38 半身
綺麗に左右真っ二つに切り裂かれたマコト。
どくどくと広がっていく赤。
リリィが叫び声を上げて逃げていった。
まぁ賢い選択だと思うぜ。
俺を信じて切られたマコトは本当にすげぇと思う。
少しでも手元が狂えば確実に成功出来ないからだ。
俺はマコトの左半身を拾い上げて俺の魔力を半分、そして右半身に残りの魔力を全て注ぎこんだ。
みるみる再生していくマコト。
左半身を塒の奥へ寝かすと俺は右半身を持ち上げて飛び上がった。
契約とは違う。
これは分割。
一つの生物を二つに分ける。
俺の魔力が半身を補う。
だから不老不死だ、分けた半身と出会わなければ…
出合ったら最後ソイツは死んでしまう。
切り裂く時に少しでも中心からズレればそれだけで失敗するし、これを使った後俺は3日全く魔力を使えない。
何より右のマコトと左のマコトが出会えはそれはイコール死を意味する。
手の中のマコトが身を捩った。
どうやら上手く分割出来たらしい。
俺はそれを確認すると森の入り口へ降りた。
そっと木の根元へ移動させる。
「あれ…ブラックさん?私は一体…」
目を覚まして不思議そうな顔をするマコトに俺は体を分割した事を簡単に説明してやる。
そうする事で他の奴らから手を出せなくさせた。
話す度にマコトの表情が曇っていく。
「では…私はここでブラックさんとお別れなんですか?」
俺は黙って頷いた。
察しの良いマコトは俺がしたい事を全てわかった上で搾り出すような声を上げた。
「どうしてあっちじゃ無くて私なんですか…」
顔を歪めたマコトに答えられない。
ただ…何となくだ。
「ブラックさん!」
俺は何か言おうとするマコトを置いて飛び立った。
マコトの方を振り返る事も出来なかった。
こうして俺はマコトの半身を捨てたのだ。




