65 狭間の友情
最初に会ったのは何年前だ?
もう思い出せない。
俺はソレに共感出来なかったけれどちょっとは認めてたんだぜ。
見えた人影はピンクの髪にツインテール。
リリィか。
友人とまではいかなくとも見知った相手だ。
とりあえず敵じゃない事に安心して走るのをやめた。
「私……もう助からないと思って……逃げちゃって凄く後悔したの」
?
何の話だ?
「生きてて本当に良かった…」
俺がマコトを見つけた時弱りきっては居たが助からないと思うほどの状態じゃ無かった。
聞こえてくる内容が気になって俺は思わず足を止めた。
2人は話に夢中になってるのか俺が来た事に全く気付いた様子も無い。
何があったんだ?
マコトは何も答えないからさっぱり解らない。
「今はどうしてるの?」
リリィの質問に漸くマコトが口を開いた。
「リューさんと一緒に……」
自分の名前が出てきた所でハッとした。
なんで俺こんな盗み聞きなんてしてるんだ。
情けなくなって2人の所へ全速力で駆け寄る。
振り返ったマコトが驚いた表情をした後凄く安心した顔に変わった。
「リリィ、マコトと知り合いだったのか?」
俺の言葉にリリィは大きく頷く。
それを見ながらマコトはのん気な表情で呟いた。
「お二人も知り合いなのですか?世間は狭いですね、本当に」
そんなマコトを尻目に俺はリリィの方に視線を向ける。
若干気まずそうな表情をした彼女は少し目を逸らしながら答えた。
「ええ、私とマコトはドラゴ…」
言い終わる前にまるで魂でも抜かれたかの様にドサリと崩れ落ちる。
コレは!
俺が今まで何度も見てきた一番嫌な光景……
「え?」
驚きながらも駆け寄るマコト。
リリィの腕を掴み何かを確認すると表情が曇る。
「まさか……」
俺もリリィへ近づき抱き起こして顔を覗きこんだ。
やっぱり……
彼女の額にあった契約の証が綺麗さっぱり消えている。
この馬鹿!
契約なんかするからこんな目に合うんだ。
俺はムカついて、悔しくて唇を噛み締めた。
「何が……」
おずおずと尋ねてくるマコトに俺は少しだけ正気が戻って来た。
そうか……勇者なんかしてない限りそうそう契約切れの瞬間なんて見ることないよな。
「契約が切れたんだ」
マコトは理解出来ないと言わんばかりに頭を左右に振る。
だよな。
俺だって理解出来ないししたくない。
「契約は魔族と結ぶもの。破棄・解除は出来ないのでしょう?」
小さく頷く。
それは間違ってない。
ただ少し情報が足りてないかな。
契約は魔族以外の妖精や精霊それから人間同士で結ぶ事も出来る。
リリィの契約相手は木だった筈だ。
「リリィの契約相手の木が焼かれたんだ……と思う」
それを聞いたマコトは辛そうな表情になっていく。
涙を堪えるかのように上を見上げた後リリィの瞼を手の平で閉じさせていた。
「俺は何度もリリィに説得されてたんだ、そういう風な世界がくれば理想だとも思う。だが俺は村を潰した魔王を許せない」
世界よりも自分の感情を優先した。
けどリリィも諦めずに何度もおれの所へ来てる。
もう何年の付き合いなのかもわからない。
俺の言葉をマコトは黙って聞いていてくれた。
「埋めてやろうか」
出来ればリリィの森に埋めてやれれば理想だがココからはかなり遠い。
それまで体が持たずに腐ってしまうだろう。
「ココでは土葬が普通なんですか?」
マコトの言葉が理解出来ずに俺は首を傾げた土葬?
「私の所では遺体を焼いて火葬するんです……空へ上っていけるように」
空へ、か。
そうすれば森へ帰れるのかもな。
俺は思わず空を見上げる。
「それにしてもまだお若いのに可哀相ですね…」
リリィの頭を撫でながら悲しそうに呟くマコト。
若い……んだろうか?
少なくとも俺が始めてあって10年近くになるが外見は一切変わっていない。
勝手に俺と歳はそう違わないのかもっと上だとは思うけど……
どうなんだろう?
まぁ亡くなった奴の秘密なんて暴く必要もない。
「リリィさんの意思を継ぐ人は現われるでしょうか?」
呟くマコトに俺は答えられない。
だってそうだろ?
俺は魔王を倒し復讐する事に全てをかけてきた。
仲良く一緒になんて絶対出来ない。




