第六十八話 水は好き?
お待たせしました。この数日、頭痛だったり、咳だったり、熱だったり……なんとか復活しました。
ハミッテの水遊び場は、かなり特殊だと言う噂だった。
ウゴロさんから来る手紙でも、そんなことが毎回のように書かれていた。
なので、どんなものかと自分の目で確かめられ、体験できる日が来るとは思わなかった。
昔は水遊びをする時、大抵裸や下着、もしくは服を着たままとかだけど、今では水着と呼ばれる水遊びをするために作られたものを着用する。見た目は、下着にしか見えないんだけど。
けど、水をよく弾く素材で作られているため今では水遊び場をするなら水着と言われるほどになっている。
そして、僕達も水着に着替えたわけだけど……。
「なんですかこれ? きらめさん」
水着はきらめさんが用意してくれた。
ちなみに僕はライカのままで水着を着ることになったんだけど……その水着がちょっと。
「その名も、スク水着! しかも白!!」
肌にぴったりと張り付くような水着。
僕が知っているワンピース型の水着に似ているけど何かが違う。
まずワンピース型のように余計な装飾はなく、胸の辺りに白い枠があるだけ。
そこに何故かきらめさんが地球の言葉でライカと書いた。
確かに名前を書くのは大事なことだけど、こんなにも大きく、胸のところに書かれたら恥ずかしい……。
「ちなみに正式名称はスクール水着。よく学校とかで支給される水着なんだよ」
「地球の学校ではこんな水着が支給されるんですね」
こっちの学校では水着は各々持参となっている。
持っていない生徒には学校側から貸し出しされるらしいけど。
まあ、水着を使うような授業がある学校はあんまりないって聞いたことがあるけど。
海近くの学校とかだったらあるかな? 僕は学校に通ったことがないからなぁ……。
「こっちの水着は、どうやら四種類しかないみたいだね。男性はトランクスとブーメラン。女性はビキニにワンピース、と。ちなみにお姉ちゃんはビキニだよ!」
そう、きらめさんは髪の毛と同じ色のビキニを着用している。服の上からでもわかるほどだったけど……こうして改めて水着姿を見るとスタイルいいよね、きらめさん。
「私は、主様とは色が違いますが。これもスク水というものなのでふね? きらめお姉様」
「その通り! レンちゃんのはよくある色だよ。そのタイプが学校なんかで支給されるものかな」
レンのは、僕と同じくスクール水着なるものだが色が少しテカってる黒色だ。レンの髪の毛と相まって中々似合ってる。
きらめさんは、僕とレンを並ばせてスマホで写真を撮るほどに。
「な、なんだかこういうものを着るのは初めてなので恥ずかしいですね……」
最後にミィヤだが。最初はワンピースを着用する予定だったが、きらめさんがミィヤちゃんのスタイルなら思いきってビキニにしよう! などと白と水色の縞模様ビキニを取り出し着させた。
そして、僕は。
いや、誰もが思っただろう。
この子、本当に十二歳か?
世界中の十二歳の女の子を知っているわけではないから、なんとも言えないけど。
ミィヤの発育は十二歳にしてはかなりいい方だ。きらめさんも、思わずごくりと喉を鳴らし、額の汗を拭う。汗は実際に出てないけど。体が小さいので発育の良さがより際立っている。
「あ、あの何か?」
僕達の視線に気づいたミィヤは首を傾げる。が、僕達は何でもないとミィヤの手を引いて歩を進める。
「それで? ここのアトラクションはどんなものがあるの? ライカちゃん」
ここのことを知っているのは僕だけなので、きらめさんが説明を求めてきた。
「見ればわかりますよ。ほら」
僕も手紙などで知っていただけで、実際に見るのは今日が初めてだ。
「わー! な、なんですかあれ!?」
「水が……あんなに高く」
廊下を通り、施設の中央へと入った僕達が見たのは、巨大な水溜まり。まるで湖かのような広さだ。
その中には老若男女、多くの人々が水着を着用して入っている。
今日は気温が高いから、水が余計に冷たく感じているはずだ。
そして、その水溜まりの中央には、天まで突き抜けるんじゃないかと思うほどの噴水があり、その水を利用した巨大な水上滑り台が設置されている。
それだけではない。
他にも家族で楽しめる施設が多く設置されており、どの施設も大反響だ。
「お? あれはファンタジーならではの施設かな?」
と、きらめさんがとある施設に注目。
どうやら、水属性スキルの〈ウォーターボール〉を利用した遊びで、水の球体に相手を閉じ込める拘束スキルの一種だけど。
ここでは、水の球体に閉じ込めた後に、風属性スキルの〈ウィンド〉を使って空中に浮かせたり、水面を移動したりと、見るからに楽しそうだ。
「水属性スキルの人と、風属性スキルの人。二人でうまくこなしているようですね」
「スキルを遊びのためにっていうのは、日常でもよくあることだけど。ここのは格別だね」
だからこそ人気があるんだ。これは、僕達も心の底から楽しめそうだ。
「よーし! 今日は遊び尽くすぞ!!」
「おー!」
「主様。まずは、どこで遊びましょうか?」
見渡す限り、どこも楽しそうだ。一番人気なのは、中央にはある水上滑り台かな。
ただ上がるのではなく、水に乗って上がり、そのまま滑り台で滑る。かなりの高さと、水の勢いだから下に到達した時はかなりの速度になるけど、それは設置されている水壁で勢いを殺すみたいだ。
「まずは列の少ないところから行こう。早く遊びたいし」
「お? ライカちゃん、テンション上がってるね!」
「まあ、遊び心を貰いましたから」
と、微笑みながら人が少ない施設へと歩を進めようとすると。
「ねえ」
「え?」
橋で出会った不思議な女性とまた出くわす。三人はすでに先に行っており、僕だけに話しかけている形になっている。
「あなたは……水はお好き?」
どういう意味だろう?
「えっと、まあ好きですけど」
かなり大雑把な質問だから、こう答えるしかなかった。そして、女性はすぐに施設内を見渡し、小さく呟く。
「私も好き、ううん。大好きよ。だけどここは……この街は大っ嫌い」
そう言い残し、女性は去っていく。
一体、なにを言いたかったんだろう?
「ライカさーん! 早く早く!!」
おっと、気になるけど。今は、この時間を楽しまないと。




