第三十一話 襲撃
ご報告をします。
活動報告やTwitterなどを見た人は、知っていると思いますが、今作品が規約に引っ掛かりました。そのため、それっぽい描写を改稿しました。
まだ不安がありますが、とりあえずはこれで様子を見ようと思います。
「悪いな。忙しいのにまた来てもらって」
「いえ。丁度依頼が終わったところだったので、大丈夫ですよ」
とある日の昼過ぎ。
街のゴミ集めの依頼が終わったところで、領主アルサールさんの使いの人が僕達のところへやってきた。
どうやら、僕が教えたことについて進展があったとのことで、知らせておこうと言うことらしい。
二回目の領主の屋敷。
あの時と同じようにふかふかのソファーに座り、アルサールさんの話に耳を傾ける。
「お前から聞いた情報を元に色々と調べたんだが、今、各地で特殊な進化を遂げた魔物を見たって目撃情報が何件か確認された」
「早いですね。それで、その魔物達は?」
「あぁ、なんとか倒した奴も居るが、取り逃がしたって奴も居る」
「その、どんな魔物が居たんですか?」
誰もが気になっていたことをミィヤが手を挙げて問いかける。
「鉱石や鉄なんかを食べて、体内で武器を生成する魔物。衣服だけを溶かす魔物とかだな」
「中々面白い能力ですね」
特に魔物が武器を生成するなんて、恐ろしいことだ。魔物は身体能力や魔物特有の凶暴性が厄介だ。それに加え武器を使ったのなら、苦戦を強いられる。
例えをあげるなら《ゴブリン》が一番わかりやすいだろう。
「まあ、とはいえお前達が見つけた《ゴブリン》のように、喋るほどの知能を持った奴は今のところ情報はないな」
「ですが、これで今、魔物に何かが起きていることはわかりました」
アルサールさんが手に入れた情報は一部だ。世界という大規模で考えるとどうなるか? 例えばこの辺りにはいないドラゴンなどの化け物のような強さを誇る魔物が、特殊な進化を遂げれば……。
「確かにな。これからも情報は集め続ける。お前達が提供してくれたことは、今でも世界中に広がり続けているからな。もしかすれば、原因がわかるかもしれない」
「その時は、また呼んでください。何か手伝って欲しいことがあれば、協力は惜しみませんから」
「おう。頼りにしてるぜ! とまあ、話が終わったところで、どうだ? 最近取り寄せた旨い菓子があるんだが……食うよな?」
この後に、用事もないし、せっかくの誘いだ。
無下にはできない。
二人に視線を送り、確認をとったところで、僕は笑顔で返答する。
「はい。ごちそうになります」
話を聞きに来ただけのつもりだったが、美味しいお菓子を頂いてしまった。
満足げに屋敷を後にした僕達は、噴水広場のベンチに腰を下ろし、小休憩をしている。時刻的に依頼や仕事をしている人達や、僕達のように休んでいる人達で溢れていた。
「おいしかったですねぇ、あのお菓子!」
「ですね。特にクリームが程よい風味で、生地とマッチしていました!」
「レンちゃん、おかわりしていましたからね」
「いやぁ、本当においしかったもので」
そういえば……気づいている、のかな? と、楽しそうにレンと会話をしているミィヤを見る。
ミィヤもそうだけど、アルサールさんもなんとなく気づいているのかもしれない。僕が……ライカがラルクだってことに。
ミィヤに関しては、気づいたと思ったのはあの夜のことがきっかけだと思う。僕とレンが油断していた時に、ドアの前で聞き耳をたてていたあの時……。
あの日から明らかに変なのだ。僕とレンが部屋に入ろうとすると、じっと見詰めたまま動かなくなることが何度もあった。とはいえ、ミィヤとはラルクの姿では面識がないからなぁ。
もしかすると、ライカが実は男が変身している姿なんじゃないか? ぐらいの気づきかもしれない。
でも、アルサールさんに関しては違う。最初に出会った時に、突然話した僕の過去。帰り際に何かを言おうとした雰囲気から、ラルクだろうと思っては居るが確信がないから、言えない状態なのかもしれない。
まあ、僕がアルサールさんだったら、少年が幼女となるのも不思議なのに、ラルクの時よりも明らかに強くなっていることを考慮すると、疑問に思ってしまうよね。
「どうしました? ライカさん」
あっ、さすがに見詰めすぎたか……。
「ううん。なんでも」
いや、違う。やっぱり仲間として、雇い主として、隠し事は……相手に悪いよね。
それに、いつかは話そうと思っていたんだ。まだ勇気が足りない気がするけど……ミィヤには知っていて欲しいから。
「……あのさ、ミィヤ」
「は、はい?」
僕の雰囲気に、何かを感じたミィヤは背筋をびしっと伸ばす。
言うぞ。言うんだ……! 僕は、実は男で、死んだはずの冒険者ラルクだって。
「実は、僕!」
喉に詰まっていた言葉を吐き出そうと決意した刹那。
ガン! ガン!! ガン!!!
街中に響き渡るほどの鐘の音が遮る。
「な、なんだ!?」
「これって、警報!?」
「ま、街の外で何かあったんだ! 行こうぜ!!」
そう、この鐘の音は街に危機が迫っていると言う警報。僕もこの街の生まれだからもちろん知っている。
けど……今このタイミングじゃなくてもいいじゃないか! また先伸ばしになっちゃうよ……! 文句を言いたいところだが、気持ちを切り替えるんだ。今は、ハーバに迫っている脅威を確かめに行こう。
「二人とも! 行くよ! 鐘の音は北の方角から聞こえた!」
「わかりました!!」
「急ぎましょう!」
僕達の他にも冒険者や傭兵達が北側へと移動している。中には、一般の人達を誘導している者達も。ハーバは、それほど警報の鐘が鳴ることがないので、人々はかなり焦っている様子だ。
「何が遭ったんでしょうか?」
ミィヤが、レンの背中に背負われながら問いかけてくる。
「わからない。けど、ハーバの危機だってことは確かだと思うよ。レン! ついてきて!!」
「はい!!」
僕は、人混みから離れ、建物の屋根へと跳躍。レンもそれに続き、屋根へとやってくる。そのまま屋根づたいに走り抜け、最速で北側の出入口へと到着する。
「あれは……」
そこで見たのは、魔物の大群。
まだ距離はあるが、それでもはっきりとわかるということは、相当な数だと言えよう。
「き、君達は?」
外壁の上で、監視をしていた兵士達が、僕達の登場に驚き、警戒している。
「僕達は」
「おう! ライカ達じゃねぇか!」
身元の説明をしようとしたところ、なぜかゴバックさんとラメサさんが登場。
「お二人がなんで?」
ミィヤが問うと、ラメサが形をすくめながら答える。
「監視の依頼よ。ほら? あの噂が広まっているから、私達冒険者も色々とね」
「そしたら、これだ。たくっ、なんてタイミングで現れやがるんだ! 魔物のどもめ!!」
それは僕も言いたいことですが、今はあの魔物達をどうにかするのが先決。遅れて、冒険者や傭兵達が北側の出入口に到着する。
そして、こちらに向かってくる魔物の大群を見て、ざわめき始めた。
「おいおい、なんだありゃあ!?」
「いったいどんだけの魔物が居るんだよ!!」
「さ、さすがに北側だけだよな?」
さて、あの魔物達は、あの件と関係しているのか?
それとも……。




