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悪と呼ばれた私  作者: える
出会いと別れ
35/69

35 困惑

赤黒く染まった自分の体。


憎い人間どもを殺したというのに全くすっきりしない。


何故、イザンは殺されなければならなかったのか。


それを聞きだす前に全て葬り去ってしまった。



失敗した。



だが何を言われようが俺は納得出来なかっただろう。


だったら聞いても結果は同じだ。


飛び上がって町を見下ろす。


建物は殆ど形を残していないし石畳は赤く埋め尽くされている。

気分が悪い。


俺は一瞥だけしてもう町へ視線を向けなかった。


あいつらなんてどうでも良い。


ただ…イザンの所へ戻った。


もう動く事の無いイザンの体には沢山の刀や矢それに見た事も無い様な刃物が無数に刺さっている。


見ているのが辛くなって俺は一本一本銜えて抜いてやる。


その度にドロリとした赤い液体が噴出す。


周りに赤く染まった武器の塊が出来る。



イザン…イザン…

人間どもの兵器を全て抜き取り漸くイザンの姿が現われる。


ボロボロになった体が見ていて痛々しい。


イザンの体にポツポツと液体が落ちる。



俺が…



俺がもっとしっかりしてればお前はこんな事にならなかったのか?


一体何処で間違えちまったのだろう。



解らない。



俺はずっと間違った選択をしたつもりなんて無かった。

動かなくなったイザンの体を見下ろしながら思う。


このままココに置いておけば人間どもにまた何をされるかわからない。


俺は炎を吐き出してイザンの体を燃やした。


火に包まれていく弟。


俺は揺れる炎を見つめながら思う。


お前親友と同じ所で眠りたいんじゃないのか?



一度だけ連れて行かれた墓。



俺はあの時墓なんて…と思ったが、


イザンが亡くなって初めて感じた。

墓…は在った方が良い。


燃え残った一番大きな骨を銜えてあの丘へ飛ぶ。


簡素な墓の横にイザンも埋めてやった。


これは俺のエゴだ。


祈りなんてモンは無駄だし、死後の世界なんて存在しない。



だが…



もしマコトの言っていた「極楽」ってトコがあるとするなら。


イザンにはソコへ行って欲しい。


弟の墓を眺めた後俺はまた飛び立った。


何時までもここで立ち止まる訳には行かない。

もう事態は動き出している。


血に染まった俺の体。


コレを見ればマコトも逃げ出すかもしれない。


だが今逃げ出すならその方がアイツの為なのかもな。



俺は今『魔王』だ。



だからあえてこの血は落とさずに塒へ帰る事にする。


その所為でマコトが去っていくとしても。


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