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悪と呼ばれた私  作者: える
出会いと別れ
29/69

29 俺の過去

「う…嘘ですよね?」



俺の叫びにうろたえる声でマコトが問う。


嘘だと答えたい…が…



「だったら良かったんだけどな。」



静かな森に俺の声だけが響く。


今にも泣きそうな顔をしたマコトが黙って俺を見上げる。


アイツが死んでそんな顔する人間なんてお前位だろうな…


それにしてもまさかアイツが死ぬとは思っても見なかったぜ。



「まずいな。」

思わず声に出してしまう。


状況は相当まずい。


こちら側の次のリーダーは決まっていない。


それだけウォズは飛びぬけて強かった。


だがそれはこちら側の事情、人には関係ない。



「奴らは次の魔王を生み出す…それは俺かもな。」



俺の言葉を理解出来ずに首を傾げるマコトに俺は更に続けた。



「人ってのは自分と異質の者を認めない徹底的に排除する。

まずは自分達の危険度の高い奴から順番に…それが今回ウォズだった。


 優先度の一番高い奴それが魔王って訳だ。」

そう魔王ってのは人が付けたあだ名みたいなモンだ。


ソイツが倒れればその次のヤツがさらにソイツがやられれば更に次のヤツが…


こちらが滅ぶまで無くならない鬼ごっこ。



「人を滅ぼさない限り俺達が安心して住む世界は作れない…それがこっちの大半を占める意見だ。」



俺もそう思っていた。


けれど…俺にマコトを殺せるだろうか…


俯いてしまったマコトを眺める。



「ウォズ程のヤツを殺せる人間なんて居るわけないと思ってたが甘かったみたいだな」



そう、俺はそう考えていたからのんびりしていられた。


甘い…俺の考えは甘すぎた。


マコトの方を見れなくて俺は視線を上に向けた。

順当にくれば次のリーダーの候補に俺の名前は挙がるだろう。


まぁ他にも2~3候補はあるだろうが…


俺が候補に上がった時マコトをこのまま置いておく事は出来ない。


人なんて滅べばいい。


今だってその気持ちが無くなった訳じゃない。


だが…だが俺にマコトを殺せるだろうか?


一緒にいるのは苦痛とは感じない、むしろ楽しい。


人が滅べばいいと思うのにマコトが死ぬのは嫌だ。


矛盾している事は自分でも解っている。


ウォズはレナスを殺した時どういう気持ちだったんだろうな。


俺は正直人間なんかに情をかけるからだと少し馬鹿にしていた。

だが今はよく解る。



『兄さん…人と俺達は何もかもが違う。本当に良いのか?』



イザンの悲しげな顔と一緒に聞かれた言葉浮んで消えていく。


俺は襲い掛かってきた奴らは問答無用で殺してきた。


今更人側に回ることは不可能だ。


だが今のようなスタンスはウォズが居なくなった今続ける事は難しい。


考えはまとまらず…



「今日はとりあえず寝るか」



マコトにそう言って塒に帰る。


目を瞑っても全く寝れない。


隣に居るマコトも寝れて居ないようだった。

誰か他の奴がリーダーに名乗り上げてくれれば良い。


俺はそう願いながら塒の外を眺めていた。


真黒に染まった森は何も動かない。


明け方になってもなんの動きも無かった。


新たなリーダーになるのは簡単だ。


人間の街を派手に潰せば良い…そうやって力を示せば自然と部下が集まってくる。


日がドンドン高くなっていく。


俺はかなり遠くの気配までずっと探っていた。


誰か…誰か名乗りを上げないだろうか?

俺はココに来る前の事を思い出していた。


イザンと一緒にいた所を飛び出してからは本当に悲惨だ。


真黒の体に赤い目。


俺は人の血を啜って生きているのだと何度も叫ばれた。


何処に行っても人間に攻撃された。


だが、俺はやり返さなかった。


やり返せば倍以上の人数になって俺を追い立てるからだ。


転々と場所を移動していく内にココへ流れ着いた。


俺がやり返せ精神になったのは実はウォズが好戦的になってからだ。


それまでこの森には人間などやって来なかった。


だが魔王がココにいると知った人間どもがウヨウヨやってくるようになる。


俺は自分の体と場所を守る為殺す事に躊躇わなくなった。


選択肢なんてもう無かっただろ他には。

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