 鳴き声が響き、バサバサと羽音を立てて姿を現したのは、翼を持った大きな蛇だ。

 大きな身体に炎を纏っている。


 だいちゃんが言っていた大きな大きな鳥みたいな化け物というのは、今、目の前にいるこの蛇のことを指しているのだろう。


「うわわっ!騰蛇(とうだ)が塔の外に出てきちゃった。きっと結界を刺激したからだ。お姉ちゃん、なんとかして!」


「騰蛇···」


 この蛇の名は、騰蛇と言うらしい。


 むむ、強そう。


 私も戦ってみたいけど、だいちゃんとてんこちゃんを放って置くわけにもいかない。


 彼女たちを危険な目に合わせることなく騰蛇を倒すには、どうするのが一番いいのだろうか?


 様子を見るためにも、私が守りに徹して、式神に騰蛇の相手をしてもらおう。


「ソウシ、騰蛇を攻撃!」


 すぐさま、ソウシは青龍刀で攻撃を開始した。


 幅広の刀は唸りを上げて、騰蛇に襲いかかる。


 騰蛇は危機を察知して、飛び上がると炎を振り撒いた。


「ちっ!」


 飛び散る炎を避けながら、ソウシは空を駆け、騰蛇の頭上から青龍刀を振り下ろした。


 ガツンっと大きな音が響いた。


「なんて硬さだ」


 ソウシの刀は確かに騰蛇にヒットしたけれど、異常なほど高い防御力により、ほとんどダメージを与えていない。


 通常の攻撃はあまり効果がないのかも。


 次は術を試してみよう。



「土偶、土塊で攻撃!」


「任せろ!」


 土偶は両手を地に着けた。


 そこからガガガっと土がせり上がり、騰蛇に迫る。


 騰蛇は翼を大きく広げ、バサっと羽ばたき上空へと退避し、術を避けきった。


「くそぅ!卑怯だぞ。降りて来い。正々堂々勝負しろ」


 土偶は地団駄を踏み叫んだ。


 えっと。


 土偶が正々堂々って。


 そのセリフがあまりに土偶らしくなくて、ツッコミたくなるのをぐっと堪えた。


 今は、そんな状況じゃ無いからね。

 騰蛇はこちらの攻撃を受け、怒りが頂点に達しているようだったから。


 騰蛇は翼を広げ、強くはばたいた。


 そこから風が巻き起こり、それは竜巻となってこちらに向かってくる。


 うわっ!

 この攻撃を受けたらまずい。


「だいちゃんにてんこちゃん、私から離れないで!」


 そう言って、天の美月を構えた。


 胸の奥から力が溢れてくる。

 その力を扇に乗せると、風を纏い、徐々に大きくなってゆく。

 私は渾身の力を込めて扇を振り払った。


 バーンと爆発音が響く。


 騰蛇の竜巻と私の爆風が真っ向からぶつかり、どちらの力も消滅した。


「強い!」


 私の後ろからだいちゃんの声が上がった。


 だいちゃんは騰蛇から目を離さず、私の真横へと移動した。


「式神だけ強いのかと思ったけど、お姉ちゃん、結構やるね」


「えっ?」


 急にどうしちゃったの?


「お姉ちゃん、私たちの事は心配いらないよ。無理に守ろうとしなくてもいいから、心置きなく戦ってきて」


「えっ?!で、でも大丈夫なの?」


「うん!大丈夫だから」


「だけど、さっきは餓鬼に取り囲まれて、怖かったって泣いていたじゃない」


 そうだよ。

 あんなに泣いて怖がっていたんだから。

 とても大丈夫だなんて思えないよ。


「ああ、あれ?私、小さくて汚い餓鬼、苦手なんだよね。あの時は餓鬼に取り囲まれて臭くて死にそうだった。それこそ、気絶でもしたら、どうなってたか分からないでしょ?でも、他のヤツなら平気なんだよね」


「平気って···」


「てんこちゃんだって、泣きやんだら結構強いからね。自分の身くらいは守れるよ。ほら、てんこちゃん!いい加減、泣きやんでよ」


 だいちゃんはそう言って、てんこちゃんの足を蹴り上げた。


「うぐっ!」


 てんこちゃんは驚いて、蹴られた足を庇いながらだいちゃんを睨んだ。


「だいちゃん、何するの?!痛いじゃない!」


 だいちゃんはジト目で見つめ返した。


「ほら、痛くて涙が引っ込んだでしょ?いい大人なんだからさ、いつまでも泣いてるんじゃないよ」


 てんこちゃんは、ハッとしてうつむいた。


「うっ···そうよね。いつまでもメソメソしてゴメンなさい」


 ホントにこの二人は、どっちが保護者なのかと首を傾げてしまう。


「お姉ちゃん、こっちの準備はOKだから、行っていいよ!ほら、てんこちゃんからもお姉ちゃんに何か言ってよ」


 てんこちゃんは、ワタワタと慌てながらも頷いた。


「コホン、好きなだけ戦ってきてください」


 そう言って頭を下げた。


 うーん。


 そこまで言うのなら、私も本気出しちゃうからね。


 それにしてもこの二人って、仮想空間のか弱い住人かと思っていたけれど、どうも違うみたい。


 一体二人は何者なのか?


 正体は気になるけれど、今はそんな事を考えている場合ではないのだ。


 騰蛇は上空から見下ろし、次の攻撃に備えている。

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