第十一話 懇願
こんにちは。
ようやく少しずつ小説を書く時間を生活に入れられるようになってきました。
その代わりに筋トレの時間は無くなりました。
太りたくない。助けて。
結論から言えば、先輩を満足させられらような適当な答えは出てこなかった。いくつか回答してみたが、やっぱりありきたりでつまらなかったみたいだ。
これだけ考えても出ないならばもう出ないのだろう。
という事でこの話はお終いにして、僕は先程から気になっていた事に話題を変えた。
「ところで先輩。さっき言ってた先輩が書いた小説、読ませてくれませんか、すごく興味があります」
「お断りします」
「読みたいです」
「読ませる理由がありません。お断りですね」
あまり人に読ませたくないみたいだ。本人が嫌だと言っているのに無理強いするのも良くない……がそんな事は百も承知で読みたい。この人がどんな文章を書くのかがひたすらに気になるのだ。
「読ませてください、すっごく、これ以上ない程に気になります」
「しつこいんですよ、読ませないって言ってんのが聞こえませんか。病院の紹介はしませんよ、それくらい自分で調べていけますよね」
先輩は僕のあまりのしつこさに語気が強くなってきた。正直すごく怖い。
だがここで引いてはここまでしつこく迫った意味がなくなってしまうではないか。
「聞こえてはいます。でも本当に読んでみたいんです、お願いします先輩」
「ーーはぁ。わかりました、そのかわりもう静かにしておいてください。うるさいので」
努力は実るのだ、これがその証明である。
何はともあれこれで先輩の書いた小説が読める、かなり怒りを買ってしまっただろうが、この成果に比べれば小さな事だ。
先輩は一冊の分厚いノートに小説を書いていた。よく使い込まれたのがみて取れるかなり年季の入ったノートで、ところどころ表紙が破れたり、欠けてしまっていたりもする。
その外見も相まって、ますますどんな内容なのかと期待で胸が膨らむ。
そうして恐る恐る趣のある表紙を開き、物語を読み始めた。
読んでいただきありがとうございました。
みなさんが読んでいる間に間食をして少し太りました。
太りたくない。助けて。