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WITHUOOM HSASTE -ウィトゥーム ハズアステ-  作者: KIKP
東北 芸術の国
59/68

58 雑学

時刻はもうすぐ十三時になろうとしていた。

喫茶店での昼食後、休憩を終えてクロト達は再び街の中を会話をしながら歩いていた。

それは、好きな食べ物から趣味に、街中で目に止まった花の花言葉等と、他愛もない話をしながら。


と言ってもクロトは、聞かれた事を答える。だけと言うもので、二人の尽きる気配の無い、話題の数々に感心していた。


「話は変わるのだけれど。いいかしら?」

「何だ?」

「クロは今回のコンクール?の件はどこまで考えついているの?」

「私も聞きたいです」


何の前知識も無しに、ただ音楽を聞くだけというのもアレか…。


すると、クロトは急に立ちどまり、何かが気になったのか見つけたのか、すぐ横の脇道をじっと眺める。


「そうだな…。音楽鑑賞中に話すのはアレだしな。先に知識を持ってから聴く方がいいか…」


そう言って、大通りから外れ、人気の無い脇道を歩き進む。

話を他人に聞かれない事を考慮してのことだろうかと、二人もその後をついて行く。


「俺の意見を聞く前に…。先に二人は今回の件。帝都の人間たちの目的は何だと考えている?」

「昔、父様達から聞いた話だと、帝都はとても豊かな国って言ってたし、安直な考えをするなら、ただ単に芸術の国である一流の音楽が聞きたいからじゃない?それで宮廷音楽家として一人、二人を雇ったりとか」

「それ以外にあるとしたら、ユーラクストでの一件。邪神の様な事でしょうか」

「そうだな…。俺の答えを話すより先に、少し雑学をするとしよう」



「『音楽』とは音による芸術。また、音を良く整えるスキエンティア。人間が組織づけた音。我々を取り巻く音そのもの。音による時間の表現と、様々な定義が存在し、音楽の起源も様々だ。

とある国の神話では、最初の音楽は歌声であるとされている。その歌は千人で合唱して万人を和し、山を震動させて川を沸き立たせた。これは、人の声音を重ねることで自然界を制御したらしい事が窺えるだろう。

あるいは手拍子を伴ったかもしれない。原初の楽器は打楽器であったとも推測される。

現代のような洗練された武器や魔術が確立されておらず、世界・自分たち以外の種族の知識が全く無い時代。古代人にとって、猛獣や害虫・病や災害から身を守り、毎日の生活こそが大きな課題であり、彼らにとって音楽とは、その課題を緩和させる、解決する為のものであったと考えられている。

例えば獣の遠吠え。それは縄張りの主張し、群れ同士の争いを避ける。また、狩りを始める合図やはぐれた仲間を探すものとされている。だが人の声帯、声質では獣の遠吠えの様にはいかない。だから、人間は声の代わりとなる道具を作った。それが打楽器だ。

いくつものそれを、同時に打ち鳴らすことで、生物のモノではない音。自然の中でも馴染み無い音を生み出し、猛獣などを退散させた。そのように生活を安全に守る音楽は、様々なリズムを生み出して舞い踊り、祈りや祝祭を。狩猟や争いの鼓舞。儀式などに用途を代えていった。

『音楽』を『言語』とし、親しい者、愛した者へのメッセージ、贈りモノとしていたこともある。

一方、人以外の動物には音楽はあまり存在しない。鳥類や海獣類の中には、発声を応用した『歌う』を行うことがあるが、それはその種族の求愛行動。己のアピールでしかなく、先も話したが、縄張りや威嚇としか使われていない為、人類の『音楽』のような発展はしていない。

ここまでの事から『音楽』とは、ありとあらゆる全ての生物の中にあるソレに、大きな影響を与える。

この国でも聞いてきた落ち着き、祭りや遊びのような楽しさや安心、そして感動を。

反対に、猛獣などが退散してしまうような未知の音。我々が幼い時、まだ知識も無い時に聞いた巨大な雷の様な音は、恐怖や不安を生み出すのだとな」



「何と無く、クロの語る『音楽』というのは分かりましたが…」

「結局、あなたはどう考えているのよ」

「今、話したままだ。争いが起こった際、軍の士気を上げる為かもしれないし、メアの通り、ただ音楽を楽しむ為に今回のコンサートで気に入った人物を雇うかもしれない。シルの通り、音楽を使った儀式に関わる邪神の復活かもな。どこかの神話の神々の始祖とされる者は、眼を覚ますと世界も神々すらも消えてしまうからと、目を覚まさぬように音楽によって鎮められているとな」

「何よ、そのとんでもない神は…」

「さあな。どこの神話の神もそういうものだろ。不干渉に徹する神もいれば、理不尽に破壊を尽くす神も、慈愛を尽くす神もいる。まぁ、結局いるかいないか定かではないモノだがな」

「結論的に言うと、目的は分からないですが、起こるであろう幾つかの可能性は把握しているということですか?」

「まあ、そんなところだな」

「それって、いくら考えても目的に行きつかないってことじゃないの」

「そうだな」

「なら、今回のコンクールに行く意味はないんじゃない?」

「最初に言ったろ。今回の俺たちの目的は休暇だって。せっかく良い場所で、良い音楽が聴けるんだ。気分転換にはちょうどいいだろ」

「まぁ、確かにそうだったわね」

「それに、些細なきっかけで、何かしら分かることもあるかもしれないのだからな」

「それでクロ、何か目的があって向かっているようですが、一体どこに?」

「もう、着くよ」


全く人気のない道を数歩進んで横に曲がり、更に狭く暗いその道を進んで行った。

後をついて行くと奥から、ピアノの音色が聞こえ始めた。

その音色にいざなわれる様に細道を通ると、一人の男がすれ違った。そうしてたどり着いたその開けた場所あったのは、一軒の建物だった。

四方を高い建築物に囲まれ日差しは悪く、辺りを見るにここへの道は先の一本と、恐らく知っていないとたどり着けない、隠れ家の様な場所。

先程の街の雰囲気からではあるとは思えないような所なのだが、斜めに強い日の光が射しこんでおり、空気に漂う小さなものに反射して、幻想的な場所にも見える。

通り道は一本と明らかに風通しも悪く手入れもあまりされていないのか、地面や壁の所々に苔や蔦が生えているというのに不思議とジメジメと湿気てはおらず、寧ろ空気は澄んだように心地良いのだが…。何処か哀しみを感じる。

建物の中から聞こえるピアノの音、入り口の扉に掛けられたOPENの板を見るに店のようなのだが、先程まで大通りにあった店とは違い、窓ガラスが無く中の様子が一切見えない。少々、近寄り難い雰囲気を感じさせる。


「ここは?」

「さぁな。ただ一際いい音色が聴こえてきていたからな。それに誘われて来てみただけだ」

「さぁなって…。確かにいい音色だけれど」


それよりも…。

大通りでは色々な音が聞こえたというのに、遠く離れたこの建物の中から聞こえる、この音色を聞き取ったというのですか?

一体…どういう聴力してんのよ…。


「予定の時間までまだ少しある。とりあえず店のようだし入ってみたらいいだろ」

そう、三人とも何の店かも分からないままにその扉を押す。扉は見た目の割に、とても軽く、建付けがいいのか一切物音を立てずに開かれ、閉じる。それは、中で奏でられている演奏を邪魔しないように。

店の中は明るくも薄暗くもない、絶妙な明るさ。匂いも埃臭さなどない、一番近い匂いと言えば、青い森の中だろうか。

そんな中に見えるのは無数に並ぶ、部品や工具、楽譜の収められた木製の商品棚。壁の隅に並ぶ幾つかの作りかけや、完成されたピアノ。そして、ステージとばかりに中央に設置されたピアノを一人の老人が弾いており、その周りに使いかけの工具が床に転がっている。

店の中にはその老人しか他に人物はいないようで、彼が店主なのだろうが、三人の来店に気が付いていないように演奏をし続ける。


それを、気にして二人が顔を耳に近付けて、小さな声で話しかけてくる。

「本当にここは店なのでしょうか…。あの方も入って来た我々に気が付いてないようですし…」

「邪魔にならないように出て行った方が…いいんじゃないかしら…」

「OPENってされてあったから別に問題ないだろ。それに…この曲はもう直ぐ弾き終えるしな」


言う通りに、静かに待っていると十秒ほどして最後の音が響き続け、徐々に静かに鳴り止み、演奏を終えた。

「いやはや、すまないね。演奏を途中でやめられないたちでね」

そう、こちらを振り向きこちらを軽く観察する。

「おや、外国からの客人とは珍しい。いらっしゃい。どなたからの紹介ですかな?」

「いや、誰からの紹介でもない。招待制の店であるのなら出ていくとするが…」

「いえいえ、そういう訳ではありません。何分、隠されたような立地である為、馴染みのお客様しか来ませんから。それでは、どのようにしてここまで?」

「ただ、歩いていると、いい音色が聴こえて誘われるがまま訪れただけだ」

「それは、それは。お褒めいただき光栄であります」

「すみません。ここは一体…何のお店なのでしょうか?」

「ここはご覧の通り、ピアノ専門のお店でございます。この部屋の他にも三部屋ほどあり、商品棚に何でもという訳にはいきませんが、凡そ数十万曲以上の様々なジャンルの楽譜。お客様ご自身で修理などの行いたい用に工具や各部品などを揃え、点検や修理にお客様び身体、ご要望に合わせたオーダーメイドの商品を製作し、販売させて頂いておりまが…。そのご様子ですと…特にご用は無いようですね」

「そうだな…。ただ眺めるだけになりそうだ。悪いな」

「いえいえ。そんな謝る必要は御座いません。ごゆっくりご覧ください」

「そうさせてもらうよ」

「では、私はここで作業をしているので、何か御用があればお声掛けください」


店主の言葉に甘え、商品棚の道具や楽譜を眺め見る。

道具を見るに、一つ一つ削り具合やツヤなどが微妙に違い、一つ一つが機械ではない手作りであるのが分かる。

楽譜棚を見ていると、見た事も聞いた事も無い名を見るに、この世界で生まれた有名な作曲家達なのだろう。

そう流れ見ていると、その名達に目が止まる。

街中で鳴り響いた曲。店主が演奏していたモノから何と無く察していたが、そこにあった名はどれも、見知ったものばかりが並んでいた。

それは『赤毛の司祭』、『音楽の父』、『楽聖』等と、あの世界であれば知らぬ者は居ないと思える、名だたる作曲家とその曲の名達が。


まあ、当然と言えば当然だが…。


一つの楽譜を手に取る。

それは、記憶にあるモノと殆どズレなど無い楽譜。


ここまで正確なものが受け継がれるものなのか…?それとも…。


そう、難しそうに考える様子を見て邪魔にならないようにと、二人は、壁際に並べられたピアノ達を眺めみていた。

そのピアノ達は鍵盤ハーモニカの様に持ち運び出来るようなものから、アップライトピアノ、スクエア・ピアノ、そして最も馴染み深いグランドピアノ等があり、木目調と艶やかな重厚感のある漆黒と、どれも高級感に溢れている。

とても美しく、これらからどんな素敵な音色が出るのだろうと、眺めていると。


「触ってみますか?」

急に声を掛けられたビクッとする二人が振り向くと、店主がニコニコと柔らかい表情で後ろに立っていた。

「いいのですか?」

「ええ。これを機に音楽、ピアノに興味を持っていただけるのでしたら、それ以上に嬉しいことはありませんから」

そう言って鍵盤蓋を開き、キーカバーを取り除き、一度高い鍵盤の音を響かせ、音を確認し頷く。

そして、椅子を取り出して軽く拭き取り、適当な高さまで上げて準備を整える。

「どうぞこちらに。高さは側面のレバーで調整できます」

差し出されたそれに、二人は顔を見合せてメアが「お先にどうぞ」と譲り、「じゃあ、お先に失礼します」とシルスは座って高さを調整し座って初めて触れるそれを少し眺る。

恐る恐る人差し指を立てて、鍵盤を押し込む。

内部で鍵盤に繋がったハンマーが動き、ピアノ線を叩いて、高いドの音が内から外へと、部屋の中に静かに響いた。

とても綺麗な音。と暫く

だが、何処か…何か…と、納得できない様に不思議そうに二度、三度と同じ音を響かせる。

「おや、どうやらお二方共、良き耳をお持ちの様ですね」

「良き耳?」

「同じ場所の鍵盤を押し、同じ音だというのに…。その音はとても優しくも何処か、少し不安が感じられた。私が出した音と何か違うと」

「はい…。これは一体…何が違うのでしょうか…」

「楽器は道具でありますが、ひとえに道具であるという訳ではありません」


なぞなぞのようなその言葉に、二人共が困惑の表情を浮かべる。


「そうですね…。貴方達はとある舞踏会といったものに招待されたとしましょう。知人、又は見知らぬ方とパートナーとなり踊ります。すると、今は相手に大きなミスはしていませんが、何かを気を遣ってか集中できていません。それを感じ取った貴方達はどう思いますか?」

「集中してくれないと困りますね」

「その様子だと、二人の呼吸は合ってなさそうだし。いつ失敗してもおかしくないわね。何より失礼じゃないかしら」

「それがお二方が感じた、違和感の正体の原因です。今貴方は音を鳴らすことよりも、赤子に恐る恐る触れるように鍵盤を押したから、ピアノが困惑しているのです。演奏はダンスと同じ様に、演奏者と楽器という二人一組によって奏でられる、音という芸術。その音は、楽器が演奏者の写し鏡として、伝えたい気持ちを音として奏でてくれるのです。だからたった同じはずの一音だけでも、こうして違いを感じる事ができるのです」

「なるほど…」

「そうなんですか…。それはその…失礼しました」

シルスがピアノを優しく撫でて、謝罪する。

「あまり商品などと気にする必要はありません。取り敢えず好きなままに音を鳴らしてみるといいですよ」

「分かりました。ありがとうございます」

そう、シルスはここまで話の通りに、深呼吸をして再びピアノを眺め見て、先と同じ鍵盤の音を響かせる。

すると、先程までの何処か感じられた不安は無くなっており、確かに優しい音を感じられた。

それでも、主人が鳴らした様な綺麗な音には、及ばないのが分かる。

だけど、そんな事を気にする必要はない。シルスは、ドレミファソラシドと一音、一音の音を確かめていた。


男は、その様子を暫く眺めて微笑み、元の作業に戻ろうと振り向くと、調整中のピアノをクロトが離れた所で眺めていた。

「ありがたいよ。初対面の、ただの客だというのに、ああして演奏を聴きに行く前に、直にピアノを触れさせてもらえて」

「いえいえ、こちらとしても喜ばしい事です。あの子達が私以外の誰かに触れてもらえるのですから」

そう話していると、一音ずつ音を鳴らす事から、軽く短いメロディーを鳴らし始めていた。


さすがシルは手先が器用なことがあって上達が早いな。


「先程、演奏を聞きに行くと言っておりましたが…。もしや、今回のコンクールに?」

「ああ、そうだけど」

「それはいい。今回のコンクールは国内で選抜された功績のある子達による、美しく多彩な芸術が表現され奏でられる、とても喜ばしく演奏会ですから。きっと良き記憶に残る事でしょう」

「喜ばしい演奏会か…」

「どうかしましたか?」

疑問を感じた様に言うクロトに、問い掛ける。

「俺たちがここに来るまでに弾かれていた曲は、プーランクの『メランコリー』だろ」

「ええ、その通りです」

「『憂鬱』を意味する『メランコリー』の曲は、美しさの中に何処か…悲しみを湛えた曲」

「お詳しいのですね…」

「演奏会がある今日この日を心の底から喜ばしく思っているなら、もっと別の曲を弾いてもよかったと思うが…。何か意味があったりするのか?」

「それは…」

すると、先ほどまでの単、単と聴こえてい短いメロディーとは違う、演奏が始まった。

二人の方を見ると、シルスではなくメアが座ってピアノを弾いていた。それは、ちゃんと曲となっており、到底、初めて触れたモノとは思えない出来だった。


ピアノ弾けたのか…。


新世界より 交響曲第9番 第四楽章。

俺の知識の中では三大交響曲と呼ばれる程の、クラシックを代表する曲の一つ。

最初から最後までどんちゃん騒ぎの、不安や迷いを連れ去って行くような音楽。誰にも分かりやすい作りで、親しみやすい音楽のオンパレードで、ついつい引き込まれてしまう。

そうして弾き終えると、シルスと店主が拍手をする。


「すごいですメア。こんな難しい曲が弾けるなんて」

「素晴らしい演奏でしたよ」

「そうかしら…」

「ええ、そうですとも」

「えへへ…。幼い時に、友人…。いや、先生にピアノを教わってたから…。まぁでも、この曲しか弾けないのだけれどね」

照れくさそうし言って、クロトの方をチラリと見る。

「どうだったかしら…」

「まぁ。曲になってたし、上手かったよ」

その褒め言葉に満足出来なかったのか、プイッとそっぽ向く。

「もうちょっと、素直に褒めなさいよ…」

そう、小さな声で呟いて、む〜と頬をふくらませる。

「何か言ったか?」

「何でもないわよ!」

聞き取れないような小さな呟きだった為、聞き返したのだが、怒ったような彼女の様子と返事の言葉に、褒めたのになんで怒っているんだ?と理解出来ず、クロトは混乱する。

二人のやり取りにやれやれと、シルスは肩を落とす。

「メア、私にもピアノの弾き方を教えてくださいませんか?」

「いいわよ。先ずはーーー…」


メアによる、指の動かし方の授業が始まった。


「ほっほっほ。随分と仲のよろしいことで。微笑ましい限りです」

「確かに…。あの二人、かなり良くなったな」

「御二方は苦労しそうですな…」

「苦労?」

「いえ…。こちらのお話でございます」

何を言っているんだと首を傾げ、?を浮かべる。

「それにしても、お連れ様の先程の演奏、素晴らしかったですな」

「ああ」

楽譜も無しに弾き切ったということは、何度も何度も弾いて楽譜をさらったのだろう。短いが、最初から最後までミスは無く上手に弾き切った。曲を弾くという点では上手だが…。


「先程の質問ですが…。その身でお聴きすれば、自ずと分かると思いますよ。お客様方なら…」

「仕方ない…。元々、そのつもりだったからもういいよ」


一つの作品でも、人によって感じ取る解釈は様々だ。だから、他人の意見ではなく、自身の思うがままが答えということなのだろう。

そう一人納得して二人の様子を眺めていると、店の扉が音を鳴らし開かれる。


「何か懐かしい演奏が聴こえていたと思ったら、貴方だったのね」


その声に反応してメアが振り向くと、「あっ…」と声を漏らす。

視線を向けると白いジャケットに黒いドレスを身に纏う、見知らぬ女性が入り口に立って、メアに手を振っていた。


「アルセネリア先生…?」

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