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転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜  作者: 万実


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国家陰陽師資格試験9

ちょうど椅子の真後ろに、扉が見えた。


 というより、ベアが指差した瞬間に扉が現れたと言う感じだ。


 ただかわいいだけのベアではないらしい。

 管理人と言うからには、きっとまだ秘密があるに違いない。


 私は周りをよく観察しながら、注意して扉を開いた。


 その途端、先程の白い部屋と扉は、ぱあっと掻き消えた。


 そして、周りの景色の美しさに目を奪われた。


「うわぁっ!なんて綺麗なの!?」


 私の呟きは、空に吸い込まれたみたい。

 満天の星空に、月が浮かんでいる。


 今宵は満月。


 優しい月光が辺りを照らして、とても幻想的だ。


「仮想空間と言っても、自然は豊かだし、人や動物も普通に存在していますからね」


 ベアは誇らしげに胸を張った。


 なるほど。


 って、周りの景色に感心している場合ではないのだ。

 時間制限もある事だし、先に進まなければ。


「最初はやっぱり、情報収集だよね。近くに街とかあったりするのかな?」


 私の問いにベアは首を傾げながら、目をパチパチと瞬かせた。


「街ですか?えーとですね···」


「きゃぁー!」


 ベアの説明が始まる間際、いきなり叫び声が聞こえた。


 声がした方を見ると、小さい何かを取り囲むように、小鬼が群がっていた。


 あれは餓鬼ね。

 そして、小さい何かとは、どうも子供のようだ。


 大変!


 すぐさま私はソウシと土偶に指示を出した。


「ソウシに土偶、あの餓鬼を倒して、子供を救出。最優先は子供の命よ」


「了解!」


「嫁よ、任せろ」


 ソウシは青龍刀を装備し、走り出した。


 力強い動きに、餓鬼は全く対応できない。


 あっという間に、餓鬼は数を減らしていく。


 土偶は両手を前に広げると、そこから小砂利が溢れ出した。


 餓鬼は小砂利に埋もれて、身動きが取れない。


「どうだ!俺の実力を思い知ったか!」


 土偶は得意満面な表情でアピールしている。


 ああ、調子に乗りすぎよ。


「土偶、子供を救出よ!」


「ちっ!わかってるよ」


 しぶしぶ、土偶は泣き叫ぶ子供を抱き上げた。


 しかし、子供は混乱しきっていて、救出された事を理解できずに泣き叫び続けた。


「いやー!助けて」


「おい、俺は敵じゃない。いい加減、泣き止め」


 土偶がいくらなだめても、子供は泣きやまない。


 これは作戦を変えるしかない。


「ソウシ、土偶と変わって!」


「分かった」


 ソウシは土偶から、子供をひょいと受け取ると、優しく抱いて背中をさすった。


 柔らかな空気を感じた子供は、泣くのをやめた。 

 そして、しゃくり上げながらソウシの顔を見上げた。


 ふわりと微笑むソウシを見て安心したのか、子供はソウシに体を預けウトウトと眠りについた。


「ソウシ、良くやったね」


 眠りについた子供を起こさないように、ソウシはゆっくりと頷いた。


 その子は可愛らしい女の子だ。

 小学生の低学年位かな?

 珍しい白髪をおさげにしている。

 泣きつかれて眠っている姿は、本当に愛らしい。


 土偶は面白くないようで、腕を組んで舌打ちをした。


「だいちゃん!大丈夫?無事だった?」


 透き通るような声がした。


 この人はあの子の知り合いのようだ。


 綺麗な女の人だ。

 髪をアップにして、着ている服はドレスみたい。

 なんだか品があって、見るからに上流階級の人って感じだ。


 声の主は走りより、ソウシの腕の中にいる子供を受け取ると、ペシペシと頬を軽く叩いた。


「うーん···、あっ!てんこちゃん!うぇぇん、怖かったよう。私、あの鬼たちに食べられるところだったんだよ?!今まで何してたの?」


「ごめんなさいね。私も鬼たちに絡まれちゃって、やっとここに来たの。もう絶対にだいちゃんを一人にはしないから、そんなに怒らないで」


「···うん、分かったよ」


 だいちゃんにてんこちゃん?


 二人は全く似ていないし、お互いの呼び名から、親子というわけでは無さそうだけど。



 二人はぎゅっと手をつなぎ、目配せして頷くと私の前までやって来た。


 そして、どっちが話しをするのか揉めた後、てんこちゃんが少し前に出た。


「だいちゃんを助けていただき、ありがとうございました。お礼も差し上げず申し訳無いのですが、あなたに折り入ってお話しがあります」


「なんでしょう?」


 てんこちゃんは少しもじもじしながら、話し始めた。


「私たちはあなた方のような強者を待ち望んでおりました。街の北東に位置する小高い丘に塔があります。そこに巣食う怪物をやっつけていただきたいのです」


「えっ!怪物?」


「そうです。アイツのせいで···あ、いや、あの怪物の出現で、私たちの仲間が散り散りになってしまったんです。それで、私の大切な人がアイツの手に掛かって、ううう···」


 そう言うと、てんこちゃんはハラハラと涙を零した。


 あわわっ!

 泣き出しちゃったよ。


 よっぽど酷い目に遭ったようだけど、困ったな。

 なかなか泣きやまないから、話しが進まないんだよね。

 

「てんこちゃん!何やってるの?もういい加減、泣きやんでよ」


「···ううっ」


 だいちゃんはてんこちゃんの腕を掴んで揺すったけれど、泣き止む様子はまるでない。


 痺れを切らしただいちゃんは、「もういいっ!」と叫んで、私の前に進み出た。


「ちょっとお姉ちゃん、私の話しを聞いてくれる?」


「えっ!う、うん。いいよ」


 なんだか、子供にしては凄く迫力があるんだよね。


 さっきまで泣いてた子とは思えないよ。


「塔にいる敵を倒してくれる?」


「分かった。敵を倒せばいいのね」


「えっ!いいの?」


「うん。いいよ」


 すぐにいい返事をもらえると思っていなかったようで、だいちゃんは目を白黒させている。


 そもそも私の目的は、敵を倒して鍵を手に入れることだ。


 それに、こんなに可愛い子のお願いを、断る事なんて絶対に出来ないよね。


 だいちゃんは「良かったー」と呟き、ホッとして息を吐いた。


「そこまでは、私が一緒に行くからね。分からないことがあったら何でも聞いてよね」


「ありがとう」


 えっぐえっぐと泣くてんこちゃんの手を引きながら、だいちゃんが先導して歩く。


 最早、どちらが保護者か分からない。


 塔までの道すがら、だいちゃんから敵の情報を聞き出すことにした。


 敵は大きな大きな鳥みたいな妖怪という事だ。


 何人もの旅人が挑戦したけれど、誰一人戻って来る者はいないそうだ。


「あっ!お姉ちゃん、塔が見えてきたよ」


 だいちゃんが指を差した先に、小高い丘が見えた。


 そこには黒い霧をまとった塔が見える。


「いよいよ敵との遭遇ですね。お手並み拝見と行きますか!」


 ベアがフフフっと不敵に笑った。

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