44 廃村
子供のように軽いマコトを背負いながら俺は村へ向って突き進んだ。
幸い全て空き家だ。
出て行って日が浅いのか家の中も綺麗だった。
無断で入るのは少し気が引けたけど…そんな事を言ってる場合じゃない。
俺は一番近い小屋へ入った後マコトをベットへ寝かせた。
掛け布団は残念ながら残っていないが外よりは幾分マシだと思う。
あんまり綺麗じゃないが俺の寝袋で我慢してもらうしかないな。
俺はかまどを拝借して湯を沸かす。
その中に俺の携帯食を突っ込んだ。
体の弱ったマコトにこの携帯食は硬すぎるだろう。
食器も残っていた物を借りた。
わりと何でも残っている所を見ると相当慌てて出て行かないといけない何かがあったんだろう。
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
俺は即席の病人食を持ってマコトの所へ向った。
「少しだけでも何かお腹に入れた方が良い」
俺は出来るだけ優しくマコトに言ってベット脇に座った。
一緒に持ってきたスプーンで少しだけ救って口元に運ぶ。
小さく口を開けたマコトに俺はゆっくりと流し込んだ。
妹が熱を出した時もこんな風にしてやった事があったっけ。
「リューさん…本当にありがとうございます」
申し訳なさそうに謝るマコトに俺は首を振る。
良いんだ、俺が勝手にしてる事だから。
少しづつ口元へ運んではマコトに飲み込ます。
上下に動く喉元を確認してから俺はまたスプーンで掬う。
正直味はあまり良いとは言えない。
だけど、ここは我慢してもらうしかない。
暫く続けている内にマコトが辛そうな表情に変わった。
しまった一度に食べさせ過ぎたのかもしれない。
咳き込むマコトの背中を摩りながら俺は少し後悔していた。
もっと食べ易い果物とかを探して来てやるべきだった。
一応この家の台所には食料らしき物は残ってない。
…考えてマコトと初めてあった場所を思い出した。
マコトはあそこで苺を摘んでいたんだ。
行ってみるか。
俺は決意すると立ち上がった。
するとマコトが俺の腕を掴んだ。
本人も無意識の内にでたみたいで慌ててその手をパッと離す。
「すみません…」
うつむいて擦り切れそうな声で謝るマコトにいいんだと俺は笑う。
俺がしたいからそうしてるだけなのだから。
考えればこんな所に一人残されるのも不安だよな。
よく知りもしない、しかも人気の無い村だ。
俺はもう一度マコトの横に座る。
寝つくまではここに居てやろう…
それからはただ黙ってマコトの頭を撫でていた。




