61 逃避
死体を引きずり森の中に適当に放り投げた。
ココまで来ればマコトがこれを見る事もないだろう。
俺はそのまま川へと歩き出した。
こんな血まみれで戻ったらマコトが驚くに違いない。
軽く落としておきたい。
それにあのワニの仲間が居るとしたらソコだろう。
出来るならついでに倒して置きたい。
俺とマコト以外のヤツがくる可能性もある。
危険は出来る限り排除しておくべきだ。
川に着いてから様子を窺ってみたが特に目立ったモンスターは居ない。
水面に指先だけつける。
特に大きな魔力は感じない気がするが…何せ俺は魔力は全て肉体強化につぎ込んだ身だ。
完全に居ないとも言い切れない。
あいつらは目も耳も良い…小石を投げ入れてみるがやはり反応はない。
いない…か?
正直拍子抜けだが油断は出来ない。
潜って様子を調べても見たがこの辺りには居ないようだ。
アイツは『我が種族が…』とか言っていた。
だったら水辺にいるかとも思ったんだけどな。
もしかしてもうマコトの所に向っているかもしれない。
俺は自分の体を洗う事も忘れて村へとかけ戻った。
マコト…無事でいてくれ…
俺は何時だって一歩遅くて手遅れにしてしまう。
思い出すのは無残に潰れた俺の故郷。
もうあんな事は起こさせないと俺は妹に誓ったのに…
マコトをあんな所に一人にしておくなんて間違っていた。
早くこの場所を移動するべきだ。
逃げなくては…
逃げる?
何処へなんて当ても無い。
俺の村は当然もう無いし、マコトの居た日本という国はここから簡単に行けるような場所でもないらしい。
だがココは危ない。
少しでも安全な場所へ連れて行くべきだ。
ああ、でもそんな場所あるのか?
俺の故郷だって安全な場所だと俺は信じて疑っていなかった。
その油断が起こした悲劇を俺は1日だって忘れたことは無い。
胸のクロスを右手で握り締める。
大丈夫、大丈夫の筈だ。
大丈夫だよな?
グチャグチャのまま考えは纏まらずただ走る。
とにかく今はマコトの所に戻る事が一番大事だ。
来る時の半分の時間もかけずに戻った。
村が見え出した頃俺以外の足跡が目に入る。
俺が出た時の足跡の上について居るって事は…
思い浮かぶのは最悪の事態だ。
「マコトー!!」
叫びながら村の中へ走った。
とにかく無事で居てくれ…
俺達が泊まっていた家の前にマコトの後ろ姿が見える。
良かった無事だったんだな。
そして影になってよく見えないがマコトの前に人が一人。
さっきの足跡はコイツのモノに違いない。
俺は確信しながら二人の所へ駆け寄った。




