過去回想編 1日目③
コンビニからの帰り道、誰かに声をかけられる
「"そこの指輪持ち、止まりなさい"」
突然話しかけられたことと、その内容に驚く。
振り向くと、なんとそこにはあの深遊がいた。
「な!? 深遊? ・・・・・・今朝はどうしたんだよ?」
「あなたには関係ないわ」
一蹴される。
「あとあなたあの警官コスした異世界人と話してたわね?」
警官・・・・・・コス?
おそらくだが、アリサさんのことだろう。
深遊とも面識があり、そこでも異世界人と紹介しているとは・・・・・・、相当頭のネジがぶっとんでる人だと再認識した。
「私、その女のこと嫌いなのよ、"私達"に刃向かうからね・・・・・・絶対に許せません、おっと」
後半の言葉遣いが少し変わったような気がしたが、それよりも気になるのが
「私達・・・・・・? 他にもいるんだな。 一番上は誰なんだ? ・・・・・・理事長なのか?」
「まぁ、表向きは。 あのベレト・・・・・・いえ、コンビニ強盗から聞いたのね?」
さっき、コンビニで事件が起きたというだけでなく、犯人のことまで知っているようだった。
「・・・・・・あぁ、そうだよ。 けどもうあいつは捕まったよ、もしかして仲間だったのか?」
思わず身構える。
「まさか! あいつを仲間だとは思いたくないわ。 捕まってくれてせいせいする。」
ひどい言われようだ。
「それよりも、あなた」
周りの空気が変わる。
「私達の仲間にならない? さっき見てたけどあなたも才能持ちみたいだし」
さっきのを見られてたか・・・・・・、と少し恥ずかしくなる。
「・・・・・・考えさせてくれ、まず理事長がどんな人かもわからないし、そっちの仲間とうまくやれるか心配だ」
もちろん嘘だ、本音は断りたいが今ここで断ったら何をされるかわからない。
コンビニ強盗とも面識あるようだし、深遊に関しては今朝学校で事件まで起こしている。
どう考えても危ない集団だろう。
「ふぅん、そう、まぁいいけど。 じゃあ明日の夜までに一人で学校の理事長室に来て、明後日の朝には大きく行動するから」
「大きく動くって? 何かするのか?」
「んー、簡単に言うと勢力範囲広げるためにみんなで遠足みたいな感じかな、まぁ理事長と私は学校に残るから会えるとは思うけど」
遠足? そんな楽し気なものじゃないと自分でもはっきりわかる。
「詳しい説明とかは学校来てから説明するから、それじゃ」
そういって深遊は立ち去ろうとする。
その後、少し歩くと立ち止まり、振り返り様に
「あ、もし"あっち側"についたら覚悟しておいてね、容赦しないから」
そう言い残した瞬間、深遊は消えた。
(き、消えた!?)
周りのどこを見渡しても深遊の姿はない。
最後に聞いたその言葉に軽く悪寒がした。
なぜか冷や汗が止まらない。
ただ数回深遊と会話しただけなのに、ひどく疲れていた。
落ち着いたところで、さっきの会話を思い出し
(明日とりあえず学校に行ってみるか、会ったことないけど理事長ってどんな人なんだろう)
軽く想像しながら自分は自宅への帰り道を歩む。
深遊は学校へと戻ると、一人思いふけっていた。
(確かに射抜いたはずだったが・・・・・・)
その時、深遊はひどく顔をゆがめていた。
(彼は警戒しなければなりませんね・・・・・・)
深遊は指輪を眺める。
その指輪の核は学校での騒動から水色を保ったままだった。
「ただいまー」
自分は自宅へ着くと、母が猛ダッシュで玄関に駆けてきた。
「うおお、どうしたの?」
「大丈夫なの!? 怪我とかない? 職場で連絡があってさっき帰ってきたばっかであんたになにか」
「あー、うん、平気だよ! 心配かけてごめん」
母は心配性だ、自分の家は母子家庭なのでそのこともあってかたまに大げさな時もある
だからというわけではないが、あまり心配はかけたくないと思っている。
「強盗も捕まったし、怪我もないから大丈夫だよ! 大樹もいたしね!」
「強盗? ・・・・・・あんた何やってたの?」
「え? コンビニに入ったら、たまたま強盗が入ってきて・・・・・・、そのことで帰ってきたんじゃないの?」
「違うわよ! あんたの学校今大変なことになってるのよ? さっきテレビのニュースで・・・・・・それより強盗っていったい何の・・・・・・」
母の言葉を最後まで聞かずに、リビングへ向かい、テレビのニュースを見る。
そこには、「複数人の生徒が学校占領!」という目を疑うような文字が。
(あぁ・・・・・・夢だ、これは夢なんだ 指輪のことからすべてが夢・・・・・・)
頭を抱えてうずくまる。
しかし、いつまでたっても夢から醒める様子もないので、諦めて現実を見る。
(深遊の言っていた仲間というのは多分この学校にいる生徒のことなんだろうな)
ニュースでもどのように制圧したかや実行犯はもちろん、具体的な人数等の詳細は語られていなかった。
(まさか学校を占拠するとはな・・・・・・、遠足では一体どうなることやら・・・・・・)
ニュースを眺めながら、いろいろと考えていると
「強盗って?」
母に捕まった。
仕方がないので、とりあえず指輪のこと以外の事件の全容を話した。
家族なら指輪のことを話してもいい気はしたが、そんなことをしたら母はますます心配してしまうだろう。
「怪我がないのならよかったわ、もう心配させないで」
「ごめん、気を付けるよ」
「はい、じゃあすぐごはんにするね」
そう言って母はキッチンへ向かう。
(とりあえずアリサさんに連絡を取ろう)
母に解放されたあと、自分の部屋に向かい、携帯を開く。
貰ったメールアドレス打ち込み、送信する。
思いのほか返事は早く届き、明日の早朝に家まで迎えに来るそうだ。
大樹も同行するようで、これは内心ホッした。
深遊のことは連絡していない、大事になりそうな気がしたからだ。
それとここで深遊のことを話したら、学校サイドに完全に敵対視されてしまうだろう。
深遊の言っていた"あっち側"とは恐らく警察のことだろう、最後の言葉が脳内によみがえる。
できれば穏便に事をすませたい、これは本音である。
(明日は大変だな・・・・・・)
思わず乾いた笑いが出てしまった。
そんなとき、部屋の外から自分を呼ぶ母の声が聞こえた。
晩飯ができたらしいので、キッチンへ向かう。
母から連絡網で明日の学校はないと言われたが、そりゃあそうだろう、多少の会話を挟みながら食事を終える。
すぐ入浴の準備をしたが、指輪を取るかどうか悩み、色情報のリセットを思い出し、つけたまま入浴する。
(こんな状況で授業なんかできるわけないよな・・・・・・、そういえば教師たちってどうなったんだ?)
入浴中にそんなことを考える。
考えるとなんだか怖くなってきたので、考えないようにして、風呂を早めに出る。
目覚まし時計の設定時間をいつもより早めに設定し、自分はいつもより早めの就寝をする。
こうして指輪騒動の一日目が終わった。
東條 光 :カラーコード:#ee82ee
バイオレット "銀色"
R:238 G:130 B:238
才能【魔力具現化】
伊延 大樹:カラーコード:#f0e68c
カーキ
R:240 G:230 B:140
折原 深遊:カラーコード:不明
水色?
R:? G:? B:255
才能【消える?】