37 進むべき道
赤い液体で染まったブラックさんが戻ってきました。
一体何が…?
その赤い液体が何かなんて聞かなくても解ります。
血の匂いがしますから。
「マコト今すぐここから逃げろ…」
全身赤黒く染まったブラックさんは私に冷たく言い放ちました。
どうして!?
私は何があってもココを出て行く気はありません。
「俺が…魔王だからだ!」
叫ぶブラックさんに私は訳がわからず固まってしまいました。
魔王だから…って…
昔ウォズさんにも言われました。
何でブラックさんが魔王なんですか?
魔王はウォズさんなのでしょう?
「魔王ってのは俺達反人間派のリーダーだ。ウォズが居なくなった今俺が引き継いだ」
隣にいたリリィさんが私の腕を掴みます。
痛い…私は強く掴まれた腕を振り払いました。
「そんな事私には関係ありません!」
叫んだ私にリリィさんが横で目を見開いています。
私はブラックさんと一緒に居たいのです、この世界の他の人がどうなっても知りません。
「マコト・・・」
信じられないと言う目で私を見るリリィさん。
「この、お前の仲間の血で汚れた俺の手をとるっていうのか?」
ブラックさんは真っ赤染まった手を私に見せ付けるように前へ突き出しました。
爪の間には肉の破片も見えます。
ええ、私も自分で何を言ってるのか位解っているんですよ。
この世界で私の家族はブラックさんだけそのブラックさんを傷つけようとする人間側を恨むのは道理でしょう?
「恨まれるぜ、人間から…今なら引き返せる。」
いいえココで貴方と離れれば私は一生後悔します。
だから例えブラックさんに拒否されても付いて行きます。
「人間やめるってか?」
喉を鳴らして笑うブラックさんに私は大きく頷いて歩き出しました。
そのままブラックさんの爪を両手で包み込むように掴みます。
生乾きの赤い液体が私の手にもべったりと付きますが気になりません。
「…だったら俺の為に死んでくれ!」
ブラックさんはそのまま私の体をガッシリと掴みました。
指が体に食い込んで痛い…
「っ」
まともに息が吸い込めません。
試されているのでしょうか。
これ位の痛みで引くわけにはいきません。
唇を噛み締めて耐えていると突如開放されました。
そのまま私は地面に倒れこみました。
一気に空気が流れ込んでくる。
耐え切れなくて咳き込んでいると上からブラックさんの声が響いてきました。
「もう本当に引き返せないぜ」
ブラックさんを見上げると悲しい目をしたブラックさんと目が合いました。
大丈夫、これ位で私は引きません。
強い意志を持って笑いそして大きく頷きました。
「さよならだ」
そう言ったかと思うとブラックさんの鋭い爪が私に振り下ろされたのです。
隣でリリィさんの物凄い叫び声が響きました。
それが私の最後の記憶です。
だって…
私の体は真っ二つに切り裂かれてしまったのですから
とりあえず1章終わりです。
長い導入部分がようやく終わりました。




