第二十話 ゴブリン変異種
総合評価八百ポイントとブックマーク三百突破です! 本当にありがとうございます!
追記十月九日
規約に引っ掛かったであろう性的な描写をなくし、改稿しました。
これで、大丈夫かな?
「な、に……ここ?」
カトレアは、体のダルさが残る中、ゆっくりと目を開けた。しかし、完全には開かない。
何よりも視界がぼやけているうえに、薄暗い空間に居るようだ。
「ユーラ……マリアン……」
辺りを軽く見渡すと、仲間である二人がまだ気絶した状態で倒れているのを発見する。
「縛られてる……何で……」
記憶が朧気だ。
どうして自分達はこんなところに居るのか。どうして、縛られているのか。まったく覚えていない。
しかし、そんなカトレアの意識を覚醒させるような刺激臭が漂ってくる。生臭い……長時間は嗅ぎたくないような、そんな臭いだ。
「気がついたようだな、人間」
「だ、れ?」
鼻を摘まみたい。ここから出たい。そんなことを思っていると、暗闇から何者かが姿を現す。
まだ視界がぼやけているということもあり、形や色がはっきりしない。辛うじて見えるのは緑色で小柄だということだ。
「私は《フェロモンゴブリン》……まあ、ゴブリンの変異種と言ったところだな」
そういうと、手に持っていた松明の火を壁に取り付けられていた他の松明へと点けていく。
薄暗かった空間は、明るくなりフェロモンゴブリンの姿もはっきりとする。通常のゴブリンよりも頭ひとつ分ほど大きく、足まで隠れるほどのローブを着用し、右手には二つの玉がついた杖を持っていた。
「ゴブリン……」
そんな低級の魔物に自分達は捕まってしまった? そんなことはありえない。いや、そもそも戦った覚えがない。
徐々に意識が覚醒してきたカトレアは、自分を見下すフェロモンゴブリンを睨み付ける。すると、ユーラが同時に意識を取り戻したようだ。
「な、なに? どこ、ここ?」
「ゆ、ユーラ……!」
「カト、レア? ……誰よ、そいつは……?」
カトレアの声に視線を向けると自然にフェロモンゴブリンが目に入るユーラ。
そんな彼女達を見下したままにやりとフェロモンゴブリンは笑う。
「見たところお前達は相当の実力者のようだな。装備とこんな状況にも関わらず動じない精神力ですぐ理解したぞ。だが、そんな奴等でも私には敵わなかったようだ」
くっくっくっ! と、勝ち誇ったかのように笑うフェロモンゴブリンにユーラは、殺意を込めた目で睨み付け、叫ぶ。
「ふざ、けるな! あたし達が……あんたみたいな、低級の魔物なんか、に……!」
「残念ながら、現実だ。まあ、私には高い戦闘力はないのだが……代わりにゴブリンにとって素晴らしい力を手に入れているのだよ!」
こんなに悠長に話すのも不思議だが、自分で戦闘力がないと断言している奴に負けた? その事実を二人は受け入れられないでいる。
一体どんな能力で……? その答えをフェロモンゴブリンが、おもむろにローブを脱ぎ捨てながら叫ぶ。
「私の能力はフェロモン! 私の体から出るフェロモンを嗅いだ女どもは意識が朦朧とし、体の自由がきかなくなるのだ!!」
「なんですって……」
じゃあ自分達の意識が未だに朦朧としているは、ゴブリンのフェロモンのせい? そんな現実を知らされた二人は、余計にありえないと心の中で否定する。
「おんやぁ? まさか、ありえないとでも思っているのか? だが、現実なのだよ、人間。そうだな……ならば今から縄を解いてやる。もし、私のフェロモンが効いていないのならば、私を倒して見せるがいい!!」
余裕の笑みを浮かべ、フェロモンゴブリンはカトレアの縄をナイフで切り裂く。
これで動ける。動ければこんな魔物なんて! カトレアは、勢いよく立ち上がろうとするが。
「あ、れ……? なんで……こんな……!」
足腰が立たない。いくら力を入れても、生まれたての獣のようにガクガクと震え、すぐ地面に崩れてしまう。
何度も、何度も……こんなことありえないと心の中で言い聞かせながらカトレアは繰り返し立とうとするが。
「ハッハッハッハッ! だから言ったであろう? お前達は、私のフェロモンに魅了され、足腰が立たない状態なのだ!!」
「ふざ、けなるな! 私が、ゴブリンなんかに……!」
まったく、と呆れた様子でフェロモンゴブリンはカトレアに近づき、人差し指で肌が露になっている太ももを突く。
刹那。
カトレアの体に電流が走る。
「あ、ぐっ!?」
「か、カトレア……!」
びくんびくんと体を震わせながら、倒れたカトレアへユーラが叫ぶ。だが、カトレアは答えることができずに居る。
「感度がいいな。たった一突きでこれとは……」
「なにを、した、の……!」
びくんびくんと、震えているカトレアを見てユーラはフェロモンゴブリンへと問う。
当然訳を知っているフェロモンゴブリンは、ユーラを見下したまま答える。
「なに。これも私のフェロモンの効果だ。より気持ち良くなれるように、感度が数百倍にまで上がっているのだよ。こいつの場合、軽く突いただけでこれだ。くくく! これからどうなるか……今から楽しみだ!!」
歓喜の声を上げ、興奮した様子のフェロモンゴブリンと、それに共鳴するゴブリン達を見て、二人は背筋が凍る。
特にカトレアは、どれだけ凄いのか思い知らされたばかりなため、過呼吸気味である。
「さあ、私の凄さを知ってもらったところで」
パチン! と指を擦るフェロモンゴブリン。
その合図に待ってましたと言わんばかりに、カトレア達の背後から軽く十は越えるゴブリン達が涎を滴ながら姿を現す。
そして、まだ目を覚ましていないマリアンへと四体のゴブリンが手を伸ばし、服を力付くで破いていく。
「なっ!? あ、あんた、達! マリアンになにを」
「何をと言われても……わかっているだろ?」
フェロモンゴブリンが呆れた様子で肩をすくめると、ゴブリン達が服を破る。
「おぉ! 素晴らしい! 今までの女とは比べ物にならないほどの素晴らしい胸だ!! 見ろ! ゴブリンどもも大興奮だぞ!! あははははっ!!」
怖い。逃げたい。そんな感情が二人の中で渦巻く。だが、フェロモンゴブリンの能力のせいで、思うように動けない。
徐々に、体も疼いてくるのが、更に恐怖を与える。
「ゴブリンども。まずはその女だ。そして……十分楽しんだ後は、そこの二人だ」
「ひっ!?」
「や、やめな」
だが、ユーラの制止の声は届かず、ゴブリン達は己が欲のままに、気絶したままのマリアンへと襲いかかる。
どこにあるかわからない洞窟の中に響き渡るのは、痛がる女の声とゴブリンの汚い笑い声。
いくら助けを呼ぼうとも、それは空しく木霊するだけだった……。
「ハッハッハッハッ!!! やはりいい! いいぞ!! 私は、素晴らしい力を手に入れた!! この調子で女どもを無力化し続け、圧倒的な数のゴブリン軍団を造り上げることも難しくないだろう!! あぁ……楽しみが多くて、退屈しない……!!」
そんなこんなで、前回のゴブリンでなんとなく察しがついていた人も多かったのではないでしょうか?
一応ざまぁ展開だと思います。こういうのを書くことがあまりないので自信がありませんが……ど、どうでしたでしょうか?
まあ、18禁にならない程度には気を付けたつもりですが。




