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第十八話 攻略、そして動き出す

「主様! これで八階層を突破です!!」

「ダンジョンの構造から考えて、そろそろ終わりが見えてもいい頃だと思うけど……ちょっと休憩しようか」


 地下洞窟ダンジョンに挑戦し、順調に突き進む僕達。途中謎のスコップを手に入れたけど、それ以降は特に変わったこともなく八階層を突破した。

 結構なハイペースだが、まだまだ僕もレンも、ミィヤも余裕だ。けど、もしもってこともあるし、小休憩を挟むことにした。


 少し、拓けた空間を見つけ、僕は闇属性スキル〈ダークシェルター〉を発動させる。

 このスキルは、周囲を闇で覆うことで姿を隠すものだ。これは野宿の時に便利なスキルだ。外からは何もない暗闇だ。内側でいくら明かりを点けようと、それが漏れることはない。


 が、これだけでは姿がみえなくなるだけ。音が漏れてしまい、ばれてしまうことがある。多少の攻撃は防げるけど、騒音がひどくて気が気じゃない。

 なので、そこへスキルを重ねがけする。闇属性スキル〈サイレント〉を発動させる。これは音を消すスキルだ。これで内側から響く音が漏れることはない。けど、外からの音は聞こえるから安心だ。

 なんていうか、闇属性スキルって便利なものが多いよね……本来の使い方は違うんだろうけど。


「ハーバの屋台で買ってきた鶏肉を串に刺して、お塩を振ってっと。後は焼けるのを待つだけですね」


 こういう密閉されたところで火を起こしたりすると、煙が充満して危ないと思うだろうけど、これも闇属性スキルで解決だ。

 闇属性スキル〈ダークホール〉だ。

 これは、闇の渦を展開し、色々と吸い込むものだ。これを小規模にして頭上に置くことで、充満するはずの煙を吸い込んでくれる。もちろんかなり小規模なので僕達が吸い込まれることはない。本当に闇属性スキルは便利なものが多い。


「この間に、喉を潤しておきましょう。はい、お水ですよ。〈ウォーター〉」


 そう言ってコップにスキルで水を入れるミィヤ。

 彼女が使ったスキルは生活スキルと言われるものだ。攻撃や防御系のスキルではなく、ただ水を出すだけのもの。

 僕の火属性スキルにも〈ファイア〉というものがあるのだけど、それもただ火を点けるだけのもの。


「うん。いつ飲んでもミィヤが出した水はおいしいね」

「たくさん動いたので、体に染み渡りますねぇ」

「えへへ。戦闘で役立たずなので、こういうところで役立ちませんと」


 ミィヤは、鶏肉の焼け具合を確認しながら、ごくっと水を飲む。


「しかし、本当にそのスコップは何なんでしょうね?」


 鶏肉を早く食べたそうに尻尾を振りながらも、このダンジョンで手に入れた謎のスコップの話題を出す。


「今のところは、ミィヤにしか使えないスコップってことだけしかわからないからね。なんとも言えないかな」

「私的には、こう……しっくりくるっていうか。小さい頃から使ってきたものー! って感じです」


 やはり、ドワーフ族に関係するものなのかな?

 僕が握った時は、何にも感じなかった。けど、あんな如何にもってところにあったものだ。

 さすがに普通のものとは思えない。


「……レン。ちょっと、そのスコップを叩いてみてくれないかな?」

「わかりました!」

「ミィヤ。スコップをそこに置いてくれるかな? レン、壊さない程度にね」


 ミィヤは、こくりと頷きスコップを地面に置く。そして、そのスコップへとレンは地面にあった手頃の石を手に取り鋼属性スキル〈スティール〉を発動させ、鋼へと化す。


「えいや!」


 掛け声とともにスコップへと振り下ろすと……ガキィン! と音を響かせる。

 しばらくの静寂の後、そっと鋼と化した石を下げるレン。


「まったく傷ついていませんね」

「おー、普通ならちょっとひび割れるぐらいの力で叩いたのですが……頑丈ですね」


 レンのスキルで鋼と化したものは並大抵の防具よりは硬いうえに、レン自身の力も軽い掛け声とは裏腹に岩をも砕くほどだ。

 それなのに、スコップには全然傷がついてない。


「やっぱり普通の素材じゃないんだね……」

「ますます興味が出てきました。早く鑑定してみたいですねぇ」

「そのためにも、早くダンジョンを攻略しないとね。あっ、焼けたようだよ。さっ、食べようか」


 小休憩を挟んだ僕達は、さくっと九階層を突破し十階層へと到達。そろそろ終わりだと思うんだけど……。


「ライカさん。もしかして、ここで終わりでしょうか?」


 どこかにボス部屋がないかと探していたところ、ミィヤが如何にも罠っぽい宝箱がひとつ。

 ここまで進んできて、特にそれっぽいところもなかったし、もう先に進むところもない。


「どう、だろうね。とりあえず……〈サーチ〉」


 闇属性スキルの〈サーチ〉を使い、罠がないことを確認したところで、宝箱を開ける。

 中に入っていたのは、見たことのない鉱石が一個。真っ黒だ。真っ黒の鉱石が入っている。


「もしかして、これが攻略報酬なんでしょうか?」

「……そう、みたいだね」


 宝箱の先に突然転移陣が出現していた。


「やっぱりライカさんの言う通り、ボーナスダンジョンというものだったんですね」

「みたいだね。なんだか……嬉しいんだけど」


 久しぶりのダンジョンだったから、テンション上げていたけど、不完全燃焼というか、なんというか。

 ま、まあ一番で攻略したし。手に入れたこの鉱石もボーナスダンジョンのものだと思えば、うん。


「よし! とりあえず、ダンジョンは攻略だ! 外に出よう!!」

「はい! 私もこのスコップのことが気になっていますから、早く出ましょう!!」

「どんなことでも、主様とやり遂げたことなら、私は嬉しいです!!」


 こうして、久しぶりのダンジョン攻略は運が良くボーナスダンジョンで、結構あっさりと攻略してしまった。



・・・・・



「ふう……これで《ブラッドブル》の討伐依頼は終了っと」


 カトレアは、刃についた鮮血を払い、剣を鞘に納める。

 

「まったく相手にならなかったわね。ランクB相当の魔物だと聞いていたのに……あーあ、新スキル〈フレアレイン〉を使いたかったのに、弱すぎたわね」


 つまらないと言う風に、魔法使いのユーラが杖をくるくると回しながら、ため息を漏らす。

 彼女達が戦った《ブラッドブル》は、ランクB相当の強さを誇る。元々自分の体が血のように赤いうえに、その凶暴性から目に入ったものへと見境なく襲う習性を持っている。


 そいつがある村近く現れたという情報がハーバのギルドに報告され、カトレア達が討伐に訪れていた。

 彼女達の実力ならばきっと倒せるはずだと。彼女達自身も、余裕で倒せるだろうと挑んだ結果、あっさりと倒してしまった。


「ここは森ですよ? 火事になったらどうするつもりですか? そんなことをしたら、信用がなくなるので止めてください」

「はいはい。まあでも、これで後はギルドに報告して報酬を手に入れるだけ。どうする? またショッピングにでも行く?」


 《ブラッドブル》の魔石と素材を回収したカトレア達は、村に魔物を倒したことを告げ、ハーバへと戻る道中で、楽な依頼で儲けた金を何に使うかを相談し合う。


「そうだねぇ……やっぱり、甘いものをたくさん食べたいなぁ」

「カトレアは、相変わらず食いしん坊ね」

「そうでもないよ? たまには、ちゃんとお洒落のために服を買いに行くしー」


 そんな女の子らしい会話をしていると、どこからともなく変な匂いが漂ってくるのに気づくマリアン。

 足を止めたマリアンを見て二人はどうしたのか、マリアンの近くに行くと……視界が急にぼやけ始める。


「な、なにこれ……」

「体に力が……はい、らな……」

「ふ、二人とも、しっかり……ここで、倒れては……うっ……!」


 しかし、抵抗も空しく、意識を失ってしまう三人。そこへ、がさがさと何が近づいてくる。

 単騎ではない。ニ、三、四……と、集団のようだ。

 そして、謎の集団はそのまま気を失った三人を担ぎ、どこかへと移動していった。

さあ、次回からざまぁ展開へと近づいていく! 予定です。

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