55 新しい部下
俺は来るものを拒まない。
それは俺の信念であり拒む理由を持ち合わせて居ないからだ。
ガルバスは一瞬俯いたが直ぐに視線を上げて俺を真直ぐに見る。
「俺を部下にして欲しい」
答えは少し意外だった。
ウォズが言い残した頼みで合っても別に無理に聞く必要は無い。
「元々俺はそのつもりだった」
深々と頭を下げるガルバスに俺は好きにしろと答えた。
横でマコトが目を見開いて驚いているが…俺は志が同じなら基本的に来る者を拒むつもりは無い。
強い、弱い。
そんな括りだけで世の中上手く回ってかねぇし何より探せば何処かしら認めれる部分ってのはあるもんだ。
それに正直今の俺には戦力となる部下がいねぇ。
マコトは知識面では色々役に立つが戦闘はからっきしだし、回復魔法が使えるわけでもない。
ザルドは食料を作る知識に長けているしマコトよりは戦えるだろうが強いとは言えない。
つまり俺の仲間内でイザ戦闘となれば俺が前線に出るしかない。
出るのが嫌なわけじゃない。
それも頭の役目の一つだと思う。
だが出来れば後方を張れる奴が居た方が心強い。
「ウォズ様の配下内でも意見は割れているが、俺は…」
なんだって良い。
言いよどむガルバスを俺は遮った。
ウォズの後を継ぎたい訳じゃねぇ。
大体部下でもねぇ俺にたのむウォズもおかしい。
だからこそ『魔王』は決まらず俺が暫定魔王になってしまった。
いや、何もかもウォズの所為にするのは間違っているが…
それに森を守ると言っても方法は多種多様だ。
人が入って来れない様な結界を張ってしまう方法もあるがコレにも色々問題がある。
まず誰か一人でそんな魔力を持った奴は居ない。
最低でも2~30人は必要になるが俺にはそんなに部下は…
だから森に入ってきた奴を一人一人潰すしか今は方法はない。
それもウォズの様に全ての人間を潰すという選択肢を取るには手駒が足りなさ過ぎるしな。
「ガルバス察知は得意か?」
察知は神経を研ぎ澄まし一定範囲の気配を探る能力だ。
残念ながら俺は常に神経を張るような事はあまり得意じゃない。
「臭いならココからでも森の入り口近くまでは常に感じる」
ガルバスの言葉に俺は安心した。
それなら任せられる。
「じゃあとりあえず森の警備はお前に任せた、俺は部下を増やしに出かけてくる」
そう言い残して俺は塒を飛び出した。
何か後ろでマコトが叫んでいたがこの際構っていられない。
ガルバスの言葉の裏を読めば俺の事をよく思ってないウォズの配下がココを狙う可能性もある。
そうなった時俺とガルバスだけでは守りきれないかもしれない。
だから出来るだけ多くの部下を、仲間を得る必要がある。
じっとしているのはもう辞めた。
もう後戻りできねぇなら進むしかない。
なぁウォズ。
お前が俺に何を期待していたか解らねぇが俺は俺なりにお前の意思を継いでやろう。
見とけよ?
め一杯広げた黒い翼を大きく羽ばたかせる。
空に吼えた俺の声は何処までも広がっていった。




